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4,580円の『ボジョレー・ヌーヴォー』を敢えて飲んでみたい件

金曜日はグルメとお酒のお話しを。

さて、何ヶ月振りでしょうか、ワインのお話しをしましょう(笑)
昨日、11月17日(木)は何の日だったでしょうか?
『11月の第3木曜日』と言えば、お分かりになりますか?

今年もやってきました、『ボジョレー・ヌーヴォー』の解禁日!
と言いつつ、ここ30年間でこれほど盛り上がらない解禁日があったでしょうか?というくらいに、ヌーヴォー売場が目立たない年となってしまいました。

その理由は、ひとえに『ウクライナ情勢』の影響といえます。
詳細は後述しますが、昨年から4割ほど値上がりして1本3千円強~4千弱と、べらぼうに高い!
ワンランク上級の『ヴィラージュ』とか『セレクション』と書かれたものは5千円もします!
これでは、スーパーが大量に陳列するには在庫リスクが大き過ぎます。
なにしろ、クリスマス迄には絶対に売り切りたい商材ですから…

Georges Duboeuf Selection Plus 参考市価(税込)4,580円

そもそも『ボジョレー』は、フランス中部ブルゴーニュ地方の片田舎ボジョレー地区で採れる『ガメイ』というブドウ品種で作られたワインで、特徴としては早く熟成してフレッシュさを楽しむ『早飲みタイプ』のワインです。
そんな地ワインに過ぎなかった『ボジョレー』を、『今シーズンのワインをいち早く楽しめるアメイジングなワイン!』として世界に売り出したのが、『帝王』と呼ばれるジョルジュ・デュブッフ氏です(2020年1月に86歳で没)。
『毎年11月の第3木曜日を新酒の解禁日とする!』と決めて、イベント色を高めたのも、彼のアイデアと言われています。

とりわけ、季節に敏感で『旬の初物』を珍重してきた日本人にとっては、日付変更線の関係で世界で最も早く解禁日を迎える為、『ボジョレー・ヌーヴォー解禁!』が受け容れやすい土壌がありました。
また加えて、1980年後半というこれからバブル期に向かってイケイケの日本経済にとっては、打ってつけのイベントとなったわけです。
実際、1990年代には多くのシティホテルで、11月第3木曜日の午前零時、即ち水曜日の深夜24時に『ボジョレー・ヌーヴォー』で乾杯するという、パリピなイベントが各地で開催されていました。
(この話しを娘世代にすると『あり得ん、信じられん…』との反応でした(泣))

先述の通り、ボジョレー・ヌーヴォーは長熟には向かず、出来立てのフレッシュさを楽しむ特性上、元々さほど高価なワインではありません。
ただ、殆どの輸入ワインが船便で輸送されるのに対して、ボジョレー・ヌーヴォーは『解禁日』に間に合わせる為に、航空便を利用しています。
これまで、2千円代半ばだったボジョレー・ヌーヴォーの価格のうち、数百円が航空運賃でした。
それがウクライナ情勢の悪化で、飛行機がロシア上空を航行できなくなり、迂回ルートによって輸送距離が増加。また、原油高や円安もあって燃料費が暴騰し、航空運賃が爆上がりしました。

各醸造元や輸入商社は、重いガラス瓶を軽量なPETボトルに替えて重量運賃を下げたり、アイテム数を減らして効率化したりと努力しましたが、それでも日本での販売価格は4割高から2倍弱まで高騰せざるを得ない状況というのが、今シーズンのヌーヴォーの実状です。

大手、例えばビール系メーカーや大規模スーパーPB等、体力と販売力のあるところですと、高くても従来の半数程度は売れる算段が立つでしょう。
しかし中小のメーカーや輸入商社の多くでは、『全数、船便への切替え』、或いは『今シーズンは新酒の販売を断念』といった判断になったようです。

ブドウにも、生産者にも、流通にもなんら罪はなく、ただ単に世界情勢によって売価が振り回されたボジョレー・ヌーヴォー…
4千円の価値があるかどうかは別として、ハーフボトルでも構わないので、今年の出来栄えを試してみられては如何でしょうか?

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