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『チリモン』の許容度を上げて SDGsに貢献したい件

金曜日はグルメとお酒のお話し(でもないな)。
前回は『ギガ・ビッグマック』とちょっと大物でしたので、今回は小さめのお話しをします。

ちりめんじゃこ』、敢えて漢字で書けば『縮緬雑魚』ですね。京都では『おじゃこ』と呼んで育ちました。
何度か『関西と関東とで違う呼び名の食べ物』のことを書いていますが、関東圏というか標準語では『しらす干し』ですかね。厳密に言うと『ちりめんじゃこ』は塩茹でした後に完全乾燥、『しらす干し』は生乾きみたいなイメージがありますが。一般的に『じゃこ』はグレー、『しらす』の方がきれいな白色を想像しますね。

愛知県内のさる食品スーパーで、販売された『ちりめんじゃこ』のパックに『フグ』が混入していたとして、それを購入した消費者が保健所に通報し、スーパーが同じロットで仕入れた約800パックを自主回収するというニュースがありました。

メ~テレ(名古屋テレビ)ニュース '22/6/10

ニュースの映像でその『フグ』が映し出されていましたが、体長約34mmほどの可愛い?フグの稚魚でした。尤も、商品のジャコ自体が約8~10mmくらいのものですので、ひときわ大きく目立つものではあります。
ジャコの乾燥後、パック詰めの工程が機械化されているのか手作業なのかは存じ上げませんが、厳密に取り除くべき!と言えば取り除けるサイズだし、見落とすこともあるだろう?と言えば見落としても仕方ないレベルかとも思います。

メ~テレ(名古屋テレビ)ニュース '22/6/10

さらにニュース映像をよく見れば、『原材料名;イワシ稚魚(愛知県産)・食塩』の後に、『本製品の原材料で使用しているイワシの稚魚は、エビ・カニ・イカその他の魚介類が混ざる漁法で採取しております』と注釈されています。この表記って、もしかしたら『エビ・カニ・イカその他の魚介類が混じる可能性がありますよ』という意味ではなく、単に食品アレルギーの注意喚起表示なのかな?
よくうどん屋さんや和食店のメニューに、『当店のうどんは蕎麦と同じ釜で茹でております』と書かれているのを見ますが、それと同類なのでしょうか?
調べてみたら、やはりそういった意味での注意喚起でした。
重度の甲殻類アレルギーをお持ちの方には、ジャコ・シラス類は要注意食品の1つだそうです。幸いにも食物アレルギーがないので無知でしたが、勉強になりました。

記事の文面を読んだ限りでは、その約800パック全てにフグが入っていたわけではなく、『混入している可能性がある』ということで、スーパー側が保健所の指導により自主回収に踏み切ったようです。
回収されたチリメンジャコは、当然ながら廃棄されます。
大きさが大きさとはいえ、ジャコの生命の数にしてみたら、何百万匹の廃棄になるのでしょう?
尤もイワシ等の小型魚は、成魚になるまでに中型魚や大型魚に丸飲みされることを前提として無数の卵を産むわけですが、それにしても、例のSDGs食品ロスの観点から見ても食物廃棄のニュースって辛いものがありますね。

本件、いろいろ思うことがありましたが、『回収・廃棄当然!』という意見は下記のような感じです。

・食品衛生法でフグ丸ごとの流通は禁止されているので、稚魚だからとかじゃなくこれはアウト!
・一目見てシルバーに光る異物。金属片の可能性もあったわけで、これを見落として販売するのは許せない。
・食べる時にひと目で除去できるというが、小さな子供がオヤツ代わりにバッと食べる時にちゃんと見ずに食べてしまうので、アレルギー等を考えると不安がある。

一方で、『回収・廃棄反対!』派の意見も紹介しておきます。

・昭和の頃は、ジャコに何が入っているか楽しみだったけどなぁ。
・小さい子にしてみたら、エビやカニの赤ちゃんを見つけるだけでも楽しいのに、フグとかタツノオトシゴなんかが入っていたら大喜びだな。
・3cmのフグが怖いなら、それを取り除いて食べればいいだけやん。
・こんなん完全に除去する為に検査の手間や機械化コスト掛けたら、ジャコの価格が上がってしまう。
・以前も同様の案件があってフグ稚魚を集めて検査したけど、毒は全く検出されてない。
・そもそもフグは成長期に食べる藻から毒を生成しているので、稚魚は毒を持ってないし、もしあっても極微量だ。それはコンニャクを作る時に使う凝固剤や、ワインの清澄剤や酸化防止剤と同様に人体に全く問題のない量。

まぁ、いずれのご意見もゴモットモですので、ここで正否を判定するつもりはありませんが。私なら、ということで個人的な意見を書いてみると、
●エビ・カニ・フグ等の稚魚混入に対して許容度の高い人(多少の異種混入を気にしない、楽しめる層)に向けての『無分別パック』と、アレルギー等の事情で完全に異物排除を求める方の為の『完全選別パック』を併売する。もちろん『完全選別』パックには相応のコストが乗る為、多少は割高になるでしょう。
●食品衛生法でフグ丸ごとの流通が禁止されているのを、30mm以下の稚魚は対象外にするように法律改正したらどうか?
●そもそも、この消費者が保健所に持ち込む行動自体が、そういう時代なんですかねぇ。買ったスーパーに持って行って、返金なり交換を求めるだけでは気が済まなかったのかなぁ? 食品衛生法違反を許せなかったのかな?
いろんな思いが頭をよぎります。

ところで、今回の商品もある程度の選別作業を経た上での見逃しだったとは思いますが、シラス漁に於いてはエビやカニに限らず様々な種類の魚介類の幼生が混じってきます。これらをよく見ると、成魚とは異なるその形状がグロテスクでもあり可愛くもあり。
こうした混在幼生を『ポケットモンスター』になぞらえて『チリメンモンスター』、略して『ポケモン』ならぬ『チリモン』と呼ぶそうです。
これらは、食品としての安全性云々ではなく、海生生物の教育の一環として多くの水族館で教材とされ、そうしたサイトも小中学生の自由研究の題材として人気があるそうです。

チリモン図鑑

刺身用のイカにアニサキスが居るのは勘弁願いたいけれど、タイの切り身に骨があった!とか、ハマグリの中にカニが居た!とかいうレベルの馬鹿げたクレームを減らす為にも、こうした啓蒙は頑張って欲しいなと感じます。

チリモン研究イベントの一例

※トップ画像は美味しそうなチリメンジャコのイメージ(無断借用)です。

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