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翻訳: PARAメソッド - 最先端のデジタル情報整理術とは by Tiago Forte

今海外で話題の情報整理術であるPARAメソッド、その提唱者であるティアゴ・フォーテ (Tiago Forte) 氏が2023年2月に投稿した最新のブログ記事を全訳しました。
仕事とプライベート両面において、生産性向上、時間の有効活用、情報の整理方法に興味がある方(つまりほぼすべての方)にとって興味深い内容です。

Tiago Forte (@fortelabs)

ティアゴ・フォーテ氏の著書の日本語訳『SECOND BRAIN (セカンドブレイン) 時間に追われない「知的生産術」』も発売されることもあり、今後さらに注目を集めることと思います! 



PARAメソッド: デジタル情報を整理するための普遍的なシステム

The PARA Method: A Universal System for Organizing Digital Information (2023/2/24)

情報を整理するための完璧なシステムというものを想像してみてください。
文書、ファイル、メモ、アジェンダ、アウトライン、ちょっとしたリサーチなど、あなたの人生におけるあらゆる情報をどこに置くべきか、必要なときにどこにあるのかを正確に教えてくれるシステムです。

このようなシステムは、セットアップが非常に簡単で、維持するのはさらに簡単でなければなりません。結局のところ、最もシンプルで簡単な習慣だけが、長期的に持続するのです。

また、コンピュータのファイルシステム、クラウドストレージ(DropboxやGoogle Driveなど)、デジタルノートアプリなど、情報を保存するさまざまな場所で使用できるよう、柔軟性と包括性を兼ね備えている必要があります。

しかし、理想的な情報整理システムは、何よりもあなたのキャリアと人生における具体的な利益に直接つながるものであるべきです。それは、あなたにとって最も重要なプロジェクトの完了と目標の達成に向けて、劇的にあなたを加速させるものです。

言い換えれば、あなたの人生を整理する究極のシステムは、行動に繋がるもの (actionable) であるはずです。

あなたの行く手を阻むものを増やし、変化をもたらす行動を先延ばしにするのではなく、それらの行動をより近くに引き寄せ、開始と終了を容易にするのです。

10年以上にわたって個人的に実験を重ね、何千人もの生徒を教え、世界トップクラスのプロフェッショナルを指導してきた結果、私はこのようなシステムを開発したのです。

その名も「PARA」。シンプルで包括的、かつ非常に柔軟なシステムで、あらゆるプラットフォームであらゆる種類のデジタル情報を整理することができます。

このシステムは、あなたの生活に秩序をもたらすだけでなく、情報の流れを巧みに操り、あなたが心に決めたことを実現するための一連のツールを身につけることを約束します。

人生全体をカバーする4つのカテゴリー

PARAは、人生のすべての情報を網羅するのは、たった4つのカテゴリーしかない、というシンプルな考察に基づいています。

PARAメソッド 4つのカテゴリー
  • プロジェクト: 今あなたが仕事や生活の中で行っている短期的な取り組み

  • エリア(責任領域): あなたが管理するべき長期的な責任範囲

  • リソース: 将来役に立つであろう話題や関心事

  • アーカイブ: 他3つのカテゴリーの中で、今はアクティブではないもの

あなたには、今アクティブに取り組んでいるプロジェクトがあります。仕事やプライベートで、ある目標に向かって、短期的に取り組むものです。例えば、以下です。

  • ウェブページのデザインを完成させる

  • 新しいコンピュータを購入する

  • 研究レポートを書く

  • バスルームを改装する

  • スペイン語コースを終了する

  • 新しいリビングルームに家具を設置する

あなたには、エリア(責任領域)があります。これは仕事やプライベートの中で継続的に注意を向ける必要がある重要なもののことです。これには以下が含まれます。

  • 仕事上の責任:マーケティング、人事、プロダクトマネジメント、研究開発、上司、エンジニアリングなど

  • プライベートな責任:健康、金銭面、子ども、執筆活動、車、家など

それから、あなたが興味があって、学んでいる様々なトピックについてのリソースがあります。例えば、以下です。

  • グラフィックデザイン

  • 個人の生産性向上

  • オーガニックガーデニング

  • コーヒー

  • 現代建築

  • ウェブデザイン

  • 日本語の勉強

  • フランス文学

  • ノートを取ること

  • 呼吸法

  • 習慣化

  • 写真撮影

  • マーケティング資産

最後にアーカイブです。これは前の3つのカテゴリーから、もうアクティブではないものの、将来参照できるように保存しておきたいものです。

  • 完了(または保留)したプロジェクト

  • もうアクティブでなくなった、または関係なくなったエリア

  • もう興味がなくなったリソース

以上です!プロジェクト、エリア、リソース、アーカイブの4つの上位フォルダには、それぞれアクティブなプロジェクト、エリア、リソース、アーカイブに特化した少数のサブフォルダが含まれています。

複雑な現代人の生活が、たった4つのカテゴリーに収まるとは信じられないかも知れません。このような単純なシステムには収まらないほど、多くのことに対処しなければならないように感じるかも知しれません。

しかし、そこがまさに重要な点です。情報整理システムがあなたの人生と同じくらい複雑であれば、そのシステムを維持するだけで、その人生を送るために必要な時間とエネルギーを奪うことになります。

情報を整理するシステムは、あなたの注意を奪うのではなく、解放するようなシンプルなものでなければいけません。システムは、時間を奪うのではなく、時間を与えるものでなければいけません。

重要な原則: プロジェクトとゴールで情報を整理する

ほとんどの人が初めて情報整理の方法を学ぶのは学校です。授業で使うノートやプリント、勉強道具を数学、歴史、化学などの教科ごとに分類するよう教えられました。

そして、気づかないうちに、私たちは大人になっても同じ方法を取っているのです。私たちは「マーケティング」「心理学」「ビジネス」「アイデア」など、信じられないほど幅広いテーマで書類やファイルを分類し続けています。

これは、学業後のキャリアにおいて、全く意味を成しません。職場には授業も、テストも、学年も、卒業証書も存在しません。最終試験に何を書けばよいか教えてくれる先生もいません。そんな人はいないのですから。

仕事でも人生でも、あなたには達成したい結果があります。新製品の発売、家族旅行の計画、何かしら重大な決断、近所の保育園探し、新しい文章の出版、四半期ごとの売上高の達成など。

そんな忙しい日々でこれらのことに取り組んでいる中、「心理学」のような膨大なカテゴリーから必要な情報を探し出す時間は、絶対にないのです。

学校のように大まかな科目ごとに情報を整理する代わりに、たった今、自分がコミットしているプロジェクトやゴールごとに整理することをお勧めします。これこそが、本書の中で私がマントラのように何度も繰り返す「アクションのしやすさ (actionability) で整理する」ということなのです。

例えば、グラフィックデザインプロジェクトに取り組む時には、そのプロジェクトに関連するすべてのノート、文書、アセット、その他の資料を一か所にまとめて、すぐに使えるようにする必要があるでしょう。

当たり前のように思えるかもしれませんが、ほとんどの人がしていることとは正反対です。ほとんどの人は、関連する資料を様々な場所に分散させていて、見つけるだけで30分もかかったりします。

各プロジェクトやゴールに関連するすべての資料を一か所に集めるにはどうしたらいいでしょうか?初めから、PARAメソッドで整理するのです。そうすれば、どんなものでもどこに置くべきなのか、それをどこで見つけられるのか、正確に把握することができるようになります。

プロジェクトごとに整理することの威力

数年間のあいだ、私はサンフランシスコのベイエリアでプロダクティビティーコーチとして働いていました。当時はハイテクブームの絶頂期で、世界で最も影響力のある企業のハイパワーなプロフェッショナルたちが、自分のパフォーマンスを少しでも向上させることを求めていました。私は喜んでそれを引き受けました。

私は、サンフランシスコ南部にある、湾を見下ろす美しいキャンパスにある有名なバイオテクノロジー企業で、何人かのエグゼクティブを指導していました。ある美しい春の日、私は次のクライアントである、命を救う新しい医薬品の開発を担当するシニア・ディレクターを待っていたのを覚えている。
彼が到着したら、普段のコーチングセッションと同じように、シンプルな質問から始まりました。「プロジェクトリストは持ってきますか?」

プロダクティビティーコーチとしてクライアントと仕事をするとき、私が必ず最初にお願いすることの1つが、プロジェクトリストを見せてもらうことです。どのような仕事をしていて、現在どれくらいの仕事量があって、そしてどのような優先事項や成果を進めようとしているのかを把握するために必要だからです。

彼は「もちろん!」と言いながら、頭の中からリストに書き出した後(最初の警告サイン)、このようなリストを私に渡しました。

プロジェクトリスト
1. 人材採用
2. イベント
3. 部下
4. 戦略検討
5. リサーチ
6. 休暇
7. 専門家の育成
8. 生産性

問題があるのがわかりますか?もう一度よく見てください。

先ほどの定義に従えば、このリストにはプロジェクトである項目はひとつもありません。「戦略検討」は永久に終わることがありますか?「休暇」をリストから永久に外せるときが来るでしょうか?そんなこと望みません!

このリストのすべての項目は、実際には、エリア(責任領域)です。これは、言葉の解釈次第と思われるかもしれませんが、そうではありません。どんなに頭がよくても、どんなに行動力があっても、エリア(責任領域)を具体的なプロジェクトに分解しない限り、実行できない重要なことが2つあることを私は学びました。

1. 本当の自分のコミットメントの範囲がわからない

私がよく耳にする不満のひとつが「余裕がない」というものです。私も同感です。どれくらいの仕事量だとが多すぎると感じるでしょうか。

エリア(責任領域)という観点で自分の仕事を見る限り、どれくらいの仕事があるのか、よくわかりません。上のリストを見てみると、「採用」はどれくらいの仕事量になるでしょうか。半年ごとに行うパートタイムの採用なのか、この四半期中に50個のポジションを埋めることなのか、あらゆる可能性が考えられます。

一目でわかるはずもなく、その不正確さのせいで、すべてのエリアが実際以上に手間がかかるものに感じてしまうのです。

もし、あなたが「採用」プロジェクトそれぞれを明確にし、そのリストを毎日目の前に置いているところを想像してください。どれだけのことが残っているのか、次に何をすべきなのか、とてもわかりやすくなりませんか?

例:

採用プロジェクト
1. エンジニアリングマネージャーを採用する
2. プロジェクト分析担当を採用する
3. マーケティングディレクターを採用する
4. フィールドリサーチ担当を採用する
5. 財務マネージャーを採用する

2. 今の取り組みと長期目標を繋げられない

ナレッジワークの最も難しいこと(同時にやりがいのあること)のひとつは、クリエイティビティが求められることです。そして、クリエイティビティを維持するためには、モチベーションが必要です。燃え尽きて、やる気をなくしてしまっては、最高の思考と最高のアイデアを提供し続けることはできません。

私たちのモチベーションは何に依存しているのでしょうか。ほとんどは、一貫した進捗があることです。それがどこかに繋がっているにだとわかっていれば、短期的にはかなりのストレスやフラストレーションに耐えることができます。

このことが2つ目の問題点に繋がります。個々のプロジェクトリストがなければ、現在の取り組みを長期的なゴールにつなげることはできません。
上のリストをもう一度見てください。どの項目も終わったり、変化したりすることがありません。それこそがエリア(責任領域)の定義であり、無期限に続くということです。毎週毎週、毎月毎月、そして毎年毎年、全く同じ終わりのない責任のリストを追いかけさせられるとしたら、どんな心理的影響があるでしょうか。どれだけハードに働いても、果てしない地平線は決して近づいてきません。

正直なところ、これ以上モチベーションを削ぐ方法を私は思いつけません。
自分の責任を一口サイズのプロジェクトに分割することで、プロジェクトリストは常に入れ替わるようになります。そうすることで、プロジェクトを成功させるたびにそれを祝う、という定期的な勝利の周期を作ることができるのです。例えば、「イベント」という広い領域を、実行中のイベントごとに分割したら、どれだけやる気と達成感を感じられるか想像してみてください。

幅広いエリアの「イベント群」を個別のイベントに分割することで、どれだけモチベーションや達成感を感じられるか想像してみてください。

イベントプロジェクト
1. 四半期毎の社員イベント
2. 年次ステークホルダー総会
3. リサーチ手法に関するワークショップ
4. 年度末の採用フェア
5. 役員向けサマーイベント

どんなに広範囲な責任領域でも、小さなプロジェクトに分解することは可能です。そして、目標に向かって実際に進捗しているかどうかを確認したいのであれば、必ずそうしましょう。

あなたが望む人生のために整理しよう

PARAを使うということは、ただ単に物を入れるためのフォルダをたくさん作ることではありません。

仕事と人生の構造を見つけることです。あなたは何にコミットしているのか、何を変えたいのか、どこへ行きたいのか。あなたが望む未来の人生をサポートし、実現するために、情報を整理することです。

私たちが「整理」と呼ぶものの多くは、本質的には姿を変えた「先延ばし」なのです。私たちは「準備中」「研究中」と自分に言い聞かせ、進捗しているフリをするのです。実際には、私たちが恐れているタスクに直面する必要がないように、何かを磨いたり整理したりできる小さなことを探しているのです。

PARAは非常にシンプルな整理メソッドを提供することで、このような状況を打破し、言い訳もできないよう、次の必要なステップ以外は何も残しません。あなたの環境に十分な秩序を加えて、前に進むために明確さを持つためのミニマリスト的な方法です。

世の中にはもっと複雑で、洗練された、専門的な情報整理の方法は他にもありますが、PARAは時の試練に耐える唯一のものです。なぜなら、PARAにかかる時間よりも、PARAから与えられる時間の方が多いのだから。

Source: The PARA Method: The Simple System for Organizing Your Digital Life in Seconds


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