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5期目の振り返りと6期目の目標

起業してから5年の月日が経ちました。

5年の生存率が15%と言われている中、5期連続で増収増益、黒字で無事5期目の決算を終えることができました。

前年比GAGR131%成長と昨年を大きく上回る業績を出すことができたこと、日頃よりお世話になっているお客様、パートナー様、従業員の皆様にこの場を借りて感謝をお伝えいたします。本当にありがとうございます。

毎期、noteに通期の振り返りを記載していますので今期も振り返りを記載していきます。5期目は業績が伸びたものの多くの課題が浮き彫りになり、経営者としての真価が問われる非常に苦しい1年でした。

ネガティブ面をnoteに記載するか迷いましたが、今後も会社経営をしていく自分への戒めと、本noteをご覧頂く方々にベンチャー企業のリアルを少しでもお伝えできればという2つの観点で、良い面も悪い面も曝け出して5期目を振り返っていければと思います。

苦悩の1年

5期目は中野に構えていたオフィスが手狭になったこともあり、新宿に移転したところからスタートしました。

新宿本社のエントランス

新宿御苑駅徒歩1分の立地と60坪の広さ、何よりも築7年で綺麗なオフィスを見て、「やっとここまできた。ここから更に会社成長に拍車をかける」と決意したのを覚えています。

しかし、自分の想いとは裏腹に5期目は多くの問題が発生し、非常に苦しい1年でした。

  • リーダー層の不義理な行動

  • 大量離職による組織崩壊の危機

  • マーケットシェアNo.1の陥落

全て経営者である僕の責任で起きたことではありますが、1人の人間として心身共にダメージを受け、元々お酒を飲むタイプではありませんでしたが、一時はお酒を飲む機会や量も増えるようなところまで追い込まれていました。

リーダー層の不義理な行動

信頼してリーダー(部門責任者)を任せていた2名の不義理な行動に頭を悩ませる時期がありました。

1人目は開発責任者でした。家庭の事情で退職が決まる中、コンプライアンスに触れる問題を起こし、双方話し合いの上、予定の退職時期より早いタイミングで退職してもらうことになりました。
去り際や別れ際に人の真価が問われると言いますが、まさに退職が決定した後に起こされたトラブルでもあり、非常に残念な感情を抱いたのを覚えています。

2人目はCS責任者でした。役職が上がるに連れて横柄になり、部門内のハレーションや部門間でのハレーションを多く発生させていました。蓋をあけると自身へのクレーム隠しや顧客トラブルなども発覚し、年間の損害額は数百万円と実利への影響も出ていました。

営業担当や前任担当が良好な関係を築いていたクライアントから、担当変更依頼の連絡を受けるなどもあり、本人に改善するよう指導していましたが、改善されることもなく、退職に至りました。

何よりも当社を信頼して仕事をお任せ頂いているお客様に真摯ではない対応をしていたことに申し訳なさを感じました。

信頼・期待で上にあげたメンバーのこのような問題を起こし、責任は勿論代表である僕にあるのですが、非常にネガティブな感情を抱いたのを覚えています。

リーダー層の退職後も様々な問題が起こり、多くの離職が発生しました。

重なる離職の連鎖

  • 該当部門の採用における求人掲載中に追加採用を確認し、今のメンバーで問題ないと受け、その1週間後に求人掲載が終了後、寿退社を伝えられる

  • Twitterで会社や上司の悪口を言う社員

  • 上司・部下間でのハレーションによる退職

上記以外にもキャリアップや独立などの退職が重なり、上半期で7名が退職しました。20数名の組織では約半数に満たないメンバーが会社を去ることになり、会社全体にも不穏な空気が流れていたのを覚えています。

退職の連鎖はゴールデンウィークぐらいまで重ねて続き、毎月、誰かが辞めて新しい人が入ってくる状態が続いていました。

追い討ちをかけるマーケットシェアNo.1の陥落

更には、リリースから3年、常に導入数No.1だった独自SaaSのマーケットシェアを競合に抜かれてしまいました。

様々な理由はありますが、原因は明確であり、

  • 次の一手をとPMを担っていた私から幹部陣に権限を譲渡し、PM責任者をはっきりと決めないまま新ツールの開発に時間を使っていたこと

  • シンプルにNo.1の座に胡座を掻いていたこと

でした。

このように様々な問題や課題が浮き彫りになり、経営者である自分の責任部分も大きく、経営者としての実力不足を痛感することの多い1年でした。

それでも前進するのが経営者

全体朝礼の一コマ

『どれだけ苦しく辛くても経営者は歩みを止めてはいけない。会社が潰れるのは経営者の心が折れた時であり、心が折れなければ勝機はいくらでもある。だから社会・お客様・仲間への責任を果たすためにも経営者はどんな時も前進するべきだ。』

上記は僕がお世話になっている先輩経営者の方に教えて頂いた言葉です。この言葉を深く噛み締めながら5期目は苦しい中でも前進することを心がけていました。とにかく信じて付いてきてくれているメンバーや新しく入ってくる人への責務、お客様への責務を強く感じでいました。

5期目は苦しい中でも企業成長・組織成長を行い、お客様への提供品質や提供領域を拡大するために、様々な取り組みを行いました。

  • 香川支店の立ち上げ

  • 独自SaaSの全面リニューアルと資金調達

  • 幹部合宿の実施

  • 人事の抜擢

  • 新しいプロダクトの開発

香川支店の立ち上げ

支店開設時

フルリモートで活躍してくれているメンバーが高松に住んでいたこともあり、縁もゆかりもない土地でしたが、香川県高松市に5月、支店を開設しました。

東京での採用が難航していた点、東京で採用する際の求人掲載費や採用成功報酬の高さ、原資が上がることによる長期目線での顧客提供価格の高騰、組織ビルディングに伴うリスクヘッジなど、複数の観点から支店を香川に開設いたしました。

支店の主な機能としてはSMBのマーケティング及びカスタマーサクセスとなります。

現在では支店も9名の組織まで拡大し、東京本社から5月の立ち上げ時に1名、6期目に入るタイミングで前職からの後輩であり、営業次長であった信頼おけるメンバーをカスタマーサクセス責任者としてコンバートしました。

見送り日の羽田空港での一コマ

2週間後というタイトなスケジュールの中、快く1つ返事で支店行きを決断してくれたことに感謝しています。

独自SaaSの全面リニューアルと資金調達

自社SaaS

2019年8月のリリースから3年、社内開発メンバーの人件費なども含めて8,000万円の開発費用を投資してきました。

元々、SaaSという概念やツールを提供するために開発した訳ではなく、自社のMEOサービスを内製化するために開発したツールでした。時代の流れや顧客ニーズの高さから、SaaSとして販売をし始め、多くの機能アップデートを繰り返してきました。

有難いことに大手チェーン店の企業様から個人店様、同業他社様までご利用頂くSaaSへと成長してきましたが、社内ツールをSaaSとして提供し始めた影響が少しずつ発生し、不具合の発生や使用面で使いづらい部分など、ユーザーボイスを集めたことからも全面リニューアルを行うことにしました。

そのために必要な資源としてデッドファイナンスで数千万円の借入を行いました。開発費用及びそのための人件費を担保するための借入を行い、累計の借入は数億となりました。

これまでに借入では恐怖を感じることがありませんでしたが、この借入を実行した後、億を超える借入(借金)の恐怖がリアリティーを増し、数週間は眠れない日々が続きました。

投資である点、何度も何度も行った試算で大丈夫と思ってもふとした瞬間に訪れる借入の恐怖を乗り越えるには仲間を信じるしかありません。この金額で会社もプロダクトも良くなり、お客様に喜んで頂ける。と自分に言い聞かせることで恐怖を乗り越えました。

現在はリニューアルを進めている段階ですが、この判断は間違っていなかったと思っています。

幹部合宿の実施

幹部合宿の一コマ

組織崩壊をしかけた原因、離職の多発が続く最大の原因は代表である僕であると共に、各部門の責任者も変わらないといけないと思い、8月に本社・支店の幹部を集め、熱海で一泊2日の幹部合宿を行いました。

組織の課題や幹部陣が会社の未来をどう考えているのかを1日話し合い、寝食を共にすることで幹部陣の相互理解と会社のベクトルのすり合わせを行いました。

リーダー陣がお互いに何を考えているのか、会社の未来をどのように描いているのかを理解することにより、会社としての課題や目指す方向性を固めることができました。

リーダー陣の結束力が固まった有意義な時間となり、会社にとってプラスに繋がった瞬間でした。

その後も定期的に幹部陣での本音会議や社内研修を行い、より会社を成長させるために、お客様へのサービス品質向上や顧客満足度向上をさせるためにといった部分を定期的に会話することで、より幹部陣の当事者意識や成長させるための意欲も高まり、徐々に自走できる組織へと変革することが出来てきていると実感しています。

人事の抜擢

5月、セールス、新規事業、カスタマーサクセスを経験した人材を人事に抜擢しました。

採用面や組織面の課題が浮き彫りになっていたタイミングで、人数的にも組織の成長を見越しても代表である私が人事機能を担うフェーズではないと感じた点が理由です。

採用基準の見直しや新入社員へのオンボーディングをメインに行い、採用のミスマッチや定着率が大きく変わる結果となりました。

他にも人事制度の見直しやサーベイの導入、社内報の導入を行い、組織間のエンゲージメントやコミュニケーション機会を増やす取り組みを行いました。

人事を置いて半年の期間となりますので、今後は組織成長・クルー(従業員)の成長を会社としてもコミットし、より成長できる組織へ、成長する組織へと変革するための取り組みを進めています。

新プロダクトのリリース

自社SaaS

MEO(Googleビジネスプロフィール)の次に、店舗のお客様から相談頂く機会の多かったInstagramの分析ツールを8月に正式リリースいたしました。

PLG戦略のため、まだ開発費用の回収やPMFが完了できていないですが、より店舗事業主様のデジタルマーケティング・SNSマーケティングを効果的・生産的に行うために開発いたしました。

提供領域を拡大することにより、MEO会社、MEOツールの会社から脱却し、ミッションである『店舗の価値を創造するデータソリューションカンパニー』を体現する最初の一歩だと考えています。

店舗DXで日本を代表する会社になるために、今後も店舗DXを促進するための様々なサービスや機能をリリースしていく予定です。

InstaチェキURL:https://lp.insta-tools.com/

6期目のビジョン

1.エクイティ調達の実施

これまで自己資金と金融機関からのデッドファイナンスのみで大型資金調達をする競合他社と導入シェアを競い、毎期黒字経営を行なってきました。1/5の資金、1/3の人数でやってきたことは、弊社の自信と誇りになっています。

詳しいことは記載できないですが、年明けにエクイティの調達を行います。より市場やお客様への提供価値を高めるため、弊社自身の成長速度を高めるために決断しました。

本調達を行い、より事業の成長速度を高め、市場・お客様へ貢献していきます。

2.シェアNo.1の奪還

6期目中に導入数80,000店舗を目指し、No.1の奪還を行います。そのためにSaaSの全面リニューアルやカスタマーサクセスの強化を進めています。

他にも機能の精度を高めるアップデートや新機能のリリースを予定しています。より店舗事業主様がインターネット上の情報管理や集客向上を生産的に行えるようになるために組織もプロダクトもブラッシュアップしていきます。

3.新サービスのPMF

プロダクトをリリースするだけでは意味がありませんので、新サービスもPMFさせます。

店舗の業種によっては、GoogleビジネスプロフィールよりもInstagramの方が重要な場合もありますので、大量のデータを蓄積し、ツールへと落とし込むことにより、店舗事業主様が簡単にInstagramを活用できる状態を目指します。

6期目中に1,000アカウントの導入を目指し、事業を拡大させていきます。

4.仲間の成長にコミットする

冒頭の話と少し矛盾してしまうかもしれませんが、私は人に恵まれていると思っています。

前職から付いてきてくれた2名の後輩、信頼をしてくれているリーダー陣と。No.2に困ったこともなければ、社内で派閥ができるようなこともありません。

だからこそ、会社の未来や私を信じて付いてきてくれているメンバーを会社のステージと共に引き上げることが責務だと思っています。私自身も現場に出てしまっている部分もあるため、現場から手を引き、仲間を信じながら経営業務に集中できる環境を構築していきます。

執行役員、部長クラス、マネージャー層を増やし、コアメンバーを固めながら組織も人も成長できる会社へと成長していきます。

最後に

私も年を明けると31歳になります。30代の始まりは苦しい時期が続き、経営の難しさや組織ビルディングの難しさを身に沁みる結果となりました。
本当に悔しいと思う気持ちを感じることが多い1年でした。

6期目に掲げている目標を必ず実現し、来年の今頃には良い1年だった、組織も人も私も大きく成長できたと実感できる1年にします。

店舗DX No.1の会社としてIPOを早期に実現する目標も中長期ビジョンとして掲げていきますので、IPO実現の第一歩として今まで以上に成長へコミットしていきます。

最後に5期目の辛い時に助けられた曲を紹介します。

今後ともよろしくお願いいたします。







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