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寝る子は育つ、は本当なのか調べたら、 脳も身体も育つことがわかった話 Part1

こんにちは、かっちゃんです。

最近、睡眠が大事だというような記事や本がたくさん取り上げられています。
短眠で効率upや8時間以上寝る方が良い、睡眠負債という言葉もよく耳にします。
ただ、これらは大人のことであって、人にもよりけりというのが本当のところだと思います。調査手法によってばらつきが出てくるのもあるので…
しかし、子どもはたくさん寝る、ということが大事というのは頭でわかっていても、なぜ大事なのかを理解するのは少し難しい部分もあります。
今回はそのことに関してクローズアップしていきたいと思います。

ただ、いろいろ調べて書いていくと、とーっても長くなってしまったので
2回に分けてお送りいたします!(毎度すみません…)



1. 子どもの睡眠時間

日本の子どもの睡眠時間は短いということは聞いたことがある方もいらっしゃると思います。
3歳以下の幼児の1日の総睡眠時間の比較をしてみると…

日本:11h37m
韓国:11h50m
中国:12h30m
タイ:12h20m
アメリカ:12h50m
ニュージーランド:13h19m
(2010年発表 Mindellらの研究論文より)

一番多いニュージーランドより比べると約1時間45分の差があり、他の国と比べるとかなり少ないことがわかります。

どうしてこんなに短いのでしょうか?
大きな理由は「夜更かし」とされています。
22:00以降に眠る子どもの割合は様々な資料を見ていると35-45%にも上ります。
他国では22:00以降に眠る子どもの割合は25%未満くらいと言われています。

夜更かしにも理由があります。
昼間の寝すぎ、夜の環境が暗くなく明るい、両親の眠るタイミングに合わせて…いろいろな要因が考えられますが、今回は睡眠について少し迫っていきたいと思います。



2. 睡眠メカニズム

まずは睡眠そのものに関して、と睡眠が与える影響に関してです。


①レム睡眠、ノンレム睡眠
一度は聞いたことがあるこの言葉、急速な眼球運動が見られるのがレム睡眠=浅い眠り、その反対がノンレム睡眠=深い眠りですね。
通常90-120分おきに交互にノンレム睡眠とレム睡眠を繰り返すと言われていますが、6歳ころまでは40-60分毎に繰り返されるとされています。
この40-60分おきというのは子どもの体内のリズムで、大人は90-120分おきのリズムを持っています。

19-30歳ころは総睡眠時間に対してレム睡眠は20%程度の割合、その後歳を重ねるにつれて割合が減っていきます。
一方、子どものレム睡眠時間割合ですが、新生児は50%程度、3-5カ月で40%程度、6-23か月で30%、2-3歳で25%、3-5歳で20%程度、と、生まれたての時の方が深い眠りが少ないと言えます。
新生児の場合、睡眠メカニズム、概日リズムが整っていないので、このような現象が見られます。

概日リズム…とはいったい何のことでしょう?


②概日リズム
概日リズムはサーカディアンリズムと言われたりもします。
先程、新生児の場合整っていないと書きましたが、乳児の場合、中枢神経系が未発達で、睡眠及び覚醒パターンが定まっていないのです。
そのため、昼夜関係なくずっと寝ているというような状態が続きます。

1か月ころからだんだんと「メラトニン」というホルモン物質を分泌することにより、昼間に覚醒し、夜に睡眠をとるというリズムができ始めてきます。
このリズムが概日リズム(サーカディアンリズム)と言われています。
その後、1歳頃では夜間睡眠が持続的に行われ、昼寝も1-2回程度となります。
4歳ごろになると昼寝1回で過ごせるようになり、6歳頃からは生理的な昼寝は消えていくとされています。
このリズムを保つためには規則性が大事で、寝る時間、起きる時間はなるべく同じにする必要があります。
リズムが一定でないと集中力や忍耐力、情緒面や行動面にも影響が出てきます。
睡眠とその影響はもう少し後で述べることにします。

この概日リズムを保つためにも「寝すぎない・寝なさすぎない」というのがポイントになってくると思います。
もちろん新生児から乳児にかけては寝ることが仕事ともいえ、とても重要ですが、幼児期になればリズム形成をしていくためにも、寝すぎにも気を付けたいところです。


③メラトニン
また、先程出てきた「メラトニン」ですが、メラトニンは脳内の松果体というところで成合成されるホルモンです。
このメラトニン分泌により概日リズムの調節作用が働きます。
日中の分泌が少なく、夜間に増加するのがこのホルモンの特徴です。

目の網膜から光の刺激→体内時計(生物時計・視交叉上核)→松果体という流れで、光を受けることで松果体でのメラトニン分泌を抑制しています。
分泌後14-16時間後に体内時計からの指令により分泌が再開され、「深部体温」が低下していき、眠りへと誘うようなシステムになっています。
また、このホルモンは抗酸化作用や細胞の新陳代謝を促すともいわれています。

つまり、光の刺激によってメラトニン分泌が抑制されるということは、本当は暗いはずの夜間に光を浴びてしまうとどうなるか…
光を浴びることでメラトニンが分泌されないままになり、睡眠になかなか入れなかったり、概日リズムが崩れてしまうということになりますね。

現代社会ではどうしても光にあふれているので、メラトニンが分泌されにくい環境ではあります。
夜間に10000ルクス(コンビニの照明くらい)の光は妨げになります。
夜はできるだけ明るくないところで過ごす、というのが重要と言えます。

特に乳幼児はただでさえ、概日リズムが整えられていないので、この時期に夜間も強い光を浴びることで、睡眠バランスが崩れ、概日リズムも整えられないという状態になってしまいます。


④深部体温
先程少し出てきた「深部体温」という言葉ですが、こちらは身体の内部の体温のことで、通常36.5-37.5℃くらいです。
朝から夕方にかけて高くなり、夜から朝にかけて低くなるというリズムを持っています。
この低くなるタイミングで眠りやすくなります。

いずれにせよ、夜間の光というのはメラトニンを分泌できなくなり、入眠させる要素をなくしてしまうということになります。

では睡眠時間が短いとどういう問題が出てくるのか…
ということをPart2にて書いていきたいと思います。


いつも中途半端なところで終わってしまい、すみません…
ただ6000字を超えると読み疲れが出てしまうので、2つに分けさせていただきます。
次回は2,3日以内に上げますので、楽しみにしていてください!


今回参考にしたもの
子どもの夜ふかし 脳への脅威
科学的に正しい子育て
最高の子育て
子どもの将来は「寝室」で決まる
子どもの睡眠と脳の発達 ー睡眠不足と夜型社会の影響-
幼児の描画発達における一考察
幼児の睡眠・生活リズムと親子の生活習慣等の関連
幼児の夜ふかしと主養育者に対する睡眠教育の重要性
乳幼児の睡眠と発達
日本の幼児の睡眠習慣と睡眠に影響を及ぼす要因について
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子供の「理想的な睡眠時間」は何時間?年齢別の平均と、プロが教える睡眠不足の原因、改善テクニック
幼児の遅寝をもたらす親子の睡眠生活習慣の分析
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