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染色家泣かせの黄色

solosoloです
長野県北西部、大町市の山間にて
草木染めをしています

植物の多くは黄色に染まります

草木染めの黄色には鮮やかな色からくすみ色まで
たくさんの種類がありますが
堅牢度が低いのが特徴。
堅牢度には対光性、摩耗、洗濯堅牢度等があり
黄色は対光堅牢度が低いのです。

少しでも強くする為には単純に染めて乾かしての
繰り返しで回数によって強くなります。
いにしえの染色家達は染めては褪色させ
染めてを繰り返し行っていたそうです。


コブナグサ 夏に刈って乾燥させて保存



solosoloでは
最近の黄色は主にコブナグサで染めています。
採取した染料なので、ふんだんに使用しています。
1日に数回染めて その後乾かします。
1日以上干し、繊維と染料と金属を落ち着かせます。
少しでもこの待つ時間が大切。
そしてまた染めて、乾燥の工程へと戻ります。

最終的には黄色を通り越して
やや黄土色のようになって行きます。


ヘンプのショール



その後
黄色の鉱物染めを重ねていきます。
鉱物は土や酸化鉄などの顔料。
要は小さな粒を付着させる染め。


化粧品の日焼け止めクリームにも顔料の物もあり光を通さない特徴があります。
草木染めされた繊維を、
顔料でコーティングする事で対光堅牢度をアップさせます。


やや黄土色だった繊維は顔料の持つ黄色でコーティングされるので
色味としては少し薄くなった様になります。
極端に例えると赤みの牛肉に片栗粉をまぶすと白く見えるイメージです。



黄色い顔料が付着し、中はしっかりと染めてあるので、
中から滲み放たれる力強い草木染めの色を感じる事が出来ます。



黄色は色として重要な色味です。

紫外線、赤外線という物がありますがそれは
放たれる波長の長さによって目が色を捉えるそうです。
人間は波長を捉えられる範囲があって
1番短い波長は紫です
逆に長い波長は赤です。
その範囲を超えた光のエネルギーが紫外線であり
赤外線です。
その丁度真ん中の波長の色が黄色なのです。
単純に波長のみで色が決まるわけではないのですが、それはまた別の話。





黄色は色の対比や調整役にもなり、
また単色でも光、明るさを感じ
希望、精神的な幸福のイメージもあります。

そんな重要な色なのですが
色々と悩ましく染め屋泣かせの色でもあります。



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