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老いてからの読書を考えてみる

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タイトルと、変わったフォントの
表紙に惹かれて購入した、
津野海太郎さんの『最後の読書』。

自分では想像もつかなかった、
老いてからの読書」を
考えるきっかけになりました。

この記事では、
「老いてからの読書」を
あなたと一緒に
考えていきたいと思います。



老いてからの読書には過去が反映される

年齢はどうあれ、
ひとは、それまでに彼が生きた
過去の体験の集積を
丸ごとひっかかえて本を読むし、
読むしかない。

そして老人と老人以前とでは、
単なる事実として、
その集積の(質とまではいわずとも)
量が違う。

しかも身心のおとろえに並行して、
未来を想像する力も
遠慮なく失われてゆくので、
古い本だけでなく、
新しい本までも、
思わず知らず、
過去に積み重なった
おびただしい体験のあいだを
往ったり来たり
点検しながら読んでしまう。

未来よりも過去にかたむく。
そういう読み方が
次第にしっくり感じられるようになった。


津野海太郎『最後の読書』より引用

過去の集積、
それも20代や30代、
また40、50代の壮年期の
壮年期ではなく、

圧倒的に、
幼い少年時代の経験や
体験、価値観のもとで
本を感じるそうです。

これは、私にとっては
非常に意外なことでした。

なぜなら、「読書は積み重ね」
ということを自分自身の
読書体験から強く感じていたため、

読めば読むほど新しい価値観、
つまり老いてからは尚更、
経験を積み重ねた老人としての
価値観のもと本を読むのだと
思い込んでいたためです。

この文章を読んで、
幼い頃の体験や記憶が、
「老人」になってからの読書に
どのように影響を及ぼすのか、
少し楽しみな気分になりました。



老いてからの読書は「お祭り」

津野さんによると、
老いてからの読書は
知識の獲得や勉強ではなく、
「お祭り」だというのです。

音楽や美術などの、
芸術に興味をたくさん
持つことも同様で、
全て個人的なお祭りであって、
ある程度熱中すれば、
自然と冷めていくものだそうです。

この発想は、
老いてからだけではなく、
今の私でもそのように感じます。

もちろん、勉強や教養としての
読書や芸術は大切ですが、
それ以上に知ることや
表現することが自分にとっては
すごく楽しい。

それを「お祭り」と表現することは
思いつきませんでしたが・・・

読書は「お祭り」。
かっこいいですね。



読書は「単純でない」環境に耐える力を与てくれる

私たちは
「決して単純でない」世界を、
それぞれが「単純でない」仕方で
生きてゆくしかない。

読書は、その「単純でない」
環境に耐える力を
私たちに与えてくれる。

これまでもそうだったし、
きっとこれからもそうだろう。


津野海太郎『最後の読書』より引用

津野さんの
上皇后夫妻との思い出と、
美智子様の著書『橋をかける』
にあった言葉に強く共感され、
本に書かれていた文章です。

読書を通じて感じたこと、
疑似体験したこと、
得た知見など・・・

それぞれが、
世の中が「単純でない」ことを
教えてくれ、

その「単純でない」ということに
耐える方法や、
耐えることそのものを
教えてくれるのです。

この一文を読むだけで、
上皇后夫妻や津野さんが
読書を通じて多くのことを
得られたことがわかりますね。

同時に、
読書の無限の可能性を
感じることができます。



最後に

著者の津野さんは、
編集者、編集長を経て、
演劇や大学教授、図書館長など
さまざまなキャリアを持つ、
いわば、「すごい人」です。

しかし、その「すごい人」感を
全く感じさせない、
優しく穏やかな本でした。

歳をとるにつれ、
目は見えなくなり本が読みにくい
情熱に火をつけづらくなり
集中力がもたなくなる
身体が思うように動かない

という、
決して嬉しくない体感が
あるにも関わらず、
こんなに穏やかに
語れるのかと思いました。

津野さんが影響を受けられた本が
数十冊紹介されているのも、
この本を魅力的に感じた
理由の1つです。

以下に書籍を紹介しますが、
少しだけ「老いてからの読書」
を覗いてみたい場合は、
以下の連載がおすすめです。

書籍はこちらの連載をベースに
編集されているため、
こちらの連載だけでも十分
雰囲気を味わうことができますよ。



最後の最後に

と・・・
色々と感想も交えて書きましたが、
この本を読んで強く感じたのは、

読書の力は無限だということ、
そして、
根気強く読めるうちに
1冊でも多くの本を読みたい
ということでした。

ロルフ・ドベリさんの
『Think clearly』の中で
本は厳選して読むこと
勧められていたことにも
やっと納得できました。


\書籍はこちら/








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