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エネルギーについて考える際に便利な枠組み


 ビル・ゲイツさんの『地球の未来のため僕が決断したこと』から学んだことを数回に渡りまとめていきたいと思います。

 今回は、クリーンエネルギーに移行する手段はあるのに、エネルギにーについて考える際に使える「考え方の枠組み」について。


便利な思考の枠組み5つ

①抑えられる炭素排出料は510億トン/年のうちどれくらいか

②人の活動によって排出される、どの温室効果ガスを排除できるのか?

どれだけの電力なのか?

④電力を生み出すのに、どれだけの空間が必要か?

⑤既存のエネルギー産生よりも、どのくらいコストがかかるのか?

 これら5つの枠組みを、エネルギー問題について考える際に持っておくと、情報の整理がしやすくなります。

 エネルギー問題について、ニュース、論文、本、専門家のプレゼンテーションなどを見ると、

どれも単位がバラバラで、「一体それはどれくらいの規模で、どんな効果があるのか?」と思ったことはありませんか?

「この発電方法を使えば、年間1メガトンの炭素の排出を削減できます!」

・・・
メガトン?👀なんだか強そう。
(メガトン=100万トン)

 このような会話になってしまった時でも、510億トンのうち何%かを考えることが出来れば、全体像が把握でき、わかりやすくなります。



人の活動による温室効果ガスの排出量

 思考の枠組みの2つ目、「人の活動によって排出される、どの温室効果ガスを排除できるのか?」について。

 発電だけが、温室効果をたくさん出しているわけではないのです。

 むしろ、電気を使うことは全体の27%でそれ以外の、移動、物を育てること、そして、ものづくりによっても多くの温室効果ガスが発生します。

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 ただし、発電方法が変われば、移動手段の際の温室効果ガス削減につながるなどの相乗効果もあるため、

ここでは、私たちの活動の中の何がどの程度の温室効果ガスを出しているかを理解しましょう。



どれだけの電力なのか?

 「新しい発電所では、500メガワットの発電容量があります!」と聞き、それがどの程度の電力かすぐにわかりますか?

わからへん・・・

 そんな時は、「ワット」という表現と、どのような場所でどの程度の電力が必要かを、なんとなくイメージしましょう。

ワット
1ワット=1秒あたりのエネルギー量
(1秒あたり1ジュール)
よく使われる単位
 1キロワット=1000ワット
 1メガワット=100万ワット
 1ギガワット=10億ワット
どれだけの電力が必要かのイメージ
 世界  5000ギガワット
 アメリカ 1000ギガワット
 中規模都市 1ギガワット
 小さな町  1メガワット
 平均的なアメリカの家庭 1キロワット

(ビル・ゲイツ『地球の未来のため僕が決断したこと 』より引用)

 こうすれば、「500メガワット発電できます!」と言われたら、小さな町500個分か・・・(それでもわかりにくいな。)

となんとなくのイメージをすることができます。



電力を生み出すのに、どれだけの空間が必要か?

 太陽光発電や、風力発電など、日本中につけたらええやん。と思ったのは私だけでしょうか。

 そうしない理由は、あたりまえですが色々あります。その色々な理由のうちの1つが電力密度です。

1平方メートルあたりの発電容量(ワット)
 化石燃料 500−10000
 原子力  500−10000
 太陽光  5−20
 水力(ダム)5−50
 風力   1−2
 木質などのバイオマス 1未満

(ビル・ゲイツ『地球の未来のため僕が決断したこと 』より引用)


 例えば、化石燃料から発電するのと、風力から発電するのとでは、化石燃料の方が500倍以上発電密度が高いのです。

 つまり、化石燃料での発電の方が圧倒的に少ない面積で発電できる、ということです。

 もし、新たな発電方法が考案されれば、「それだけのエネルギーを産生するために、どれくらいの空間が必要になるのか」を考えてください。




既存のエネルギー産生よりも、どのくらいコストがかかるのか?

 新しいエネルギーの産生方法を導入するのに最も大きな問題とも言える、コスト。

 これを抜きにしてエネルギー移行について考えることは難しいです。

 実際に新しいエネルギーを導入する際、既存のエネルギー源で発電することと比較して、どれくらい追加で費用がかかるかを意識するようにしましょう。

 新しい技術が出来上がっても、高価すぎると普及させることができません

追加のコストがわかれば、市民として普及させたい声をあげたり、投資をするなどして意思表示をしたりなど、行動を起こす動機にもなります。



まとめ

もう一度まとめると、地球の環境、エネルギーの問題について考えるときに便利な指標は以下の通りです。

①抑えられる炭素排出料は510億トン/年のうちどれくらいか

②人の活動によって排出される、どの温室効果ガスを排除できるのか?

③どれだけの電力なのか?

④電力を生み出すのに、どれだけの空間が必要か?

⑤既存のエネルギー産生よりも、どのくらいコストがかかるのか?


分野や話し手によって単位や表現が異なり、理解が難しく感じますが、枠組みに沿って考えることで全体像を把握しやすくなりますよ^ ^




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