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エネルギーの移行がうまくいかない理由

ビル・ゲイツさんの『地球の未来のため僕が決断したこと』から学んだことを数回に渡りまとめていきたいと思います。

今回は、クリーンエネルギーに移行する手段はあるのに、エネルギーの移行がうまくいかない理由について。



エネルギーの移行がうまくいかない5つの理由

①移行に巨額のコストがかかるため

②新しいエネルギーの導入にかかるリスクを下げようとするため

③法律や規制が適切でない

④気候変動への対処方法が、選挙の度に代わってしまっているため

⑤気候変動に対する強い合意がなく、人によって意見が様々であるため

現在の化石燃料は、「ソフトドリンクよりも安い」と言われていることをご存知でしょうか?

クリーンなエネルギーを生み出すための電池や、原子力発電所を作るには、

発電するためのリチウム電池を作るコストや、発電所を作り数十年間稼働させるコストがかかります。

また、チェルノブイリ原発の事故や、東北大震災での原子力発電所の事故の印象が強いことも理由の1つです。

でも、これらの原発事故で亡くなられた数と、化石燃料を掘り起こすために亡くなられた数は、後者の方が圧倒的に多いのです。

どちらの被害者が多い・少ないという判断ではなく、日頃から使用されている化石燃料を掘り起こすために多くの方々が亡くなられている現実を知ってください。


各国における、気候変動や新エネルギー、それに伴う開発に対する法律が整備されていないこと、

各国の選挙に置いて、選挙の度にエネルギーや気候問題に対するアプローチが代わっていることも、エネルギーが移行できない原因の1つです。


そして、最も身近なものとして、気候変動に対して強いコンセンサスが取れていない現状があります。

あなたは気候変動に対して、どのような意見をお持ちですか?

「気候変動は大問題だけど、それよりも医療や教育支援の方が重要だから後回し。」と思っていませんか?

そう思うのは仕方のないことかもしれません。しかし、炭素の排出量をゼロにし、気候変動を食い止めるためには、

炭素の排出量をゼロにすることも教育も、医療も、同時に進める必要があるのです。



そもそもエネルギーを移行すべき理由

上記にエネルギーの移行がうまく進まない理由を述べましたが、なぜエネルギーの移行をすべきなのでしょうか?

それは、現在年間510億トンもの炭素の排出をゼロにする必要があるからです。各国の目標である26〜57%の削減ではなく、ゼロです。

二酸化炭素の排出量の増加と、気温の変化は相関しており、1850年以降、地球の平均気温は1〜1.5度上がっています。

1〜1.5度と聞くと、大した温度でないように感じますが、これは平均気温ですので、地域によっては5度以上温度が上がる場所も出てくるのです。

気温が上がれば何が起こるのか。

既に日本でも、大型の台風や大雨・洪水などの被害が出ていますが、それ以外のものも紹介します。

・非常に暑い日が増える

・大雨の場所と乾燥する場所が極端になり、山火事の頻度と激しさが増える

・海面の上昇により、水没する都市が出てくる(排水管から海水が噴き出ることも・・・)

・農作物の収穫量が減る

・動物、海洋生物の生態系が変わる

・経済損失が増え続ける(それも、コロナウィルスのパンデミックよりも深刻な)

簡素化して述べていますが、1つ1つの事象に注意を向けるとゾッとします。

前述した通り、日本でも気温の上昇や異常気象により、農作物や海洋生物、卵や乳、家畜関係の食物の収穫に影響が出ていますが、

その影響は一時的なものではなく、異常気象に伴い増え続けるのです。




脱炭素に向けた取り組みとして、テクノロジーで未来を開く立場

以前読んだ、斎藤幸平さんの『人新世の「資本論」』では、資本主義が終焉しない限り炭素の排出は止めることができないため、

コミュニズムという思想のもと、資本主義を止めることで気候変動をも食い止めるという主張がなされていました。

一方、今回のビル・ゲイツさんの本では、脱炭素に向けた問題は「テクノロジー」が解決できる。という立場から書かれています。

この2つの主張の違いなども考えながら、本を読み進めたいと思います^ ^



▼斎藤幸平さんの『人新世の「資本論」』感想文はこちら


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