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ショウガの皮はむくべきか?

突然ですが、みなさんはショウガを使う時、皮をむく派ですか?それともむかない派?

一時期よく小耳にしたのが、ショウガは皮付近に栄養成分が集まっているので皮はむかずに使うように、という説。

これは僕の周りの編集者や料理研究家、管理栄養士までもが、今でも口を揃えてそう言います。

僕は「むく派」です。自分で栽培したものなら「こそぐ派」。以前は僕もむかずに使っていたことがあります。でも、10年ほど前、高知県のショウガ専門農家さんたちを取材して以来「むく&こそぐ派」になりました。

それはこんな話を聞かせていただいてから。

「最近よく皮をむかずに使うのがいい、と聞きますけど、ショウガの皮はむくようにお伝えください。確かに皮の部分に栄養や香りのもとがあるようですが、殆どの圃場は農薬漬け。特にショウガ栽培はそうです。あと衛生的にも心配だから」

ならば無農薬栽培ならいいのでは?と、一部オーガニック栽培もされている方に聞くと「特におろしや千切りなど生食する場合はむいたほうがいいと思います。土には無数の菌が住んでいますから。一番いいのはよくよく洗ってスプーンや包丁を当ててこそぐやり方かな」

ショウガのオーガニック栽培は至難の技と言われるそうです。全国的に見てもそれを成功させている農家は本当に希少だとか。

僕が取材に伺った際、すべての圃場で専用の長靴を貸していただきました。これは牛舎でもたまにありました。理由は僕の足元が汚れるからと思っていたらその逆で。

「有害なものが侵入してくるリスクがあるから。害虫、ウィルス、菌とか。ショウガはデリケートな作物なので、すぐに病害虫に侵されてしまうんです。慣行農法(農薬や化成肥料を使う農法)では圃場の完全消毒が鉄則です」

ショウガがこれほどに繊細なものだったとは。以来「むく&こそぐ派」となったわけです。

高知のショウガ農園。土足?厳禁の圃場

自分が栽培したものについては「こそぐ派」です。高知のその農家さんに聞きながら昨年一昨年と圃場を変えて2年に渡りトライしてこれが大成功。未申請ですが長年農薬・化成肥料を使用していない圃場での有機無農薬栽培です。

最初は自分で無農薬栽培したのだからと皮をむかずに使っていましたが、いつぞやニシダ師匠が指を腫らした事件があって、以来こそいでつかうようになりました。

集落でも野生児ゴリラーマンとして有名なニシダ師匠。軽トラに載せたままの雨ざらしの包丁で、何でもかんでも切ってはバクバクと食べてしまうようなワイルドな人。

そんな人がある時、指を腫らして農作業ができなくなったことがあったのです。聞けば「何かの雑菌が入って炎症を起こしてしもた」と。病院知らずな人が病院へ行ったというからなかなかの重症です。

畑にはいっぱい菌がいるんですね。

「そういうことや。土はまだまだわからんことの多い世界。作業を終えたらしっかりと手を洗うようにせえよ」(ニシダ師匠)

ゴリラーマンからのまさかの助言に戸惑いましたが、本当そうなんでしょうね。


高知の農家から頂いた走り(9/3)のショウガ(「スパイスジャーナル16生姜特集」より)


市販のショウガで少しでも皮付近を活かしたい、という時は、こそぐやり方でどうでしょう。スプーンでも可能です。包丁なら刃のない背のほうでもできます。

ちなみにこの時の高知ショウガ農家取材は、僕が編集長をしていた『スパイスジャーナルvol.16』”生姜特集”に掲載しております。お買い求めはこちらから!ぜひぜひ(笑)⇨アジア雑貨専門店『TIRAKITA』

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