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思考のレシピ2 思考の三つの方法

私たちはどのようにしてモノの存在を認識しているのでしょうか。
カントは私たちの認識能力として「感性」「悟性」「理性」の三つを挙げています。

感性
私たちのいる世界は三次元の空間に時間が加わった四次元の世界ですよね。この時間と空間という形式によって、そこにモノがあることに気づくのが感性です。ですから、感性によってある時ある場所にを把握することができます。

悟性
私たちはモノを把握したあとそれがどのようにあるかを知る能力も持っています。その能力でそれが何であるか理解します。対象を理解する力、その認識能力を悟性といいます。

理性
感性と悟性というのは経験の範囲内認識です。このような経験の認識の限界を超える能力をカントは理性と呼びました。物事を経験なくして理解できるのは理性が備わっているからだと考えました。
例えば、「神」「自由」「魂」などは経験の範囲内では捉えにくいものです。カントはそれらは理念だと言っています。

経験的に実証されるものとされないもの
経験を超えた思考方法というのは私たちの思考を飛躍させますが、同時に独断的になる危険性もあります。なぜなら経験的な認識の限界を超えているからです。
議論を行う際にはその命題の性質が悟性による判断なのか、理性による判断なのか見極めて次元を合わせることが必要になります。

人間がどのようにして生まれたかについて科学者と宗教者とが議論してみたところで、議論がかみ合わないのはこういった理由からではないでしょうか。思考するアプローチが違うことに起因する食い違いは、探せば身近にたくさんあるのかもしれません。

参考文献: 羽生佐和子 「思考のレシピ」 レシピ2 思考の三つの方法


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