「恩は返します」と言う人に限って返してない話。「貸し借り」と「恩」を区別すると人付き合いが楽になる。
恩を返すって何を返せば良いの?
結論から言うと「恩」と言うものは実は返す義務が無い。
借りを必ず返してくれる人は「良い人」ではない。
借りを返さない人は「悪い人」である。
そして正確には恩義には"報いる"もの。
1.恩を返すと借りを返す
「俺って恩はちゃんと返す奴なんですよ」と話す人を数知れず見てきた。
しかし、その人が実際に恩を返したところは見た事が無い。
とは言え、彼らは「借り」は必ず返す律儀な人である事が多い。
頼み事をしたら必ず受けてくれるし、こちらも必ずお礼はするので円滑な人間関係を築いていける素晴らしい友人である事も少なくない。
もし僕がお礼を返さなければ、彼らを友人関係で居る事は出来ないだろう。
そう、借りと言うのは返す義務があるのだ。
お金の貸し借りは数字も明確なので恩との区別はつく人も多いだろう。
しかし、これが日常となると「お願い」であったり自分の都合の良い時に返してもらう事を想定した「損得勘定」と言うものが貸し借りに該当する事を理解出来ない人が多いようだ。
では「恩」とはいったい何なのか?
どうすれば返す事が出来るのか?
2.恩と借りの違い
そもそも恩と言うのは無償で与えるものであって、見返りを求めるものでは無い。
だから返す義務はないのである。
では何故「恩を返す」と言う言葉が存在するのか。
それは"恩を返せるときと言うのは自分が相手を越えた時"だからだ。
貸し借りにおいて、相手から自分が返せないものを受け取る事は無い。
多くの場合は時間やお金と言った物質的社会的なエネルギーの等価交換になる。
仮に、終電を逃して帰りのタクシー代に10,000円借りる。そして翌日2倍の20,000円返しても、それは感謝・お礼であって「恩を返す」とは言わないのである。
恩を受ける場合はこちらがすぐには返せないものを受け取るわけで、返すには相当の努力が必要になる。いわば精神的なエネルギーの等価交換になるわけだが、この場合は物質と違い、そっくり同じものを返す事は出来ない。
そのため、相手の想像を超えた自分になる事が必須条件になるのだ。
例えば会社を設立するのにあり得ないお金を出資して貰った。その恩に報いるには会社を設立して運営するだけでは、相手の想像の範疇であり、恩を返す事は出来ない。
恩を返すには出資した相手が驚くような素晴らしい事業に育てなければならないと言う事だ。
3.恩にも返済期限がある
お金の貸し借りと言うものには友人同士であっても大まかに許容できる返済期限があるが、恩にも期限はある。
恩と言うのは相手が生きているうちにしか返せない。そして、相手とご縁があるうちにしか返せない。
不思議な事に、返済する気持ちが無くなると原因が無くても環境の変化や人付き合いの変化で疎遠になる。冒頭にも言ったように「恩」と言うものは実は返す義務が無いのだ。
4.ギブ&テイクの嘘
では人として本当に恩を返さないままで良いかと言うと、返さなくても良い。何故なら相手も見返りを求めていないのだから。
しかし、次第に「貸し借り」しか存在しない"ギブ&テイク"の世界の住人になる事は間違いない。
貸し借りと言うのは返してもプラスマイナス0の世界。
恩と言うのは見返りを求めず与えるものである以上、返済の有無に関わらず全てプラスなのである。
つまり、「貸し借り」しか存在しない世界の住人になると言う事は、一切資産が増えない世界と言う事だ。
しかし、唯一「プラスマイナス0の世界」をプラスに変える方法がある。
それは人を騙す事だ。
理論上、貸し借りは「プラスマイナス0の世界」ではあるが、現実にはずっと0で生きていく事は出来ない。プラスマイナス0のルールを誰もが守るわけでは無い世界が実際に我々が生きている世界なのである。
騙された後、次第にあなたは「返してくれるか心配」と潜在意識で考えるようになる。そして返してくれない相手を次々引き寄せる。
5.より良い人生を生きるための恩返し
今から思い立って、アダム グラント著のGIVE&TAKEにあるように「ギバー(人に惜しみなく与える人)」になってもあなたは搾取されて終わるだろう。
何故ならば、世の中が「マッチャー(損得のバランスを考える人)」を良い人としているだからだ。
マッチャーが良い人とされている環境、つまり仮をきっちり返す人を「良い人」と定義付けている環境では、人は自分の許容範囲を超えたギブは絶対にしない。
困った時に助けはするが、助けれる範囲の事しか助けない。
と言う事は、何の努力もしない人が助けれる範囲の事で人が困る事は無いのだから、実質何も助け合っていないのである。
6.困った時は人を頼れは嘘
困った時は人を頼れとは言うが、頼ったとて助けて貰えない事を僕自身も沢山経験してきたし、皆さんもそうだろうと思う。
人を頼る事は間違っていないので「困った時に頼れる人が沢山いる環境を作りなさい」が適切な言い方だろう。
そのためには、前項で書いたようにマッチャーのふりをしたテイカーを連れてくる可能性のあるギブ&テイク主義者と縁を切って、自分自身が与えられる人間へと成長する必要がある。
SNSをはじめ、情報を簡単に得られる便利な世の中にはなったが、このような問題は世の中にインターネットが普及するはるか以前、歴史の教科書で習うような1000年前、2000年前から明確な解決方法は無く、何も変わらない事もまた事実。
SNSに依存している人を見る限り、多くの人が誤ったギブ&テイクの考えを持っている事が多かったので、良い人間関係を構築したいのであれば、リアルで人と会うコミュニティを増やす事が一番の近道ではないかと思う。
一見遠回りに見えるようだが、人の表情や雰囲気は嘘をつかないので、きっと少しずつあなたも真に良い人を解るようになってくるだろう。
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