『煙か土か食い物』|舞城王太郎
文章が爆発している。
まるで無理やり刺し込まれた点滴の先から、アドレナリンという名の文字を勢いよくぶち込まれ、暴れ狂って脈打ちながら駆け巡り脳内でドカン。
物語は——止まることを知らない。
ページは狂気と混沌の中で鮮やかに壊れ、次々と異形の言葉が吐き出されていく。
感情は脳を刺し貫き、意識は揺れ動く。
「冷静を保てよ」と知性という名の冷えピタが貼られるが、理性は次第に崩壊し、粉々になる。
目の前には壊れた世界が広がり、秩序は消え失せていた。
しかし、その狂乱の只中、一筋の鋭い真理が静かに差し込まれる。
荒廃した大地に浮かぶ冷たい光。
それは虚無の中にただ一つ、確かな輝きを放ち、混乱を超えた美しさが心に刺さる。
つまりは――舞城王太郎最高です。
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舞城王太郎『煙か土か食い物』
谷口賢志
【谷口賢志の独演会】
いつもサポートありがとうございます。余す所なく血肉に変えて、彩りを返せるよう精進します。心より深謝。