どれだけ高く登ってもどこまで深く潜っても生の初心を忘れるべからずで|谷口賢志note
『BANANA FISH』The Stage -後編-
全ての稽古が終了した。
丁寧に創り上げ、十分に反復し、各部が混ざり合いながら最高到達点を目指す。とても有意義な稽古だったと言える。
そして、これから劇場に入り、場所に宿る空気が、照明が、音楽が、客席に座る皆様との共鳴が作品をどこまで遠く運ぶのか楽しみだ。
「毎日が初日」——演劇に於いては月並みな言葉だが、ここからは正にそれが重要になる。
役者は、何十回、何百回と台本を読み、台詞を口にし、物語や役と向き合う。けれど舞台に立った瞬間にすべて忘れなければならない。目の前で起こることすべて、発する言葉、受け取る感情、すべてが「初体験」でなければならない。
演劇の醍醐味のひとつは「生」であり、生モノはやはり、鮮度が命である。
慣れたり、飽きたり、段取りになれば、それは演劇の死を意味する。
最後まで構築し続け、破壊し続ける。
再びウィルスが人間虐めを始め、その気配や足音は広がり続けている。
祈りつつ、もがき続ける。
生きた「生」を届けたい。
劇場で心よりお待ちしております。
谷口賢志
映画『文豪ストレイドッグス BEAST』
『BANANA FISH』The Stage -後編-
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