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「サステナブルな都市・商業開発」をライフテーマとする理由

転職を境に、商業施設の開発プランニングを生業としてから早2年。

ディベロッパーや自治体を顧客として、施設開発の川上段階から携わり、「どんなコンセプトの商業施設をつくるか?」
「誰をターゲットにして、どんなお店で構成するか?」など、
市場調査・商圏設定・ターゲティング・コンセプト立案・MD計画等々を通して開発のお手伝いをする仕事。

分かりやすく言えば、例えば最近開業した、渋谷スクランブルスクエアや渋谷パルコ、郊外なら南町田グランベリーモールなどなど、
大小さまざまな規模の商業施設の開発に携わる。(上記施設を担当したわけではないです、あくまで例として。)
近年は特に、ショッピング機能だけでなくオフィスやホテル、エンタテインメント機能が併設する複合施設の案件が多い。



4月1日より、いよいよ社会人としては6年目に突入。
やっと、私ならではの仕事の理念・追求したいテーマが見えてきたので、日々の思考をアウトプットしようとnoteを始めました。

そしてこの世界的打撃をもたらしたCOVID-19、
アフターコロナかウィズコロナか、いつまでこの状況が継続するかは分からないが、商業施設のビジネスモデルにも大きな変革が求められる。
変革に向けた頭の整理にも活用したいと思っています。

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まず初めての投稿となる今回、
私が生涯を通じて貢献したいと考えているライフテーマ、
「サステナブル(持続可能)な都市・商業開発」について。
自身の整理も兼ねて綴ります。


まず最初のキッカケとしては、
この数年で様々なプロジェクトと対峙するなかで、
本当に社会貢献に繋がるのか?人が幸せになる開発なのか?と、
どうしても疑問が芽生えて、意味を見出せない話が数多あったこと。
高収益ありきで人間らしさの欠落した不動産開発、地域らしさが失われた旧時代的なショッピングモール、歴史的建造物を破壊したのちの無味乾燥な再開発‥。

また一方で、2015年のSDGs採択から、国内のESG投資の存在感も強まり、気候変動から気候危機へと警鐘される時代背景で、
環境破壊をもたらす都市開発には大きな責任が伴うことも、より緊張感をもって考えさせられるようになった。

そこから生まれた持論が、都市開発や不動産ビジネスは、
今後もっと「サステナブル」を指針として、社会にも環境にも付加価値の高いビジネスへと変革をしていかなければならないということ。
まずは自らが行動しなければと、情報収集に走り、考えをまとめていきました。

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まず新しい施設を計画する際、当然ながらその計画地である「都市・まち」とは切り離せない関係にある。
都市特有のビジョン・課題感に準拠した施設開発が求められるし、時にはビジョンの策定から参画することもある。
商業施設を建てようにも、そもそも都市の目指す姿が魅力的でなければ、都市も施設も持続的な発展を果たせない。
ということで、都市と商業開発の目指す姿は一緒くたに考えている。
そして、このビジネスの持続的成長に必要だと考えるのは、次の3つ。

「サステナブル(持続可能)」な都市・商業開発に必要なのは、
「環境×人×文化」が重んじられること。


「環境負荷の少ない暮らしができること」
先ずもって重要な問題。
都市としては、多様なガバナンスが主体となって、テクノロジー技術を活用しながら再生可能エネルギーや循環型経済の推進などに努めること。
商業施設としては、消費者のエシカルな購買機会を提供するとともに、建築物自体が環境認証を取得できるような、高効率なエネルギー対策や自然素材を活用し、無駄な廃棄物を生み出さないこと。
都市のトップダウン型施策と市民主導の活動がともに充実し、環境問題の解決をリードすることが理想。

②「人間中心であること」
都市の生活基盤である医療、福祉、教育、金融制度を充実させながら、
施設開発においては人間のウェルビーイングを支える交流・コミュニティ活動が育つ土壌があること。
人々の憩えるオープンスペースやパブリック空間、マーケットのように顔の見える売買ができる場や、趣味や共通の目標を通じたアクティブなクラブ活動の促進・支援は欠かせないと考えている。

「文化が重んじられること」
経済活動だけでなく、豊かな感受性の育つ文化があり、歴史・芸術が重んじられるべき。施設開発においても、経済価値では測れない文化的機能があってこそ、固有の魅力が形成されると考えている。
有名な事例としては、森ビル元社長・森稔氏が「文化・芸術は経済より上にあるべきもの」として、六本木ヒルズの最上階(最も高い賃料をとれるフロア)につくられた森美術館。彼のお陰で、その実績のお陰で、高収益前提の再開発といえど文化的要素が欠かせないことを胸張って提言できる。

これらを3つを備えた開発計画の実現に向けて、日々研鑽を重ねている。

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と、ここまでの持論である、社会にも環境にも付加価値の高い「サステナブルな都市・商業開発」は、どちらかというと東京のような成熟都市の、新たなステップアップの話。

時代背景に話を戻すと、
現在、アジアやアフリカの開発途上国を中心として急速な都市化が進んでいて、国連によると世界の都市部に暮らす人口の割合が、2050年までに68%に増えるという予測が公表されている。急速な都市化は、交通渋滞や大気汚染など新たな問題を引き起こしかねない。
SDGsの目標11が掲げる「住み続けられるまちづくり」でも、
災害・事故・犯罪・社会福祉・インフラ維持に係る不安の解消を第一とし、次に自然環境・住環境・交通・福祉/医療・就業機会の充実が求められている。
つまり都市の課題解決に関しては、アジアやアフリカなど開発途上国のインフラ整備が優先事項と捉えられる。

この問題を無視してサステナビリティは語れない。
「環境×人×文化」を重んじる都市・商業開発の持論と、開発途上国の課題解決のどちらにも目を向けながら、ビジネスに取組んでいきたい。
次回からはテーマを絞りながら、考えを纏めていきたいと思います。