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『MOURNING into DANCING』 #13

"Thou hast turned for me my mourning into dancing" Psalm 30:11

「あなたは私のために、嘆きを踊りに変えてくださいました。」詩篇30:11

不慮の事故により、両足切断も免れないというほどの重症を負う。先の見えない日々、血の滲むようなリハビリ生活、しかしその中で受け取った多くの励ましと愛が障害を乗り越える力となっていく。福原タカヨシの手記。毎週金曜日更新。


第13話 「ギフト」

音楽活動をはじめてから、ずっと変わらない思いがあった。それは、売れることよりも「良い音楽」を作りたいということだった。しかしこの「良い音楽」の定義がなかなか難しく、自分にとってそれがどういうものなのか、分かっているかどうかも定かではなかった。
音楽で生計を立てることは、当然のことながら対価を支払って下さる方がいなければ成り立たない。奏でる音と言葉に「価値がある」と思っていただいて初めて成立する。一方で、アーティストというのは厄介な生き物で、己のスタイルや拘りを強く持っている。持っていないと存在できない世界ともいえるが、それがただの独りよがりな歌になったとき、どんなに大声で歌ったとしても半径1メートルの己の世界から飛び立ってはいかない。まさに“翼のない鳥”状態になる。癖の強いガンコ親父のラーメン屋だとか、現代アートの精鋭にでもなるならそれでも良いのかもしれないが、僕はゴスペルシンガーだ。いったい自分は、何のために歌うのか。何かぼんやりとしていたその答えを探して、長い旅がはじまった。

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