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かゆみ学#7~かゆみ研究の歴史Part1~

今回から2回に分けて、かゆみ研究の歴史について紹介したいと思います!

実は僕の研究室は長年かゆみの研究を行ってきた研究室であり、前任の教授である倉石泰先生(現和歌山医大教授)は今あるかゆみ研究の礎を築いた偉大過ぎるお方です。

初回である今回は、僭越ながら倉石先生のご紹介がてらかゆみ研究の始まりについて話していこうと思います。

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1. かゆみ研究の"冬の時代"
2. 動機となったあるきっかけ

1. かゆみ研究の"冬の時代" 

かゆみの研究は割と最近になって始まったとされております。
最近とはいっても、ここ100年くらいのことですが。笑

20世紀前半には
ヒスタミンがかゆみに関与すること
掻痒性疾患のかゆみの全てがヒスタミンによるものではないこと
が指摘されていました。

とはいうものの、ヒスタミン以外のかゆみ物質があまり判明していなかったことや、マウスやイヌにヒスタミンを投与しても掻き動作が引き起こされない報告が出てきたことから、実験動物を用いたかゆみの研究が滞り始め、長い長いかゆみ研究の冬の時代が始まりました。

そんな中、この冬の時代に終止符を打ったのが、倉石先生でした。

倉石先生は製薬会社から、ある生薬成分の鎮痒作用の評価を依頼されてかゆみの実験をすることになったそうです。

そこでまず先生は、
動物もかゆみが発生するとヒトと同様に引っ掻くのではないか
と考え、先行研究の文献検索を始めました。

ですがなかなか見つからず、結局20年分遡っても、動物実験によるかゆみの評価法に関する論文はでてこなかったそうです。
冬の時代ですからね。

当時は今みたいにネットで気軽に文献検索ができる時代ではなく、冊子をあさる必要があったため、さぞご苦労な作業であったことでしょう。

あったとしてもヒトに関する報告しかありませんでした。
そこで倉石先生自ら、動物実験によるかゆみの評価法を築くこととなり、1995年にかゆみ研究の冬の時代は終焉を迎えることになったわけです。


今回はここまでにします!
次回は、
2. 動機となったあるきっかけ
です!お楽しみに!

【参考文献】
ファルマシア(2015)Vol. 51 No. 6
ファルマシア(2020)Vol. 56 No. 9


↓ 続編です


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