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生物系大学院生が語る学会発表のコツ!!~スライド編~

こんにちは!薬学大学院生のまちょです!

学会発表シリーズの第4弾です!
概要編では、僕が「飽きない発表」を目指していると言いました。

※概要編はコチラ

前回は、そのために必要な三要素の一つである、「話し方が面白い」記事を書きましたが、本編では「スライドが面白い」にフォーカスを当てます。

最後には、僕が実際に学会で発表したスライドの一部を公開しますので、ぜひ最後までご覧ください!

※あくまでも本シリーズは僕個人の考えていることであり、一般論とは異なる部分もあるかと思います。取捨選択して参考にして頂けたら幸いです。



〇とにかく見やすく

どんなスライドを作ろうが、見やすく作ることは共通しています。当たり前です。基本です。笑

まず、字は小さすぎないこと。詳しくは概要編で書きましたが、PPTでスライドを作成するならば最低18 pt(オンラインならば16 pt)。

フォントは見えにくくなければ何でもいいと思います。ハッキリ言って好みや、その研究室の慣習によります。超絶無難なのは、MSゴシック+Arialだと思います。ちなみに僕は英語はTimes new Romanを愛用しています(笑)

色は使いすぎない方がいいと思います。相当センスがなければスライドがごちゃごちゃしてしまいます。
よく言われているのが、メインで使う色を2色選びスライドに統一感を持たせる です。僕もそれを意識して作っています。

あと、これは指導教員によって好みがすごい分かれますが、できるだけ文字は少なく図を多めに使います
文字ばかりのスライドだと読む気が失せますよね??絵を描いてイメージさせた方が聞き手にも優しいでしょう。

ちなみに僕はMicrosoftユーザーで、お絵かきアプリにはAutodesk SketchBookを使用しています。無料アプリにしてはとても使い勝手がいいです。

iPadユーザーの友達もこれを愛用しているので、iOS版もバッチリかと思います。


ただ、難しいのが絵を使いすぎるのもよくないということです。先ほど言った通り先生方の好みが分かれているからです。(少なくとも僕はそのような印象)

そもそも、学会発表はプレゼンではありません
前者と後者、何が違うと思いますか?

プレゼンは聞き手の"耳"に訴えかけるものであり、学会発表は"目"に訴えかけるものです。プレゼンと違って学会発表はデータを見てもらうための発表なので、そもそもの性質が違います。

なので、そのデータの理解に必要な情報までも省略してしまうのはご法度です。絵で説明するところ、文字で表して説明するところ、しっかり分別をわきまえましょう。



〇メンタルモデルを作ってあげる

皆さんはメンタルモデルをご存じですか?
簡単に言うと、頭の中にある「ああなったらこうなる」といった「行動のイメージ」を表現したもの です。

例えば、あのマウスに薬Aを投与するとこうなるだろう。と頭の中で予測するためには、この薬Aの効果を先に知っている必要があります。そして、そのような結果が出ればすんなり頭に入ってくるはずです。

つまり、聞き手のメンタルモデルを先に作ってあげることが、理解しやすい発表には重要なわけです。

それを学会発表に用いると、例えば、結果のスライドに入る前に、「本研究では大きく分けて二つの実験を行いました」とコンテンツをまとめたスライドを挿入するだとか、逆にメンタルモデルを補足するように、小括のスライドを挿入して一旦結果をまとめたり、そういった工夫ができます。

話し方一つとっても、たとえばモデルマウスの有用性を話す際に、先に「有用性は全部で3つあります」と一言加えるだけで、聞き手は「あっ、これから有用性について3つ話すんだな」と心の準備が出来て、話が理解しやすいです。


〇スライドに緩急をつける

このシリーズを通して何回も言ってきましたが、僕が目指しているのは「飽きない発表」です。スライドも同じようなスライドが続けば飽きられてしまう可能性があります。

そのために、僕はスライドに視覚的な緩急をつけることをよくしています。
例えば、免疫染色の画像を乗せる際は、背景は黒色にしています。理由は二つあって、まずは単純に画像が映えるから。そしてもう一つは緩急をつけたいからです(地味にここでメンタルモデルを作ったのにお気づきだろうか)。

それまでは何の変わりのないスライドだったのが、突然真っ黒のスライドが現れることで、発表に"動き"が出てきます。こういった"動き"は直接的に「飽きないな~」と思わせることはないかもしれませんが、無意識的に飽きを回避させるのにかなり有用です。

スライドの構成も、ただ複数の実験を説明するよりかは、なぜこのような実験をすることになったか、その流れを説明し"動き"がでるような構成にすることで、聞き手は発表がまるでストーリーかのように感じることができ、飽きないはずです。

さらにそこで、そのストーリーにはあまり関係ない部分を気持ち少し早めに喋り、ストーリーに重要な部分を気持ちゆっくり喋ることで、聴覚的な緩急をつけることが出来るようになります。なおさら飽きないはずです。


☆一貫性を持たせる構成

発表で一番大事なのは、誰が何と言おうと発表に一貫性を持たせることです。

その発表で自分は何を一番伝えたいのかを決め、それが一番伝わりやすい(目立つ)発表の構成(順番)でなくてはなりません。

正直、聴衆のほとんどは初めて自分の発表を聞く人であるので、その人たちの頭に残るのモノは発表の1割にも満たないでしょう。

逆に言えば、自分の一番伝えたいことがその1割に入りさえすれば、インパクトの残る発表になるはずです。

発表の構成はだいたい背景、目的、結果、考察の4つですが、それらがパラレルではなく、伝えたいことを軸にして繋がる必要があります。

もちろん、言いたいことはたくさんあるでしょうが、優先事項をつけなければなりません。一番大切なのは、伝えたいことが伝わるかどうかです。

また、伝えきれないことがあるからこそ質疑応答の時間があります。発表にあえて「空き」をつくり、質問させることでじっくり答えることが出来ます。これは質疑応答のポイントも高くなる有用なテクニックです。


〇例

以下に、僕の過去に使ったスライドを一部公開したいと思います。もちろん、データの部分は伏せさせて頂きますが(笑)

〇おわりに

以上で、4弾に渡った研究発表シリーズが終わりです!
毎回大変長い記事でしたが、最後まで見てくださった方々、本当にありがとうございました。

僕は話し方や、スライドの構成の仕方を工夫し相手の"無意識"に働きかけることで飽きない発表を目指しているというのがこの一連のシリーズのまとめになりますかね。

そのような発表を目指すようになった背景として、自分の研究分野がマイナーであることがあります。

やはり、そもそも興味をもってくれる人が少ないかつ、自分は東大の研究室であるわけでもないので知名度は低いです。

しかし、研究内容自体は誰にも負けない素晴らしいものであると自負しています。聴いてさえくれれば…。でもその「聴く」が一番のハードルであります。

だから僕は伝え方にとことん拘ろうと決めました。熱意だけでは足りません。小手先のテクニックだけでも足りません。熱意は細部まで拘ることで初めて伝わり、テクニックは軸となる熱意の手足となることで初めて効果を発揮します

なんか偉そうに言っていますが、僕もまだまだ未熟者です。発表したら絶対に賞を獲れるような研究者にならなければなりません。

これからさらに発表をアップデートをしていくとともに、これらの記事が誰かのモチベーションの一部になることを願い、終わりたいと思います。


↓ 概要編

↓研究内容編

↓話し方編


僕の研究を応援して頂ければ幸いです!