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『検索窓の世界 ⑥部屋』


「部屋」と入力して、検索。



壁、間仕切り、襖、床、天井などで仕切られ、生活の場などに用いられる、住居などの建物内部の隔てられた空間の区画。部屋の中を室内、外を室外という。

理想の一人暮らしに6畳8畳のおしゃれな部屋作り・インテリアコーディネーター

【SUUMO】東京都杉並区の賃貸(マンション・アパート)住宅のお部屋探し

孤独死の部屋の隣でまた孤独死:朝日新聞デジタル


家具も家電もなければただの白い箱でしかないのに、そこを自分の部屋と呼ぶ。
賃貸で2年後には他人が居座るスペースも、そこは自分の部屋となる。
実家に戻ると、当たり前のように、もうひとつ、自分の部屋がある。

部屋の語源には、このような逸話がある。
「へっぴりよめご」「屁ひり女房」という昔話で、オチで「屁をするために、使うから部屋と言うようになった」と言われている。
デザイナーズマンションのおしゃれな部屋でも、学生アパートの4畳半の部屋でも、部屋という名前がついてる時点で「屁の部屋」なのだ。

気が付いたら、産まれたときからさまざまな部屋を移動してきた。
分娩室→新生児室→子供部屋→物置部屋→子供部屋→教室→図書室→部室→喫煙室→取調室→仕事部屋→会議室→病室→手術室→霊安室
ひとつの部屋で過ごしている人はいない。

部屋を見回すと、自己紹介で使われる僕のプロフィールのようである。
机上に平行に置かれたリモコンを見ればA型で几帳面だということ、本棚を見れば趣味が小説ということや筋トレを始めたてだということ、クローゼットを見れば古着を好んで着ることや服のサイズ。
どういったこだわりがあって、どのように生きてきて、どういう景色を見ているか。
部屋を覗くと、不思議と人となりが伝わってくる。そこに暮らす人の「生活感」を加えることで、初めて自分の部屋になるのだと思った。

時代は変わり、ルームシェアという居住形態が流行り出した。
YouTubeでは、ルームツアーの動画が日に日にアップされるようになる。
次に流行るのは、ルームマッチングアプリだろう。「部屋から始まる恋」というキャッチコピーがつくに違いない。
そんなことを考えながら、今日も妄想部屋に佇む。

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