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ここに来れば、いつだって思い出せる。 東京で一人暮らしを始めた頃に近所にあった中華料理屋…
「何年も歳月をかけて想いを込めたのに、一瞬で散ってしまうものってなあんだ?」 私は夏の帰…
たしか、あれは遠い夏の記憶。 遠いようで、近い。短いようで、長い。 小さかったけれど、大き…
「いつのまにか、2人になっちゃったね」 見覚えのない誰かのアイコンが、僕に向けて話し掛け…
「ごめんなさい、Wi-Fi盗んでました」 春の陽射しが窓をまっすぐに突き刺して、彼を直撃して…
冬のティッシュ配りほど寂しいものはない。 夜の高円寺駅南口。 私たちにとってのゴールデン…
「たそがれんなよー」 栄先生は帰りのホームルームをいつもそうやって終わらせる。 僕らはそれが合図かのように席を立ち、ばらばらと教室を出る。ほとんどの生徒は早く家に帰りたい一心で、部活動に向かいたい一心で、何も疑問に思うことなく立ち去る。6限目を終えた後の窓の外では夕陽が空を照らし、夜を迎える準備をする。 高校2年生を終えようとしている僕なのだが、「たそがれんな」とはどういう意味だろうと毎回思う。もちろん「黄昏れるな」という意味なのはわかるが、それは帰り際に放たれる台詞と
琥珀色の海に浮かべた氷を人差し指で回転させると、なんとなく大人になれた気がした。 カラカ…
伊勢丹を出た途端に、風は吹く。 マフラーに顔をうずめる僕に、今年一番の寒さとやらが嫉妬し…
ゆっくりと流れる雲の上澄みが美味しそうに見えて、今日はシュークリームでも買って帰ろうと思…
さて、ここはどこなんだろう。 誰もいないシートで、わたしはこくりこくりと夢と現実を行った…
ひとつひとつ、点を打つように、 旅は途絶える。 歩く。飛ぶ。見る。聞く。 感じる。匂う。旅…
投げたスプーンは、スローモーションみたいに宙を舞った。 だから途中までは何回転するのだろ…
きみはメロと名乗った。 日付が変わったばかりの真夜中のコインランドリー。 学芸大学駅には若者が集まり、なんてことのない夢を語り合って、ただただ笑い声が空を飛び回る。 その夢の集いからすこし離れて、アパートやマンションが立ち並ぶ路地のなかに割と新しめのコインランドリーがガタゴト稼働する。 壁には若者の夢の告知だろうか、ライブのフライヤーや個展のポスターがおもむろに貼られている。 きみは大きな紙袋をひっくり返して洗濯機に衣類を放り入れる。 色とりどりの色々がガサッと落ちる。