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たのしい地方創生

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地域活性化の業界で働く筆者の、日常のささい気づきを、まじめ風味でお届け。
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2024年3月の記事一覧

#48 地方の『スタートアップ界隈』

2024年3月某日 最近、地域活性化政策の中に、しばしば「起業・創業」「スタートアップ」みたいなキーワードを見かける。個人的には、地域活性化に向けて必要な要素として「しごと」、特に「情報通信」や「クリエイティブ・企画」などと関連する、相対的に若い人々を惹きつけやすいしごとが生まれることは、ひとまず賛成の立場をとっている。 しかしながら、様々な政策の方向性や実施内容を見ていると「ローカルからユニコーンを!」とか「スタートアップ支援プラットフォームを!」といった、キーワードば

#47 お金が『つかえない』

2024年3月某日 小規模ながら、自分でも商売の真似事などやってみると、「お金の稼ぎかた」のみならず、「お金の使いかた」が本当に難しいと思う。筆者は性格的に、リスクをとらずに、コツコツと地道にキャッシュを確保できるタイプのビジネスが好きだ。そのため、「役務提供」による利益率の高いビジネスばかり取り組んでいる。 しかし、役務提供型のビジネスの場合、どうしても個人の「時間≒工数」みたいなものが制約となって、事業としてスケーラビリティの問題に直面しがちである。その際、人や設備に

#46 『現在』と『将来』の意識配分

2024年3月某日 ここ最近、日経平均は随分高値で推移している。40,000円台などという水準が本当の存在したのかと、いまだに違和感を拭えない。筆者が社会人になりたての頃の日経平均は7,000〜8,000円台の水準にあったことを思い出すと、景気のサイクルというのは本当にあることを思い知らされる。 … さて、景気にはサイクルがあるので、良いときもあれば、悪いときもある。その循環を見越して、皆ライフプランなどを立てて、貯金やら投資したりするのである。 先日、大学院時代の友

#45 『バルク』と蟹

2024年3月某日 「バルク」という概念が好きである。 要するに、バラバラのものをガサっとまとめて取り扱う、みたいな概念で「バルク買い(ガサっとまとめて買うこと)」とか「バルクワイン(樽ごと取引されるワイン)」みたいな表現もある。 … さて、先日家族でふるさと納税で届いた蟹を食べる機会があった。美味しかった。その際、誰かがこんなことを言った。「ああ、私はこの"脚"のところばかり食べたいよ。なんならここだけでいい。」と。この主張には筆者も概ね同意するのだが、市場としては

#44 地域の『商社』

2024年3月某日 商社というビジネスモデルが好きだ。卸売業ではなく、日本式の「総合商社」のような業態である。海外では、「TradingCompany」ではなく「SHOSHA」とか言ったりもするらしい。 … さて、なぜ商社が好きかといったら、「儲かるネタ」みたいなものを起点にビジネスをつくろうとする姿勢が強いと感じるからだ。例えば、ある地場産品について、地元と海外に大きな価格差があるなら貿易ビジネスを始めるし、レアメタルに大きな値がつきそうだとなれば採掘ビジネスに投資す

#43 フォルダ内の『公共空間』

2024年3月某日 年度末ともなると、何かと整理する書類なども増える。そのため、フォルダの中身は多数のファイルで埋め尽くされ、ワードとエクセルを行ったり来たりすることも多い。 … さて、その際、何かと問題になるのが「ファイル名」の付け方である。プロジェクトに関連するファイル名は、誰がみてもわかるものであることや、企画が終わってからも遡って参照できることが望ましい。なので、できる限り、整然とされた状態で保存されていて欲しい。 筆者の場合、「00_情報収集」「01_企画書

#42 『無知』と『無恥』

2024年3月某日 通勤電車で受験だの就活などのキーワードが聞こえる度に、「あれ、自分は何年前だっけ」などと頭の中で数えている。だんだんと数えきれなくなっている状況に、老いを感じざるを得ない。 … さて、(必ずしも年をとることと相関しないが)いろいろと経験を積んだり、勉強したりすると、自分を客観的に認識しやすくなる。知識や関係性の情報量が増えることで、「情報の集合」の中にいる自分の、相対的な位置が理解しやすくなることは、感覚的にも理解しやすい。相対化というやつだ。その結

#41 『本屋』と『本業』

2024年3月某日 息つく暇もない年度末、体調などを崩さないように乗り切りたいものである。忙しない状況だと、趣味である読書の時間が減ってしまい、本の手触りが恋しくなる。 … さて、全国的に書店が減少していることは周知の事実であるが、その背景にある要因としては「出版不況」が挙げられることが多い。すなわち、「紙の本が売れないから、その小売店も厳しい」という単純な話である。一方、本が読まれていないかと言われるとそうではない。実際、ビジネス賢者のみなさんは揃って読書習慣の重要性