あの街を探している
昔から何度も夢の中で見る同じ街がある。
都会でもなく、かといって田園風景ひろがる田舎でもない。ありふれた住宅街。坂の多い街。少し曲がった坂もあれば真っ直ぐな坂もある。高台から見ると遠くに水が見える。それが海なのか湖なのかは分からない。道は広過ぎず狭過ぎることもない。車と古びたバイクが時々往来する。建物はマンションと一戸建てが適当な感じで立ち並んでいる。街行く人も多くなく少なくなく。全体的にとにかく静か。優しい風がいつもふく。天気はいつも晴れている。
夢を見た朝は鮮明に覚えていて、あぁ久しぶりにあの街に行ってきたな、と感じる。しかし、起きて1時間もしたら忘れている。もしかしたらあの街と感じるだけで毎回違う街かもしれないが、それは分からない。
あの街を頭のどこかでずっと探している。あの街は必ずどこかにあり、必ずそこに行く日がくると思っている。そしてそのとき、あの街はこの街になると分かっている。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?