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平成初期生まれ携帯サイト育ち

あの頃の記憶

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 @hannami  since 2007/08/10〜

91年生まれの私が高校生だった2007年から2010年の頃、高校生の中でモバゲーやmixiなどのSNSの走りみたいなものが流行っていた。twitterは今ほど一般的ではなく、ネットが好きなその道の人たちが楽しんでいたものだった。

twitterでコミュニティを作る事が当たり前になる前、ちょうど私の高校時代あたりに黄金期を迎えていたのが携帯サイト時代だ。

当時はギャルもオタクも何かしら自分のホームページを持っていた。

その中でもオタクに、もっと言えば腐女子に絞って言うと、ジャンプのファンサイトが猛威をふるった時代だ。モバスペ、エムぺ、フォレストを筆頭に、右も左もhtmlタグをガラケーで打っては己のサイトをデザインする猛者ばかりいた。今思えばどうかしているが、当時は当たり前のように行われていた。

黄金期、成熟期を終える少し前くらいには広告が表示されないナノスペースだったか、センスあるサイトの管理人がこぞって使う定番のものまで登場していた。

いわゆる二次創作サイトだ。絵も文もガラケーで見ていた。

私たちよりもう少しだけ上の世代はPCサイトを運営しているお姉さんも多かったが、我々はもっぱら携帯サイトで二次創作を見た。pixivもちょうど同じ時代に生まれたサービスだが、我々に浸透するのは後少しだけ先の話だ。

作品の発表の場、同好の者の交流の場がtwitterやpixivではなく個人が作った携帯サイトだった時代が、我々が青春時代を送った2000年代前半の時代である。

絵描きも物書きも、サイトという自分の城をもっていた。淡い色から黒背景、素材を使う者、記号文字でデコレーションする者、どことなく自身の創作物とリンクするデザインだった。少し無骨だけどものすごくシンプルな無印良品のようなサイトが流行っていたように思う。

サイトのホーム、それはすなわち創作者の顔だった。武士でいう戦装束でもあった。

そこかしこでのぼりを上げて、好きな作品やキャラクター、自分の創作物はここにありとエネルギッシュに叫んでいたように思う。

私は絵も文もどちらも扱っていた。書いた絵をスキャナで取り込むなんて夢のまた夢だったので、写メってホワイトバランスをあげては白飛びしがちな絵をログ倉庫に放り込んだ。また、寝る前には暗い部屋の中でガラケーをポチポチ打ちながら下書きメールに小説を書きためていた。投稿はメールで出来たのだから便利なものである。

好きなサイトには日参したし、更新履歴(NEWなんてリンクでつながれていることがほとんどだった)が今日付であれば狂喜して読みふけった。好きな管理人が己を認知しないかと、ブクマページを見たり、自分のサイトのアクセスログを見ては好きな管理人のホームページからの形跡がないかを確認したりもした。

twitterで同人女の感情シリーズが流行っていたが、まさにその舞台が携帯サイトに移っただけの悲喜こもごもがあの場所にも渦巻いていた。

沢山交流もした。嬉しいことに私の作品が好きだと言ってくれる人も現れた。更新を待ち望んでくれる人もいた。好きなサイトの管理人からリンク返しがあった。今で言うフォロバだ。有頂天になった。見つけたお気に入りのサイトのリンクを貼った。数日後、日記で嬉しがってもらえる事もあった。よく見るサイトの管理人同士が喧嘩をしていたのを眺めていた。自分のサイトに変な奴も来たりした。

夜10時頃が更新ラッシュの時間帯だった。風呂上がりに自宅の中の電波が良い場所でガラケーを振り電波を拾った。夜風に吹かれながら携帯サイトに訪れた。毎日どこかの誰かが更新をしていた。

好きな管理人がサイトの更新を止めた。跡地は残してくれる人が多かったが、残してくれない人もいた。ジャンルの衰退やtwitter、pixivの隆盛により稼働しているサイトが少しずつ少なくなっていった。日記しか動いていないサイトもよくあった。更新履歴が半年前となるサイトが多くみられるようになり、いつしか活動の場はSNSに移っていった。リンク切れが多く見られた。最後まで残って見届けたわけではないので、人がいなくなった携帯サイト群の雰囲気はこれ以上わからない。

かくして、スポット的に流行った携帯サイトの黄金期は終わりを迎えた。

今よりももっと隠れ里のようなあの空間がもう一度流行る時代は来そうにないが、同じ時代を生きていたオタクはあの頃のガラパゴスみたいな文化が、ふとした瞬間に恋しくなるのではと思う。

今の二次創作オタクの文化も、あと10年後位にまとめたら結構おもしろいものになるんじゃないかな。

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