オニオンフライ

初めましてのご挨拶をして
寒かったので早々にお店に入った。







私は緊張していた。



居酒屋では
何を食べたいかとか
苦手なものを聞いてもらって
適当に丁度いい量を頼んでもらえるのが
おそらく殆どの女性が理想とする
スマートな男性の対応だが

ここでも彼は違った。



メニューを見て
自分の食べたいものを選んでから

何食べますか?

と聞いてメニューを渡してくれた。


私は緊張で
あまりお腹が空いていなかったが
無難なサラダと
ポテトとオニオンフライの盛り合わせが
食べたいと伝えたので、
彼は自分の選んだメニューに加えて
それも一緒に頼んでくれた。




頼んだものがテーブルに届く。


サラダとオニオンフライは
私の前に置いてくれた。


取り分けた方がいいかなと思い

「食べられますか?」

と聞いたら

「自分が頼んだものがあるのでいいです」

と断られ
彼は彼が頼んだものを
特に取り分けてくれるでもなく
1人で黙々と食べていた。


居酒屋でこのスタイルは珍しい。




私はてっきり
一緒に食べるものだと思っていた
サラダと
ポテトとオニオンフライの盛り合わせを
1人で食べることになったので
口の中は玉ねぎの風味で
いっぱいになった。




オニオンフライを頼んだことを
とても後悔した。






彼は自分の注文した料理を食べながら
たくさん話をしてくれていたが
正直内容はあまり覚えていない。




おそらく緊張と人見知りで
私は挙動不審だったと思う。






田舎の居酒屋は
閉店時間も早いので
すぐにラストオーダーの時間になり
緊張の初対面は1時間半ぐらいで終了した。



私も出しますと申し出たが
お会計はすべて彼が出してくれたので
無職の私は
ありがたくご馳走になった。




決していい雰囲気ではなかったので
これは次はないのかもしれないな
と思いながら
2人で駐車場まで歩いて
ありがとうございましたとお礼を言い
車に乗ろうとしたら


土日どこかに行きませんか?

と誘われた。





どうやら私は2次試験に合格したらしい。

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