プリキュアとアイカツ!と『IT』のルーザーズ


 はーい、テツガク肯定です。

 私はプリキュアとアイカツ!が好きです。
 1年ごとにチームが変わるプリキュア。
 だいたい2年ほどで世代が変わるアイカツ!

 1年以上追いかけるから。
 そこに特別な想いが生まれ、それに勝るものはないと。
 そう思っていました。

 それを観るまでは。

 その映画のタイトルはITといいます。
 2017年公開の『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』です。
 この映画は前編後編の二本立てで、観終えるまでの時間は5時間もないでしょう。

 5時間。たった、5時間で。
 ルーザーズは私の中で、プリキュアとアイカツ!ほどの特別な印象を残しました。
 そして、もの凄く近くに感じる、不思議な現象を感じさせてくれました。


 ルーザーズはビル、リッチー、エディ、スタン、ベン、ベバリー、マイク。
 7人のチームです。この事実も私には衝撃でした。

 プリキュアやアイカツ!での考えですが。
 1年という時間では、チームは4人ぐらいがちょうどいいと考えていました。
 フレッシュ、ハートキャッチ、スイート、プリンセスなどの4人チーム。
 アイカツも3人、4人という具合で。
 これ以上増えると、印象に残り難いと感じていました。

 1年のアニメでそう感じるんです。
 5時間の映画で7人を動かすなんて……そう思っていました。

 一応、参考までに。
 アニメは1話20分で、1年は約50話です。
 1年を追うのに必要な時間は……16.6?
 つまり、17時間あれば、1シーズンを楽しめる?

 すみません。数学は全く自信がありません。
 意外と短い時間に驚いていますが、詳しいことは置いておきましょう。
 とにかく、映画2本とアニメの1年では、アニメの方が永いです。

 私がルーザーズと過ごした時間。
 それは、アニメ15話分。
 いわゆる、1クールというやつでしょうか?

 プリキュアでいう、追加戦士が加入しているであろう25話ほどの前半戦。
 それよりも短い時間で、7人の印象を残し、しっかりと物語を終わらせる。

 ……信でぃられません。

 いったい、どういう時間の使い方をしているのでしょうか?
 たった、5時間で初めましてのルーザーズに愛着が湧き。
 ペニーワイズが愛しのペニーワイズに思えてくる。

 もちろん、まだまだルーザーズを知りたい。
 おそらく、原作を読めば、まだ知らない一面が見れるのでしょう。
 読まなくても、話が始まるような錯覚が勝手に想像していきます。


 森の中、線路の上を歩く六人の後ろから警告するのはルーザーズのリスク分析官。

 「こんなところを歩いちゃ危ない! 見通しが悪すぎる!」
 「3分前にも聞きましたぜ、旦那」
 「で、電車はこないよ。ちゃんと調べたから」
 「調べた? デリーの電車は時刻表通りには動かないんだよ」
 「それならママとクッキーでも焼いてな、定刻通りに」
 「黙れよ、リッチー。それに、この森には幽霊がでるんだよ」
 「幽霊?」
 「そう、幽霊だ、マイク。ベン、みんなにも教えてやってよ」
 「ああ、アレね。昔、レイ・ブラワーという少年が……」
 「なんだよ、スタンド・バイ・ミーかよ」
 「スタンド・バイ・ミーって?」
 「スティーヴン・キングのやつ。恐怖の四季の秋よね? ベン」
 「ああ、ベバリー。スタンも読んでみなよ」
 
 こんな具合に。
 かなりいい加減ですが、勝手に話が動き出すくらい。
 私の中にシッカリと印象を残していきました。

 プリキュアもアイカツ!も忘れられない記憶ですが。
 ここまで勝手に動き出すことはありません。
 どこか、ほんの少し遠く、まだ遠慮が残るんです。

 ですが、ルーザーズには……なぜか、遠慮できません。
 この映画で彼らが向き合ったものが、かなり普遍的で抽象的。
 今の私にも、ハッキリとペニーワイズが見えるほどに。
 かなり近くに感じる、と理由を考えてみましたが。

 正直、まだ納得できる理由ではありません。
 プリキュアもアイカツ!も、わりと普遍的で抽象的だったとは思います。
 ただ、ここまで近くに感じてしまう5時間。
 他のアニメを12話観ても、同じ錯覚は感じない、と。
 私の記憶は覚えています。


 正直、本当に不可思議な怪奇現象です。
 12話の1クールじゃ物足りない。
 今までは、そう思っていたのですが。

 1クール+3話の15話で。
 ここまで印象に残る話があるのか、と。

 7人の初めましてから、決戦までを済ませて。
 だけど、まだ知らない隙間もあるんだと。
 残して去って行ったルーザーズの攻め方。

 プリキュアやアイカツ!のように。
 積み重ねていく面白さは確かにありますが。
 ルーザーズのように、去って行く面白さもあるんだと気づきました。

 映画の中でマイクさんが言っていた。
 覚えているのは、ほんの一部だ。
 そんな感じの台詞のような映画です。

 きっと、ペニーワイズとの戦いは。
 ルーザーズの記憶の一部でしかなくて。
 まだまだ知らない記憶があっても不思議ではなく。

 原作にもない記憶が。
 近くに感じた、想像のルーザーズによってつくられていく。
 こういう怪奇現象を伝える物語をホラーというのなら。
 間違いなく、スティーヴン・キングさんはホラーの帝王です。

 ルーザーズもスタンド・バイ・ミーの4人も。
 かなり近くに感じて、映画では知れなかった記憶を。
 勝手に想像してくれます。

 時間がなさ過ぎる、1年じゃ4人ぐらいが限度。
 そう思っていましたが。
 時間の使い方次第ではホラー的に近づける。

 もしかしたら、いつか。
 プリキュアやアイカツ!で。
 そういうチームに出逢う日が来るのかもしれない。
 だなんて、ことを思っています。

 もちろん、今までのシリーズが大好きです。
 大好きだから、驚いているんです。
 かなり面白かった両作品よりも。
 とんでもなく近くに感じるルーザーズに。

 いったい、どうすればそういう攻め方ができるのか。
 素直に、そうだと言いたくなる、あの説得力。
 とても5時間の話とは今でも思えません。

 1年分のアニメと同じくらいの濃さで。
 だけど、1年分のアニメより、まだまだ空白があって。

 どんなマジックでしょうか?


 すみません、言いたいことがまとまりませんが。
 どうも、時間の使い方によっては。
 1年分の濃さを5時間にしてしまう、ホラーという錬金術があるかもしれない。
 そういう、くだらないことです。


 それでは、また次の機会にお会いしましょう。







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