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一級建築士を取ってわかった「仕事ができる人材になるための本質」

一級建築士を取ったのは社会人2年目、26歳の頃でした。
建築設計の仕事に携わる者として、取らなければならない資格だと強く思っていました。
その強い意志で一発合格に成功しましたが、一級建築士を取ることでわかったことがありました。
それは仕事ができる人材になるための本質です。

1.一級建築士を取って良かったこと

一級建築士を取って良かったことは、いくつもあります。
簡単に書き出してもこれぐらいありました。

・責任のある仕事を任せられるようになった
・名刺の肩書き一つで、お客さんの信頼を得やすくなった
・転職で役に立った
・給料が上がった
・親が喜んでくれた(親孝行できた)

最もわかりやすいのは収入面と対外評価です。
収入面として、1社目の設計事務所では、合格祝い金として30万円程いただきました。
2社目の住宅会社では、資格手当として3万円の手当が毎月付いています。
1社目で30万円、2社目で3万円が4年間なので144万円、合わせて174万円の利益を得ています。
資格学校に80万円近い金額を支払ったことを加味しても、約100万円の利益を上げています。
対外評価として、仕事では名刺を渡した相手の反応が露骨に変わりました。
資格取得前は、上司のカバン持ちの若い子(当時24、25歳)といった見られかたでした。
資格取得後は名刺に一級建築士と表記してあったので、
「今おいくつですか?えー20代で若いのにすごい!優秀なんですね」
というリアクションに変化しました。
これは建設業以外の方から言われることが多かったです。
そして資格取得を親が喜んでくれました。
これは素直に嬉しかったです。
15歳で高専の建築学科で学び始め、24歳の修士課程修了まで学校に通わせてくれた親に対して、わかりやすい形で成果を出せ、親孝行できたのかなと思いました。

2.資格だけでは役に立たない事実

良いことがたくさんあり、少し浮かれた時期もありましたが、現実はただの紙切れにすぎませんでした。
資格試験で求められることと、実際の仕事に大きな乖離があったからです。
分かりやすいのは製図試験で、実務はパソコンのCADという図面を書くソフトで仕事をしていますが、試験は製図版を使った手書きです。
建築学科の学校でも、設計課題はほぼほぼパソコンでまとめています。
もう手書きのスキルは役に立たないと言っても過言ではありません。
他にも、一級建築士なら超高層のビルも試験範囲ですが、石川県という地方都市でそんな大きな建物を扱う仕事はありません。
結局、資格取得のための勉強になっていて、実際の仕事で求められるスキルを身につけられませんでした。
建築業界で働いて9年目、いろんな方にお会いしましたが、一級建築士の有資格者でも無知な人に沢山会いました。
逆に無資格でも知識豊富で、仕事ができる方にも会いました。
つまり、資格で人は計れないのです。

3.仕事ができる人になる段階的な成長目標

一級建築士に限らず、有資格者であることと仕事ができることに乖離がある場合があります。
しかし資格で第一印象が決まる場合もあり、持っていて損はない、むしろ取って当たり前と扱われることもあります。
一級建築士は建築業界の一部では、取って当たり前と言われることがあります。
資格を取って当たり前、その中で仕事ができる人材になるためにどうしたら良いのか。
それは段階的な成長という視点を持ち、自分自身が今どこの段階にいて、次どこにステップアップするのか意識することです。
サラリーマンであれば、定年退職するまでに各年齢での目標を立てることが良いと思います。
経験が浅く、具体的な目標が思い描けない場合は、社内外の諸先輩でこの人になりたいと考えるとイメージしやすいはずです。
私が描いていた段階的な成長目標はこんな感じでした。

24歳:入社
25歳:設計という仕事に慣れる
28歳:ここまでに一級建築士取得
    独立に向けた仕事を覚える
30歳:独立し、自分の事務所を設立する
40歳:人を雇えるぐらい事務所の経営を安定させる

まずは20歳の頃描いた目標である、30歳までに独立できるようになろうと考えていました。
建築士取得後、3年間の実務経験を経て、独立するための管理建築士の講習受講資格を得られるので、28歳になるまでに資格取得と考えていました。
独立するためには、図面を描く力や監理能力、人を動かすマネージメント能力などが必要となります。
Aさんからは図面を、Bさんからは監理を、お客さんであるC社長からはマネージメント能力をといったように、独立という目標に向けて誰から何を学ぶべきかという意識を働かせました。
このように先の目標を立てることで、今年の目標を逆算でき、今覚えるべき仕事を理解し、身に着けることができます。
この積み重ねが仕事ができる人をつくっていくと、私は考えています。
私は26歳で一級建築士を取得し、目標通りの動きをしていましたが、30歳で独立していません。
社会にもまれるうちに違う目標を見つけたので、違う段階的な成長目標を描いています。
成長目標は、その都度変更可能です。
その代わりに新しく立てたならば、その目標を叶えられるように必ず努力しましょう。
目標を立て、努力して達成し、また次の目標に向けて努力し、この繰り返しこそが仕事ができる人材価値の高い人を生み出します。

4.まとめ

一級建築士という難易度の高い国家資格を取って良いことがありました。
特に親を喜ばせることができたのは、とても嬉しかったです。
しかし資格を取れたからといって仕事ができるということではありません。
場合によっては、難関資格と言われるものでも取るのは当たり前と扱われる場合もあります。
その中で仕事ができる人になるために、段階的な成長目標を立てることが有効だと考えています。
何歳までにどうなりたい、そこから逆算して資格を何歳までに取るというステップがイメージできれば、今の自分が何を頑張ればいいのかわかるはずです。
この目標は途中で変更可能です。
目標を立て、達成に向けて努力をし、また新しい目標に向けて走り出す、この繰り返しこそが仕事ができる人材価値の高い人を生み出します。
ある環境で仕事ができると評価される状況は、その基準となる目標を達成できたかどうかで判断されます。
最初は自分にしか分からない目標で自己鍛錬の繰り返しになるかもしれません。
慣れてくれば共有可能な目標にし、さらに会社自体の目標にまで発展させることで、同僚や組織自体を成長させ、能力の高い組織へと発展していけるかもしれません。
まずは10年後自分がどんな人になっていたいか考えて、段階的な成長目標を描いてみてください。
段階的な成長目標こそが仕事ができる人になるための、本質に大切なことだと思います。

<追記>
現在、私はこうして苦労して取得した一級建築士の資格を活かして、webマーケティング会社に転職しました。
転職先は、住宅情報サイトを運営しており、その内容監修やサービス拡充のために在籍しています。
webマーケティングという異業種を理解するために、自身のリノベーション経験を記したブログ運営に挑戦しています。
是非、一度ご覧ください。


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