バナー5

退職時、仕事を引き継ぐ人がいない問題について

今月いっぱいで今の仕事を退職し、来月一日から新しい職場で働くことになっています。
今月は業務の引き継ぎを行なっているのですが、どうもうまくいきません。
なぜうまくいかないのか、うまく引き継ぎをするにはどうしたら良いのか考えてみました。

1.引き継げる業務と引き継げない業務

現在、住宅の設計施工の会社に勤めています。
建設業以外の事業に従事する社員もいますが、実質住宅に関わる社員は15名弱で、地方の中小工務店という事業規模です。
その中で私は、設計と修繕程度のリフォーム工事の現場管理を主要業務として行なっています。
雇用契約における主たる業務が、設計と現場管理となっており、こちらの業務をうまく引き継ぎができそうな段取りとなっています。
会社にとって想定の範囲内の業務で、社内にも代わりにできる人がいるので、引き継ぎにおける大きな問題は起きません。
これが引き継げる業務です。
一方で、引き継ぎがうまくいっていない業務があります。
雇用契約時の業務内容にも記されていない、会社にとって想定の範囲外の業務です。
具体的には、HPの管理や完成写真撮影、チラシ作成などの広報業務です。
広報業務は会社に勤め始めてから社内状況を分析し、必要だけど手が回っていないため疎かになっていた業務でした。
私がこの会社をもっと成長させるには広報業務に取り組むべきだと強く感じたことをきっかけに、主要業務の空き時間をうまく使って取り組んでいました。
狙い通りに見込み客になる前段階の営業がスムーズになり、会社への問い合わせが増え、イメージアップに寄与することができました。
しかし気付けば私にしかできない業務になってしまい、私が退職するにあたって引き継ぎがうまくできないという課題ができてしまいました。

2.リスク管理が必要

今回、私が会社にとって想定外の業務に取り組んだため、それが引き継げない問題が生まれました。
取り組む前に上司に相談しながら進めていたので、勝手に取り組んでいたわけではありません。
会社を良くしようと主体的に頑張っている社員が、まさか辞めるなんてこれも想定の範囲外だったのかもしれません。
しかし会社員はいずれ辞めます。
逆に会社が潰れることもあります。
どちらかの能力に依存した業務が一定の必要性を持った時に、そのリスク管理が必要になってきます。
会社に依存というのは、その企業の主たる業務になり、適正利益を得られるように調整すれば問題ありません。
一人の社員、個人に依存した業務の場合は、今回のような引き継げない問題が生まれます。
ここで何か手を打たなければなりません。

3.フォーマットづくりに徹する

引き継げない問題に対して会社が打つ対策は、業務範囲の変更により専任化することや新しく人を雇うことが考えられます。
これらの対策は、一定の経費がかかります。
そのため何かで利益をあげて、専任化した分の売上を他の人が稼いだり、新規雇用分を全員で稼いだりしなければなりません。
本当は人を増やす分、その人が取り組む業務で負担できればいいのですが、今回のような広報業務で直接利益を上げることがないものの場合は判断が難しくなります。
一方で、取り組む個人としても対策を打つ手立てがあります。
それは業務のフォーマットづくりに徹することです。
業務の種別により残しておくべきフォーマットは異なります。
手順書、デザイン、レイアウト等、それぞれ必要なものは異なりますが、なるべく論理的な説明で、一般化した形にするのがポイントです。
広報業務の中で内見会案内をつくる場合、毎回異なる形にしていては引き継ぐことが難しくなります。
上は外観の写真、左下は概要、右下は地図と問い合わせ先という風にフォーマットを準備しておけば、引き継ぎやすくなります。
どこに何を載せるかわかるので、それに合わせて今回の事例の情報を準備して埋めるだけの簡単な作業になります。
もし作業自体のソフトウェアが使えなくても、フォーマットごと外注すればイメージの共有や指示も楽で、前任者と大きな違いは生まれません。
このようにフォーマットを準備すれば、社内外を使って業務は継続可能になります。

4.まとめ

転職が決まり退職する際、引き継ぎの問題が生まれます。
会社が雇用条件に出していた想定の範囲内の業務は、難なく引き継ぎ可能ですが、想定していなかった業務については引き継ぎが困難な場合があります。
想定外の業務が会社にとって必要性が高まった時に、何かしらのリスク管理をしなければなりません。
なぜなら急にキーパーソンが辞めてしまう場合があるからです。
会社ができる対策は、業務変更による専任化や新規雇用ですが、何かしら経費がかかってしまいます。
個人でできることは、業務のフォーマット化に徹することです。
業務をフォーマット化することで、もし担当者が辞めても社内外で質を保ちながら継続は可能になります。
もしこの先、退職や出産等の休職を考えている方は、今手元にある業務をフォーマット化できるかどうか考えてみて下さい。

建築と写真で素敵な生活のサポートをしたい