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一級建築士の退職交渉術

9月いっぱいで今の職場を辞め、10月から新しい会社に転職する鶴見哲也です。
転職には2つの交渉の場があります。
1つ目は新しい会社との入社交渉です。
職務経歴書の書き方、面接テクニックを駆使して、希望の会社に上手くフィットするアピールをする交渉です。
入社交渉は夢や希望を持って挑むので、ポジティブに取り組むことができます。
2つ目は今の会社に対する退職交渉です。
同僚に対する後ろめたさ、厳しいことを言われるのではないかという怯え、執拗なまでの引き止めのわずらわしさ等、頭に思い浮かぶのはどれもネガティブな感情です。
この退職交渉をスムーズに終わらせたるためにはどうしたらいいのでしょうか。
今回、私が実践した方法をご紹介します。

1.なぜ転職するのか

そもそもなぜ転職するのか。
これは入社交渉でも退職交渉でも必ず聞かれます。
「何となく」という理由で転職する方は、ほぼいないと思います。
新しいことに取り組みたい、年収アップさせたい、会社が嫌だ、給料が安い等、様々な理由が考えられます。
その理由がポジティブなものか、ネガティブなものかはとても大切です。
キャリアアップの転職が成功するのは、ポジティブな理由の時と言われています。
ネガティブな理由での転職は通称「逃げ出し転職」と呼ばれ、同じ局面に出くわした時に辞めることで状況改善を図ろうとするからです。
例えば給料が安いから転職したが、そこで同年代や同様の仕事をしているのに給料が安いとなると、また辞めるといった行動です。
「不満=辞める」という思考になり、どうしたら改善できるのか、どうしたら評価されるようになるのか考えなくなります。
その様子ははたから見てもわかるので、そんな人材は社内でも転職市場でも評価されません。
今いる会社では実現できないこと、より高い数字を上げるためにマーケットをかえること、もっとチャレンジしたい等、ポジティブな気持ちを抱いている時も、その雰囲気は顔や行動に現れます。
その時こそキャリアアップ転職のチャンスです。

2.ネガティブな理由は共感されない

退職交渉をする際も、理由がポイントになります。
その理由から共感を呼び、応援してもらう状況を作れれば、退職交渉は大成功と言えます。
容易に想像できると思いますが、ネガティブな理由では共感は得られません。
同じ職場環境、条件で働いている同僚には一定の理解が得られるかもしれませんが、応援してもらうまでには至りません。
逆に「お前だけ辞めるのずるいな」なんて変な方向での嫉妬が生まれる可能性があります。
そうなると退職日までの会社の雰囲気は悪くなり、我慢の日々が続くだけで、残された人たちの士気も下がり、負の連鎖が続くことも考えられます。
またネガティブな理由を心に抱いて退職交渉をしようと思っても、きっとうまく説明できません。
給料が安いなんてストレートな表現は避けるので、何かそれっぽい理由を探してストーリづくりをすると思います。
しかしストーリーに矛盾が生じたり、1つ質問や意見を言われただけでそれ以降答えられなくなります。
なぜかというと、本心では無いからです。
上司や経営陣は人を見るのが仕事なので、上っ面の言葉では通じません。
共感もされないし、応援もされないので、良い形での退職はず、「逃げ出し転職」が始まってしまいます。

3.ポジティブな理由は共感され、応援される

ではポジティブな理由ではどうか。
ポジティブなメンタリティであれば仕事での成績が良く、貢献度も高いので、引き止めに合うと思います。
それでも自身の信念があり、本心で退職理由をプレゼンテーションできるので、時間はかかっても共感を得られるはずです。
私の場合は、今の会社が好きだし、やりがいも感じられていたし、自分にしかできないことでポジションを得て楽しく働いていました。
はたから見れば辞める理由なんて無い状態です。
しかし会社を良くしよう、業界を良くしよう、もっと多くの人が幸せな暮らしができるようにしたいと思いが大きく、強くなり、その思いを実現するには今の会社では難しいものになりました。
自分ができなければ他の人や他の企業に実現してもらおうと、勝手に企画提案をはじめ、そこで共感してもらえた方の企業に転職することになりました。
「会社を良くしよう、業界を良くしよう、もっと多くの人が幸せな暮らしができるようにしたい」という強い信念があったため、退職交渉もその信念を素直に伝えました。
また会社が嫌になった、給料が安い等のネガティブな理由が無いことも強く伝えました。
どうしても今の会社では実現できない信念があること、ネガティブな理由が無いこと、この2点を伝えることで共感を得ることができました。
もちろん理由を説明した後になぜ?どうして?という追及や、本当は待遇や給料に不満があるのでは?という引っ掛け質問もありました。
しかし信念があり、ポジティブな思考をしているので、淀みなく答えることができます。
そこまではっきり答えられると引き止めにかかる上司は手詰まりで、共感し、応援するしかありません。
不思議とポジティブな思考で挑む交渉は自信に満ちていて、問いに対してスムーズにキレのある回答ができるものです。
それがつくられたストーリではなく、本心だからです。
もちろん全員に共感が得られるわけではありません。
否定的な態度や嫉妬する人も出てきます。
そんな方はどんな気持ちで接してもうまくいかない相手である可能性が高いので、気にしないでいいと思います。
共感して応援してくれる人は転職後も連絡を取るはずですし、否定的な人は以後お付き合いすることはないはずです。

4.まとめ

退職交渉において、その理由がポジティブなものか、ネガティブなものかはとても大切なことです。
ネガティブな理由は逃げ出し転職のもととなり、「不満=辞める」という負の連鎖を生みます。
また円満退社には、共感からの応援という流れを目指すのが最良な選択です。
ネガティブな理由には、辞めることへの共感を得られず、応援もされません。
退職交渉も本心ではないそれっぽくつくったストーリーを伝えるだけになり、人を見ることに長けている上司にすぐ見抜かれてしまいます。
一方でポジティブな理由は、最初は引き止めにあうかもしれません。
それは辞められたら困る貢献度が高い人材だからです。
それでも本心でのプレゼンテーションは上司の心を動かし、共感を呼ぶことができます。
共感が得られたら、その後は「次の会社でも頑張れよ!たまには会社遊びにこいよ!」なんて応援に変わります
ただし全員共感してくれるわけではありません。
どうしても合わない人は世の中いるので、退職日までそれなりの挨拶を交わし、退職後はお付き合いする関係にならないので安心してください。

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