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僕の英語武者修行〜外資系企業(英語圏)で活躍するには(5)日本支社の人が本社の人に言ってはいけない言葉

前回は海外の顧客と英語で仕事をすることによって得られる学びに関して書きました。そしてやはり、社内の海外オフィスとのやりとりも、外資系企業でうまくやっていく上でとても大切ですし、それがうまくできるようになっている頃には英語力も格段についていることでしょう。以前にも書きましたが僕が働いてきた会社は完全に現地化していないので、本社や他の海外オフィスがいつも身近にあり、彼らとのコミュニケーションの良し悪しが仕事の成否を決めると言っても過言ではありませんでした。

さて、おそらく多くの外資系で働く人たちが経験されていると思うのが、海外にある本社が色々決めたことが現地に合わないので困る、ということです。たとえば本社で決めた業務プロセスや、本社で使われている英語テンプレートの契約書をそのまま使おうとすると日本の商習慣にそぐわないことがあります。しかし大事なのはそれらの問題を感情的に捉えないことです。なぜならそれは構造的に起こってしまいやすい問題だからです。むしろこのような齟齬を解決することにこそ、英語を上達させ他者を理解しリーダーシップを発揮しながらグローバルに活躍することができる人材になるための成長の種が沢山隠されています。

そして、本社や海外オフィスについ言ってしまいたくなる言葉が、

"Japan is different!" 

です。

僕自身キャリアの初期はこの言葉を頻繁に使い、わかっちゃいない(と僕は思っていた)本社やRegional Headquarterがある香港やシンガポールの同僚たちに戦いを挑み、ときに疎んじられたりしました。日本のために戦うことが自分の仕事だし、それが最終的には会社のためになると信じていました。しかし今にして思えば僕は若かった(苦笑)。というのは違うのは日本だけではないし、僕の仕事は日本オフィスのために戦うことではなく、会社全体が日本で成功するために手伝うことです。なのでいうべき言葉は、

"It unfortunately doesn't work in Japan. Let's find out what we can do together." 

だと思います。まず最初に考えなければいけないのが、本社の人たちが世界各地にある支社の文化や商慣習の違いを完全に理解するのは非常に困難だということです。支社オフィスのためになるよう善意を持っている人でさえも、どうしても自分たちの文化背景に基づくバイアスを持ちます。なので、相手の立場を尊重し理解を示すと同時に日本のことを知っている自分が教えてあげて解決に導いてあげることこそ仕事です。もう一つ考えなければいけないのが、残念ながら日本というマーケットの重要度が外資系企業の中で過去と比べて格段に落ちているという事実です。かつてGDP世界2位であった日本はグローバル企業が成功するためのキーとなるビッグマーケットでした。しかし現在日本は特に中国や成長著しい東南アジアの国と比べたときに、残念ながら潜在力を見出しにくい少子高齢の低成長マーケットです。なので、かつては可能だった日本マーケットのための特別扱いはしてもらいにくくなっていると思います。

しかし僕はこのことを悲観する必要はないと思っています。というのは、日本は低成長とはいえ未だにGDPは世界3位で無視されるような存在ではないし、違いを乗り越えて日本で成功した経験は、これから成長する国々が本社と抱える問題を解決するのを手伝うのに活かす事ができます。さらに言えば、現地オフィスでの立場を経験していることは、日本企業が海外に現地オフィスを作りグローバルに成功するための現地での問題を乗り越えなければいけないときに役立ちます。まずは日本にある外資系で成功するために英語力と問題解決力をみがくことは、日本を超えて世界で活躍する人材になるためのよい学びの場です。次の回では、もうすこし具体的な問題解決の方法に関して掘り下げてお話できればと思います。どうぞお楽しみに!

追記:写真は僕の家の近所にあるドイツ企業の前に展示されているベルリンの壁の一部です。人類が分断を乗り越えた歴史の証。言葉と心の壁を打ち破ってグローバルで平和な世界を!


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