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僕の英語武者修行〜外資系企業(英語圏)で活躍するには(6)英語力を上げる以外にもできること

さて、前回も書かせていただいたとおり、外資系企業では現地の問題を解決し会社全体の成功に結びつけることは大事なことです。それを実現するために英語力が高いに越したことはありません。自分が考えたことを相手が理解しやすい方法で伝えれることができればお互いにストレスが少ないはずです。なので当然日々の学習で英語力を上げる努力をするわけですが、英語力の向上は地道な努力が実を結ぶまで時間がかかります。そして、英語が流暢になるだけでは活躍することはできません。ショックですか?でも逆に考えると英語に多少難があっても、英語が上達するまでの間にやれる事があるというふうに考えることもできます。

まず最初にやるべきことは自分のメインの仕事で誰もが認めざるを得ないような成果を上げることです。成長する企業は当然ながらパフォーマンスが高い社員を大事にし特別扱いします。パフォーマンスが高い社員の言うことであれば会社も言い分を聞くというものです。逆にメインの仕事でパフォーマンスが低いと正しいことを言っても聞いてもらえないかもしれません。

次に挙げたいのは、歴史的な背景や社会的な背景も含めて日本の状況を説明できるようになるということです。なんだかんだ言っても海外にいるマネージャーは忙しいので現地オフィスのことは可能であれば信頼できる人に任せたいと思っています。例えば僕の場合は人材採用で、なぜ日本はこんなに候補者が少なく、人材紹介会社は高い料金を要求するのかということをいつも聞かれました。そのときに僕は「戦後の製造業を中心とした高度経済成長期は経済が右肩上がりなので企業は人材確保するために新卒を大量に採用し自分たちのやり方をしっかり覚えてもらい、終身雇用で長く雇用するので、もともと人材の流動性が低く中途採用のマーケット自体が小さいんだ。でもバブル崩壊後社会がとてもゆっくりだけど変わってきているので昔と比べればこれでも人材の流動性はITのような新しい産業では随分ましだよ。」みたいな話をします。パフォーマンスに申し分なく、自分たちにわかるように背景を説明してくれる社員は頼ることができ、現地オフィスの成功によって海外にいる彼らの評価もあがるので、逆にこちらに頼り切りになって、言うことをどんどん聞いてくれるようになります。

また、データやロジックを使うことと、自分ひとりで頑張らないことも大切だと思います。グーグルにいたときに日本でエンジニア採用をするためには非常に大人数の採用担当者が必要になるということを、人事部の同僚がデータをもとに見積もってくれました。データやロジックは万国共通で雄弁です。エンジニアリング部署のリーダーも同意してくれました。そして、そのデータと同意をもとにまず採用担当者を雇いたいと思ったのですが、僕の上司も、その上司も許可してくれません。そこで、エンジニアリング部署のリーダーが本社に掛け合いトップダウンではなしが決まるとあとはあっけにとられるほど簡単に許可が降りました。優秀な同僚や影響力のある同僚はとても強力な味方です。

トップダウンという話でいうと、本社で決まったことが日本に合わずに困るということがありますが、これに関して一つ解決方法があります。それはグローバルの意思決定に先回りして自分が関わるということです。そのようなことは難しいと思われるかもしれませんが、機会はあります。先程述べたように、パフォーマンスが高い社員を会社が特別扱いをするので、グローバルに社員が集まる様々な研修をうけさせてもらえるチャンスが生まれます。研修内容を学べることも大事ですが、ここでの肝は本社や他の国で様々の重要な仕事をする優秀な同僚や社内講師を務める影響力があるシニアリーダーたちと個人的な繋がりを持つことができることです。彼らから大きな刺激をもらうことはもちろんですが、彼らは非常によい情報源となり、あることを成し遂げるには誰に何を聞いたらいいのかなど教えてくれたりします。そして彼らから、いまグローバルでこういうことが決まろうとしているという話をキャッチすることができれば、決定される前に先回りして日本の立場から意見を言うことができます。

随分したたかな話に聞こえたでしょうか?しかし、そんなことはありません。会社の最終ゴールは本社の意向を押し通すことではなくグローバルな成功なので、会社はむしろ優秀な社員がグローバルにネットワークを作りポジティブな影響を与えて活躍する人材になってくれることを歓迎するはずですし、そのような人材はとても少なく会社にとって貴重です。上記に述べたような流れを作り出せると、こんどは日本だけではなく、海外オフィスのマネージメントの仕事や本社でグローバルな仕事をまかされたり、余人に代えがたいと思われれば日本にいながら日本以外の仕事をするチャンスが生まれてきます。ここまで、外資系企業で活躍するために必要なことを色々書いてきました。ちょっとこれは大変だなと思われる方がいるかもしれません。そこで、次回は英語を学ぶことと外資系の企業で活躍することによって得られる見返りについて書きたいと思います。どうぞお楽しみに!


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