1つの文書だけで数百人を動かすということ

人事を含め、いわゆる管理部門で働いていると社内に通達(=単なる連絡やお知らせではなく命令)を出すことがある。
それは役所みたいな仕事のように思え、例えば労働基準法の法改正であるとか、社会保険の制度において細かい内容が変わった場合、そして助成金の申請をする際などに細かい内容を確認するために厚労省のサイトからダウンロードするPDFの資料のようなものだ。そういうのを私が書く。ほとんどは文章や箇条書きだが、場合によっては図解もする。

私なんかが命令を発するということ

会社という狭い世界の中で、通達を出すことは組織の秩序を維持するために必要なことであり、役所みたいな仕事である。場合によっては反発を招くこともあるので、政治家みたいな仕事であるとも思う。
ただ、「政治家みたいな仕事」というのは会社によって違うだろう。完全にトップダウンの会社であれば、反発を受けるのは社長や経営層だが、総務や人事が主体的に動いている会社であれば、積極的に頑張れば頑張るほど場合によっては総務や人事の人が叩かれる。「総理が悪い、政治が悪い」言う人がいるのと同じように。「総務が悪い」とはあまり言われないが、「うちの会社はダメだ」という言い方に、制度を運営する総務や人事の担当者で精神的ダメージを受ける人もいるだろう。熱意があり、やる気があればある人ほどそうである。

1つ文書だけで数百人を動かすということ

通達を書くにあたって気を付けることは一般的なビジネス文書の書き方と同じだ。その中で私が意識していることを思いつくままに書き出してみる。

  • 法令上のことは「法令の定めにより」を強調したニュアンスにして、法律のせいにして書いた自分が叩かれないようにする。

  • 徹底させることであり例外は認めない場合はそのように必ず記載。例外を認める場合はどのような例外が想定されるかを記載した上で、「部門責任者の判断により、○○も構いません」などを書いた上で、例外が行われているかきちんと確認するか、あるいは事前届出を求める。

  • 想定される質問は聞かれる前に先に書いておく。本文と区別して一番下に。

  • 長文にはしない。表現は端的に。箇条書きも使いながら言葉はできる限りそぎ落とす。長文であればあるほど人は読まない。(仕事なんですけどね)

  • 「何をしてほしいのか」を具体的にわかりやすく書くのであって、通達を出す趣旨や背景は極力書かない。予想もされないことを通達する場合は書く必要があるが、通達本文と区別して下の方に書く。

わからない人はわからない

会社規模や業態、風土によって、ルールを厳格に規定し、遵守させる必要がある場合もあるだろうし、基本原則のみを伝えて各事業所・各部署に任せるという方針もあるでしょう。もちろん中身にもよる。
裁量を持たせる場合「言われなくてもわかるでしょ?」というニュアンスがわからない人も当然いる。私はそんなに規模の大きくない会社なので、わからない人が誰なのかもだいたい把握している。電話などでフォローするか、動きに注意するようにしているのだが、どうすれば最善なのかはいまだにわからない。




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