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邪魔をしないという勇気をもったステキな大人たち。

人との出会いって
なんでこんなにも嬉しくて面白いんだろうか。

アカデミースタッフとして
3年間関わった『ヴィッセル神戸』を離れ
今シーズンから『鹿児島ユナイテッドFC 』の
U-18コーチに就任したソウルメイト古賀くんから
今年の3月にLINEが来ました。


「 テツさんにぜひご紹介したい
 素敵な指導者の方がいるのですが… 」


ZOOMで引き合わせてもらったのは
鹿児島ユナイテッドFCのU-15コーチ
デビッドソン純マーカスさん。

大宮アルディージャや
ヴィッセル神戸などのJリーグチームだけでなく
アメリカやタイでもプレーしていた方です。

画面越しに挨拶をした瞬間から
マーカスさんの嘘のない子どものような表情と
温度感の高い言葉に惹かれまくってしまい
ZOOM中ずっとニヤニヤが止まりませんでした。

しかも、好奇心旺盛なうえに
「人ありき」なその考え方が本当に素敵で。

《 指導者 → 選手 》ではなく《 人間 ⇔ 人間 》

こういう人って個人的に大好きです。

3人での話しが
どうしたら子どもたちがより成長していけるんだろうか
そのためにどんな環境づくりができるんだろうか
というテーマになったときに自分が


「 トレーニングマッチの最後とかに
 両チームを混ぜてチームをつくって
 ミックスゲームをやったりしたいんですよねー 」


と伝えたところ


「 それはいいですね!ぜひやりたいですね! 」


と、キラキラな笑顔で
すかさず返答してくれたマーカスさん。

なんかポカポカとした気持ちになれた
ZOOM会となりました。




あれから3ヶ月ほどの時が経ち、6月の下旬。

鹿児島の地で
マーカスさんとついに会うことができました。

しかも、自分が監督として関わっている
福岡県『エリア伊都』のジュニアユースが
「クラブユース選手権」の県大会で3位になり
この大会ではクラブ初となる
九州大会出場の切符を手にしてくれたことで。

開催地は、熊本県
ただ1・2回戦は試合数が多いため
数県での分散開催となりました。

組み合わせ抽選の結果
うちの試合はまさかの鹿児島県となり
しかも、マーカスさんがコーチをしている
鹿児島ユナイテッドU-15と
まさか、まさかの同会場という奇跡が。

これはもうやってもらうしかないと
公式戦後の出場できなかった選手たちのための
トレーニングマッチをオファーすると


「 もちろんです、ぜひやってください!
 で、前にテツさんが言ってたミックスゲーム
 よかったら、やりましょうー 」


と、マーカスさんの方からミックスゲームの話しが。

Jリーグのアカデミーチームのスタッフから
それを言ってきてくれるってなんかスゴイなと
マーカスさん自身と
鹿児島ユナイテッドに対しての関心が
さらーに膨らんでしまったのでした。

そして
クラブユース選手権九州大会@鹿児島県。

雷と大雨という
嵐の中の1回戦は 3-1 で勝利したものの
翌日の2回戦は粘り強く戦いながらも
残念ながら 0-0 PK6-7 で敗れ 
全国大会へのチャレンジは
これにて終了となってしまいました。

うちの強みと弱みがハッキリと出た2試合。
秋に行われる高円宮杯出場に向けて
もっともっと上手くなっていくのみです。




で、2回戦に負けた後、会場を移動して
「鹿児島ユナイテッド」とトレーニングマッチを。

まずはお互い
九州大会の試合で出番のなかったメンバ―で
25分ハーフの試合を行い
ラストの1時間は「ミックスゲーム」をすることに。

鹿児島ユナイテッドと
エリア伊都の選手をミックスにして
4チーム作りました。


「 テツさん、よかったら
 ミックスゲームの意義を
 子どもたちに話してあげてもらえませんか?」


というマーカスさんからのお願いで
僭越ながら、こんな話しをさせてもらいました。


「 みんなこれからサッカーを続けていく上で
 いろいろな人たちと
 プレーしていくことになると思うんだ。
 新しいチームで、トレセンで
 プロで、外国で、セレクションで。
 そのときに、自分の特徴を知ってもらって
 仲間の特徴をつかんで
 一緒にいいプレーができるかどうかって
 すごく大事になってくると思う。
 それも能力のひとつだから
 今から磨いていってほしいなって。
 今日は知らない人とチームメイトになるけど
 どんどんコミュニケーションを取って
 自分を思いっきり出しちゃってください 」


で、チームそれぞれで
コミュニケーションを取ってもらいキックオフ。

最初はぎこちなかったのですが
時間と共にどんどん変化していきました。

いいコンビネーションが生まれ
いいゴールが生まれ
いいコミュニケーションが生まれ
試合をやっていないメンバー同士での交流も生まれ。

さらに、審判をやってくれた
鹿児島ユナイテッドU-15の監督さんが
うちの選手にいろいろと声をかけてくれたり
選手が盛り上がるような
ジャッジをしてくれたりしたことで
めちゃくちゃ豊かな
空気感が漂う試合になっていったのでした。

鹿児島ユナイテッドのスタッフのスタンス
公式戦でも感じたのですが本当に素晴らしくて!

とにかく見守ることに徹していて
たまに「こういう選択肢もあるんじゃないか?」
という言葉が出るくらいで、とても静か。

スタッフのスタンスが
選手一人ひとりの成長に完全にフォーカスされていて
そのための環境設定や選手への関わり方が
とにかく自然で、柔らかくて、おおらかで。

逆にピッチの中の選手たちは
そんな絶対的な安心感の中
建設的なコミュニケーションが活発。

結局、鹿児島ユナイテッドは九州大会で準優勝。
初となる全国大会への出場権も手にしました。

ミックスゲームが終わって
スタッフみんなでいろいろと情報交換をした後
ミックスゲームの第2回目開催を誓ってお開きに。


「 うちら大人ができることは
 子どもを伸ばしていくということではなくて
 子どもが自ら成長していくきっかけや場を
 生み出したりすることだと思うんです。
 それができれば子どもたちは
 自分たちで発見して、成長していく。
 その邪魔をしないようにしたいとは思ってます 」


帰る前に
マーカスさんがしてくれたこの話しを聴いて
「飛び立つスキマの設計学」(椿昇、産学社)
という本の一節を思い出しました。


『 ” 邪魔をしない ” ということは
 密林に生えた小さな芽が
 目指す空を見せてくれるもいうことなのだ。
 未来が不透明といわれるなか
 指導者に必要な倫理は
 豪雨を降らせる高度経済成長期の
 ” 教えねばならない ” という強迫観念から逃れ
 若芽を信じて密林にスキマを開け
 自発性の成長を待つ
 ” 邪魔をしないという勇気 ” なのではないだろうか 』


邪魔をしないという勇気をもった
ステキな大人たちとの出会いにひたすら感謝です。
もちろん、連れてきてくれた中学生たちと
きっかけを生み出してくれた古賀くんにも。

どうもどうもありがとうでした。

さぁ、たくさんの芽が
思いっきり空に向かって伸びていけるような
ワクワクいっぱいな夏にしていこう。



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