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最後まで一緒だったサッカーボール。

お母さんの話しによると
『エリア伊都』小学3年生の " しりゅう " は
こんな感じのサッカー小僧なんだそう。


「 あの子、休みの日も
 近くの公園でサッカーしてるんですけど
 いつの間にか知らないお兄さんとか
 おじさんとかと仲良くなって
 一緒に試合してるんですよ。
 で、その人たちのことを聞いてみたら
 " 名前はよく知らないんだよね " って(笑)」


そんな中南米的サッカー小僧のしりゅうは
月曜日の自主練にも毎回来ていて
上の学年に混ざって試合をしていたり
ゴールに向かってひたすらシュートを打っていたり
コーンやマーカーを並べてドリブルをしていたり。

あれは、まだ暑くなる前の自主練でのことでした。

自分がグラウンドに着くと
ボールを抱えたしりゅうが笑顔でこんな話しを。


「 ねえねえ、コーチ!
 シュート打ったらボールがパンクした〜 」


パンクの理由は
しりゅうがタイガーショットを打ったからではなく
ボールの寿命によるもの。

めちゃめちゃ感動してしまいました。

そのボールには
しりゅうと一緒に過ごしてきた時間が
老犬の毛並みのように刻まれていたから。

ボールは本当に嬉しかっただろうなぁ。
この終わり方は本望だったろうなぁ。

そんなことを考えていたら
さらに感情的になってしまったので
奥さんの光葉に詩を書いてもらいました。

しりゅう、これからもサッカー小僧のままで。


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「 ぼくをけった 」


ポーーン

きみは
ぼくを けった

まいにち けった

つよく けった
かるく けった

こうえんで けった
どうろで けった
グラウンドで けった

ひとりで けった
ともだちと けった
なかまと けった
おとなと けった
しらないひととも けった

ときどき すわった
たまに はなしかけた

ぼろぼろになっていく ぼくを
また けった

そして
あのひ
ぼくは はじけた

うちゅうに はじけた

きみと
ぼくのちからが
かさなって

パンッ
と はじけた

きみは わらった
ぼくを かかえて

さいごに
やわらかくなったぼくを
また
けった

ぼくは ぜんぶ
うれしかった

サッカーボールだから


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