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さよならの向こう側~まっする7観戦記~

君はマッスル坂井を、「マッスル」をしっているか?

私には勝手に全幅の信頼を寄せているクリエイターが何人かいる。
その一人がマッスル坂井a.k.aスーパーササダンゴマシンだ。

マッスル坂井氏
スーパーササダンゴマシン

もともと文系プロレス団体「DDT」の映像班だった氏がその才能を見込まれ主宰したイベントが「マッスル」であった。
イベント名の由来は、当時何かと話題だったプロレス団体「ハッスル」を意識したものだということは一目瞭然。

ではその内容はというと、プロレス中に笑点そっくりなセットが出てきて大喜利がはじまってみたり、会場に2つのリングが設営されていたり、エヴァそっくりの演出で不穏な空気のまま大会が進んでみたり、挙句プロレスの試合中に葉加瀬太郎のエトピリカが流れ出したと思えばスローモーションがはじまるといったもの。
本家のハッスル越えのハチャメチャなものであった。


出会い


私が「マッスル」と真っ向から向き合ったのは約10年前。マッスルが活動を休止してから、たまたまDVDを全巻持っていた友人から借りて観たのがきっかけだった。
初めこそ名前も知らぬレスラーたちの得体の知れぬイベントだ…位に思いながら気軽に観ていた私だったが、次第にその世界観に引き込まれ爆笑し、興奮し、最終的には号泣をしていた。本当に涙が止まらなくなった。

WWEや新日本プロレスのレスラーのように圧倒的な体の才能がある訳でもない、またインスパイア元のハッスルのように資本力にものを言わせたド派手エンタメができる訳でもない、そんな持たざる者たちが大袈裟ではなく命懸けで自分たちの信じるプロレスに向き合う様は私の胸を熱くさせた。採用試験に失敗して、継ぐ気もなかった家業の手伝いをしながらボンヤリとした日々を過ごしていたという背景もよりマッスルを自分事にさせたのだとおもう。

その出会いから現在に至るまで、折に触れて見返しては勇気を貰い、持たざる者の戦い方を学んでいた。

憧れ


「1度だけでも会場でマッスルを観てみたかった。」
私がそんな思いを抱きながらバタバタと忙しい日々を送っているといつの間にかマッスルが形をかえて「まっする」(ひらがなまっすると呼ぶ)として復活したのが2020年の年始。
会場に行きたいとは思ったが「忙しい」を言い訳に会場に行くことはなく、配信で観るにとどまっていた。
このままではよくない。後悔したくない。今しか出来ないことをしたい。そう思うようになり、今回のまっする7のチケットを予約した。なんと千秋楽を昼と夜の2公演!!
やったやったと思いホクホクしていた私に飛び込んできたのは、今回のまっする7がこのイベントの最終回だというニュース。愛しい人を亡くしたように息が詰まった。

初めての聖地「北沢タウンホール」
イベント当日になっても今日でまっするが終わるなんて信じられないままだった。
夢心地のまま昼公演を観戦してきた。熱くなってしまった。気がつくと近くのカフェに入って久しぶりにnoteに筆を走らせている。
あと15分で夜公演が会場する。
9月9日の下北沢はそれなりに涼しく秋の気配を感じる。世間の夏休みムードはもうとっくに無くなってしまった。でも、ここ下北沢は、甲州街道はまだ夏なのさ。

夏は、夏休みは、非日常は終わっていくから美しいのかもしれない。けど、もうすこしだけ夏の夢を見させてほしい。
まっする7~甲州街道はまだ夏なのさ~最終日、最終公演が間もなくはじまる。私が愛して愛して愛し抜いたイベントのひとつの終着点をこの目に焼き付けてこよう。
夏休みが終わって、また少し大人になった自分が何を思うのか。

行こうぜ。
さよならの、プロレスの向こう側。


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