散歩カメラ Leica M Monochrom(typ246)
ライカの正しい使い方、それは散歩カメラである。
小難しいレンジファインダーのピント合わせ、手に馴染むけどズッシリくる質感、もちろんマニュアルフォーカス、いつもの見慣れた景色ですら「写真」となってやってくる。
個人的にはライカが特別なのではなく、レンジファインダーがそうさせると思っている。
経済合理性と身体性を極力排除することが是とされる現代において、これほど無駄の多い行為というのはなかなかない。
しかも、そのくせ黙示録的お値段。
だからこそ、写真がやってくる。
写真はなにか特別な場所や特別なイベントを撮るものではない。
そしてSNSでバズるような結果ありきのものでもない。
そういった写真をお求めの方には、レンジファインダーカメラがおすすめである。
写真の効用が身体性の顕在化だと信じている特異な人であれば。
写真は手短な表現であり、即物的に消費することで、この世に擬似的な達成感をなんとなく付与してくれる。
そう、自己満足である。
だが、自己満足ですらカネに変えられる現代におかれましては、写真はそういった重力に引き寄せられるメディアの最たるものかもしれない。
しかし、重力から弾かれた場所も残されているのが写真でもある。
100点満点の写真なんて存在しないからである。
ライカのレンジファインダーカメラは、だからこそ見慣れた景観の中をいつも通り歩く散歩において、カメラの効用をこれでもかと与えてくれる。
散歩カメラは面倒くさいくらいが丁度よい。
サポートいただきましたら、すべてフィルム購入と現像代に使わせていただきます。POTRA高いよね・・・