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Foveon案件とは?

Foveon案件とはなにか?を語る前に、Foveonセンサーについて少し前置きしておこう。
Foveonとはカメラのセンサーである。
一般的なカメラセンサーとは一線を画した・・・というか、一線を越えたセンサーである。
普通のカメラセンサーは、1層にRGB=三原色(赤、緑、青)を並列しているのだが、Foveonセンサーは1層に1色で3層積層になっている。
これによって色情報が全画素余す事無く記録できるようになっているのだ。
よくわからないが、要するにすごいのである。
そんなFoveonセンサー搭載カメラは、世界で日本のカメラメーカーSIGMAしか生産していない(現在は開発中)
なぜなのか?それほどにすごいセンサーなら、たくさんのメーカーがこぞって競い合うのではないのだろうか?


否である。結論から言うと、Foveonセンサーは非常に扱いづらい。
一般的な手軽で便利なカメラとは程遠い使用感。
ISOは400ほどが限界であり、バッテリー持ちは悪く、連射やAFは芳しくない。さっと出して気に入った景色を撮る・・・そういう使い方には適していない。
三脚を構え、ここぞという景色をじっくりと撮る、それがFoveonである。


しかし、Foveonセンサーの特色が景色にガッチリとハマれば恐ろしい写真が吐き出される。
このカメラは、100枚撮って1枚当たれば良い方であるが、その1枚は想像を超える一枚となるのだ。
そんなスマートフォン全盛期にアップル製品とは真逆の思想で存在するSIGMAのFoveonセンサー搭載カメラは極一部にカルト的な人気を博している。
僕の使用するSIGMA dp2 merrillはもう10年以上前のコンパクトカメラになるが、未だに中古価格はお高い傾向にある。


ついでに付け加えると、この特殊なカメラはRAW現像がSIGMA専用ソフトで行うことになるのだが、このソフトまでもが重い。
僕はSIGMA Photo Proがあまりにも重すぎてパソコンを買い替えたくらいである。Foveonあるある。
だがしかし、このカメラが撮影者の予想を超えることは間違いなく、その偶然との出会いを求めて我々Foveon教団は目をFoveonセンサーにして世界をさまようのである。


前置きが長くなってしまったが、Foveon案件の話をしよう。
Foveon案件とは、我儘なFoveonセンサーがその特色を遺憾なく発揮する景色のことを指す。
Foveonセンサーのカメラを使うということは、カメラを景色に向けて撮るのでなく、カメラが求める景色を探すことになる。
特にSIGMA dp merrillはFoveonセンサーに能力を全振りしたカメラであるため、ちょっとした逆光や明暗差の激しい景色は不得手であり、要するに失敗写真にしかならない。ちなみにカラーもJPEGだと基本的に使い物にならない。人の肌がゾンビのように緑っぽくなるのはご愛嬌だ。


ちなみにだが、モノクロモードで撮ればカラーめちゃくちゃ問題から開放され、さらに原理上モノクロ専用センサーと同等の写真が撮れることは明記しておく。


Foveon案件は人によって色々あるだろうが、僕は『曇天の正午前後、木陰下』がベストだと思う。
2B Channelの渡部さとるさんも、Foveonスポットとして同じような環境を言っていた。Foveon案件という言葉も渡部さとるさんの影響です。
のっぺりとした均質な光の下で撮影すると、恐ろしい解像度の写真が生み出される。
今回の写真は晴天だったが深い渓谷かつ新緑の広葉樹下であったので、Foveon案件だったといえる。


このように、少しでも明暗差があると白飛びや黒潰れのオンパレードとなる。
だが、Foveon案件である真ん中の岩の質感や草木の解像度はおぞましい。
これはこれで好きな写真である。
RAW現像すればある程度は挽回できるが、やはり好条件下で撮影しないとFoveon本来の解像度は発揮できない。


ちなみに普通に撮るとこんな感じ(JPEG)
全体的にのっぺりとし、カラーもなんだか緑っぽい。
しかし、車庫のトタンの質感はやはりFoveonだ。


だがしかし、この写真のように明暗差が激しくてもコントラストが強いくっきりとした良き写真になることもある(JPEG)
おそらく、真上からの光や順光であれば、先程ののっぺり感は回避できるのであろう。
先程の車庫の写真は逆光気味なので、Foveon様はご機嫌を悪くされてしまったのだ。
逆光が苦手なのはすべてのカメラに当てはまるが、Foveonはその影響をモロに受けてしまい、極端な失敗写真になりやすい。
もちろん古いカメラの技術的な問題もある。その点はquattroシリーズで多少改善されている。


以上が僕の思うFoveon案件である。
本当にこのカメラ、癖が強く景色を選ぶ。
だから素晴らしい景色であろうと、光の影響をモロに受けてしまうので諦めなければならないことも多い。
だがしかし、このカメラでしか撮れない写真は絶対的に存在し、しかも他に代用ができない。
これはスペック的な意味でもあるが、「Foveonだから撮る景色」でもあるのだ。
便利この上ないiPhone片手では見向きもしない景色が、このカメラでなければ撮らない景色だったりする。
その景色は光とFoveonにより導き出された景色であり、だからこそFoveon案件で撮られた写真は唯一無二であるのだ。
スペック的な解像度も確かにあるが、Foveonで撮るという不便さ、選択肢の狭さこそがこのカメラを孤高の存在としているのである。
なぜなら、このカメラでしか撮れない写真は確かに存在するのだから。

あなたのFoveon案件がありましたら、教えてください。

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