サクッとわかるビジネス教養 地政学 【読書録】:星4

【書評】★★★★(多くの人におすすめしたい)

私は「国際政治を冷酷に見る視点やアプローチ」と考えています。

『奥山真司』本書にて

 『地政学とは……地理的に衝突が頻発する3大エリアをめぐる”国のふるまい”の研究』と筆者は書いている
 3大エリアとは、アジア、中東、ヨーロッパの三つのこと
 第二次大戦ではアジアとヨーロッパが戦火の舞台となったし、
 冷戦期の朝鮮戦争はアジア、湾岸戦争は中東が戦場となった
 ロシアによるクリミア侵攻は記憶に新しい
 世界中で多かれ少なかれ戦争や紛争、民族衝突はあるが、比較的多くの血が流れるのは上記の3大エリアとなる

 じゃあ、どうしてここに戦争が起こりやすいのか
 著書の中ではロシア(ユーラシア北部で国境を山に囲まれており、港の多くが冬季は使えない土地にある政府)、中国(多くの国境問題を抱えており、かつ世界の中心であるという自負の強いユーラシア大陸東端の政府)を地理的な側面と歴史的な側面から、どのような願望をもち、どのように行動する可能性が高いかを述べている
 そして、現代においてはアメリカがそれに対してどのように対応していたかがまとめられている
 高校時代に世界史を履修した人なら、ああそういうことだったのかと腑に落ちる点が多いだろう

 あくまで入門書であり、かなり総論的な部分が多くなっている
 各論は少なく、南米・アフリカの記載はほぼ皆無だ
 あくまで『ビジネス教養』としての一冊であり、地政学をきちんと学ぶには物足りない点が多い

 ただ、半日もあれば読み終えることができ、昨今の最低限の世界情勢を抑えるには極めて適切な内容・分量となっている
 本を読むのが苦ではない人にはぜひ勧めたい


 ここからは、俺の持論

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