ビジネスマンは「例えツッコミ」スキルを鍛えたほうが良い明確な理由がある
「いや阿藤快と加藤あいくらい違うよ!」
「潰れる会社の株主総会くらい静か!」
このようなツッコミを一般的に「例えツッコミ」と呼びますよね。
では日々働くビジネスマンのみなさんは「例えツッコミ」してますか?
今回私は、ビジネスマンが何の関係もないはずの「例えツッコミ」を鍛えることで思いがけないメリットがあることに気づき、いてもたってもいられずこの記事を書くことにしました。
例えツッコミとは?
「例えツッコミ」はズバリ「何かに例えて行うツッコミ」の総称で、ダウンタウンの松本さんやフットボールアワーの後藤さん、南海キャンディーズの山里さんなどが得意としています。
簡単な例だと、似ているようで全然違うものに対し、「阿藤快と加藤あいくらい違うよ!」となんとなく共感できる例えを含めてツッコむ。これが例えツッコミです。
では一体なぜビジネスマンがこの例えツッコミを鍛えるべきなのか?
一見すると関連が見えません。しかし実は、例えツッコミを行うときに「脳内で起きている一連の思考の流れ」が、ビジネスマンに必須のスキルを強化してくれるのです。
必須のスキルというのは、、、
ずばり「抽象化能力」のトレーニングになる
抽象化能力って聞いたことがありますか?
読んで字の如く物事を抽象化する能力です。
この抽象化について説明しますと、ベストセラー著書『メモの魔力』(著:前田裕二さん)にて以下の記述がありますのでご紹介します。
抽象化というと難しいかもしれませんが、「他の分野にも応用可能な気づきを得よう」、というつもりで考えると抽象度の高い命題を抽出することができるようになります。
(メモの魔力)
ちょうど私もそうなんじゃないかなと思ってました。
私なりの解釈を少しだけ付け加えると
「ある事実から他の分野でも使える気づきを抜き出し自分の中にストックしておくこと、そしていつでも抜き出せるようにしておくこと」
が抽象化能力です。
体験したことや聞いたことから得た学びを脳内にストックしておき、別の機会でアイデアが必要になったときに、貯めていたストックから特徴や性質が似ているものを抜き出して、意外なアイデアを生み出す、といった使われ方をします。
この抽象化能力は汎用性が高くビジネスや日常生活でも活かすことができまして、最近ではビジネスマンに限らず抽象化能力を鍛えたい人が増えています。ちなみにコルク代表の佐渡島さんも Youtube チャンネルで抽象化能力の重要性について話されています。
抽象化能力を鍛えて伸ばすと、いずれ企画でナイスなアイデアを出せるようになったり、話し相手に面白いと感じてもらえるようになったり、と良いことづくめなわけです。
ただ、最初から抽象化能力に長けている人は稀でしょう。
ほとんどの人が抽象化レベル1の状態からレベルアップさせていく必要があります。
ですが、なにをどうやってレベルアップさせればいいか、思いつかないですよね。
しかも地道なレベル上げはしたくない。ドラクエでいうと「はぐれメタル狩り」、ポケモンで言うと「がくしゅうそうち」みたいな効率が良いレベル上げ、それに当たるのが「例えツッコミ」トレーニングです。
なぜ例えツッコミが抽象化能力のトレーニングになるのか?
理由は簡単で例えツッコミは抽象化能力の基礎的な使い方だからです。
例えツッコミの名手、フットボールアワーの後藤さんが放った「例えツッコミ」でご説明します。まず彼の有名な例えツッコミを見てみましょう。
(ブサイク芸人の奇跡の一枚写真を見て一言)
「高低差ありすぎて耳キーンってなるわ!」
by フットボールアワー 後藤輝基
玄関のインテリアとして飾っても良いくらい芸術性がある例えツッコミです。ほれぼれします。
この例えツッコミで重要なポイントはこちらの4つです。
1. ツッコむ対象から特徴を抜き出す
2. 脳内ストックから似ている性質・特徴のものを探し出す
3. ワードを面白く加工してツッコむ
4. っていうのをほんの一瞬で行う
上記「高低差ありすぎて耳キーンってなるわ!」もこのポイントをしっかり抑えていて、その流れをもうすこし丁寧に紐解いてみます。
(以下、勝手な想像ですがあながち間違ってないはず)
まずこのツッコミを発した場面は、ブサイクといじられがちなお笑い芸人さんが、プロの化粧やカメラアングルを駆使しイケメン/美女に見える「奇跡の一枚」を作り出すTV番組の企画。(このご時世ではアウトな内容ですが一旦スルーします)
奇跡の一枚が映し出されたとき、後藤さんが着目したのは普段はブサイクといじられる芸人が技術の力でものすごいイケメンに豹変したその「ギャップ」です。ポイントの「1. ツッコむ対象から特徴を抜き出す」がこれにあたります。
次にこの「ギャップがあるもの」という特徴で脳内のストックに検索をかけます。今回後藤さんは「ギャップがあるもの」という抽象的な特徴から「高低差が大きいもの」を連想し、その結果としてヒットしたのが「飛行機の離陸時の高低差」です。ここが「2. 脳内ストックから似ている性質・特徴のものを探し出す」にあたります。
ただ検索でヒットしたからと言って彼はそのまま「飛行機と地上くらい高低差あるな!」などと口に出してはいません。ここからさらに面白く加工しています。ここでは「飛行機あるある」として世間的に定着している離陸時に耳がキーンとなる現象を加えることで共感性をあげ、例えツッコミとしての完成度をしっかり高めています。ここが「3. ワードを面白く加工してツッコむ」になります。
と、ここまでが抽象化能力視点での例えツッコミの流れです。
驚くべきは、この一連のプロセスを後藤さんは(事前に用意していないとすると)ほんの一瞬で実行し、発言し、そして爆笑をかっさらったこと。
もはや美しささえ感じます。花瓶に生けたい。
抽象化能力の使い手という視点で見ても紛れもなく後藤さんはハイレベルだと言えるでしょう。
・・・あれ、もしかして「私だってそれくらいできるわ」と思いました?
実践:例えツッコミで抽象化能力を鍛えてみる
では後藤さんのこのケースがどれほど高い抽象化能力とお笑いのスキルでなされているかを実感するために、「自分が後藤さんだったら同じ場面で何をどう抽象化して例えツッコミを行う」か1分くらい考えてみてください。
・・・。
どうでしょうか?
おそらく一瞬で鋭い例えツッコミを思いついた人はきっといなかったのではないかなと思います。
ただいつもと違う頭の使い方をされたはずです。
それです。それが今回一番身をもってお伝えしたかった「例えツッコミが抽象化能力のトレーニングになる」ということの証明です。
ちょっと「例えツッコミ」が抽象化能力のトレーニングになることを実感できたのではないでしょうか?
繰り返しになりますが、例えツッコミで重要になってくる要素はこちらの4つです。
1. ツッコむ対象から特徴を抜き出し、
2. 脳内ストックから似ている性質・特徴のものを探し出し、
3. ワードを面白く加工してツッコむ
4. っていうのをほんの一瞬で行う
3の「面白く加工してツッコむ」以外は、一般的な抽象化の手順とほぼ一緒で、さきほどご紹介した『メモの魔力』もYoutube動画も同じはずです。
同様の手順を踏んでいるのだから、例えツッコミを鍛えることで(勝手に)抽象化能力も鍛えられていると考えています。
2の脳内のストック量に関しては、色々な情報に触れて感じてストックをためていくしかないです。ツッコミの練習だけでなく日々インプットをどんどん行い、情報を抽象的にくくってストックするように心がけましょう。
日々実践してみましょう
例えツッコミを抽象化の筋トレと考えたとき、それすなわち日常会話すべてがトレーニングジムになります。
これが例えツッコミ筋トレのミソです。練習する時間や鍛える時間を別途設ける必要なんてないんです。
家族や友達、誰でも良いです。会話の中でちょっとでもツッコめそうな一言を相手が発した瞬間に頭をフル回転させましょう。最初はうまくいかないです。でもくじけないでください。
会話の内容を抽象化して、脳内のストックからちょうど良い抽象概念を引っ張り出し、恐れずにツッコむのです。
いつも真面目なことしか言わないあなたが、急に黙り込んだと思ったら緊張気味に例えツッコミをぶちかましてくるそのギャップ。いつもそんなこと言わないあなたが急にそんなこと言うもんだから、相手は思わずこう叫ぶでしょう。
「いや高低差ありすぎて耳キーンってなるわ!」
最後に
最後まで読んでいただきありがとうございました。
フットボールアワーの後藤さんの他の例えツッコミを集めた例えツッコミ集を見つけたので貼っておきます。抽象化能力のアウトプットとしてどれもハイレベルなので参考にしてください。
https://matome.naver.jp/odai/2133091061814629301
現場からは以上です。
Twitter はこちら。
※冒頭のツッコミは、第一線で活躍しているお笑い芸人の方々の秀逸なものをあげさせていただいています。
この記事が参加している募集
いつもいつも私のつたない記事を最後まで読んでいただきありがとうございます。