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ワールドカップ予選とスコールと黄金の仏塔と〜ヤンゴンで考えた「悪天候を愉しむ」発想の転換

 海外での旅で、治安や言葉ほどではないにせよ地味に気になるのが、現地での気候と天候である。できることなら暑すぎず寒すぎず、天候は晴れていてほしいもの。しかしながら、われわれは『天気の子』ではない。「晴れ男」を自認する私でも、12年前にシチリア島を訪れた時に4日間連続で雨に祟られたことがある。旅先で悪天候に見舞われたら、それはわが身の日々の行いを省みるほかないだろう。

 そうしたリスクを回避する意味もあって、どの観光地にも「ベストシーズン」と呼ばれるものがある。純粋な旅行であれば、ベストシーズンを狙って旅程を組めば良い。ただし、これがスポーツツーリズムになると話が違ってくる。優先すべきはまず試合日程。灼熱の中東だろうが、極寒のヨーロッパだろうが、試合があればそこに行く。今回、日本代表のアウェー戦が行われたミャンマーは、まさに雨季の終盤であった。

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 ミャンマー最大の都市、ヤンゴンを訪れるのは今回が初めて。行ったことのある人は「いいところですよ」と口を揃えるが、さすがに好んで雨季に行く人はいないだろう。ゆえに今回は「いかに雨と上手く付き合っていくか」が、旅人にとってのテーマとなった。

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 雨が降っても美味いものは美味いということで、さっそく典型的なミャンマー料理をいただく。この国は日本のように、さまざまな麺類が共存していて、こちらはシャン料理の麺。汁ありと汁なしがあり、具もバリエーションがあるので毎日食べても飽きることはない。

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 今回のミャンマー戦は日本にとって、2022年ワールドカップ・カタール大会アジア予選の初戦となる。実力的には日本の優位は揺るがないものの、初戦であることと東南アジアのアウェーが楽ではないことを考えると、ゆめゆめ油断はできない。それにしても、なぜこの人選?

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 ミャンマー戦2日前の日本代表のトレーニングは、試合会場のトゥワンナスタジアムで行われた。隨分と古い施設だと思ったら、オープンは1985年というから、まだ国名がビルマの時代だ。のちに現地の駐在員から、日本のODAで作られたことを知る。

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 その日の夜は『月とワイン』という洒落たワインバーで、現地在住の日本人ビジネスマンたちと会食。実はミャンマーは隠れたワインの産出国で、とりわけ観光地で知られるインレー湖の周辺には上質なワイナリーがあるそうだ。機会があればぜひ訪れてみたい。

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 試合前日、昼食を摂るために外へ。ヤンゴンによく来る知人によると、この地域は「東京でいうと渋谷あたり」とのことだが、どのへんが渋谷っぽいのか最後まで理解できなかった。道は狭い上にきちんと舗装されておらず、時おり大きな野良犬に出くわす。

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 前日会見が行われる高級ホテルは、雑然とした界隈から切り離されたような別世界。入り口ではサウン・ガウという、古くから王宮などで使用されていた民族楽器を演奏していて、何やら雅やかな気分になる。日本人には「ビルマの竪琴」と言えば通りが良いだろうか。

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 前日会見での森保一監督。地元記者から「ミャンマー国民が0−5で負けると予想しているがどう思うか」と尋ねられると、日本の指揮官は「ミャンマーは力のあるチームだし、アウェーでもあるので、難しい試合になることを覚悟している」と隙のない答え。

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 その日の夜は再び『月とワイン』へ。現地在住の邦人、そして日本から来たサポーターを交えての決起集会イベントに参加する。ミャンマーのサッカー事情に詳しい識者のプレゼンテーションもあり、大変参考になった。それにしても、このお面はかなりシュール(笑)。

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