民主主義のいろいろ

 本屋さんに行って
「本をください」
と言っても本は売ってくれない。

 似たような話を民主主義についても、できる。
「民主主義とは何ですか?」
と尋ねても、誰も、答えられない。

 そこで、イギリスの民主主義について考えてみた。
 これは、王の独裁から、複数の利権集団による談合へと変えたこと。
 名誉革命なんだそうで。

 次に、フランスの民主主義。
 ギロチンから生まれた。
 フランスは都市化の著しい国だった。都会の住人は、田舎の人たちのように地方や家業と結びついた利権が無い。
 だから、利権集団に属することはない。
 関心があるのは、自分と自分の家族、それも父母と子供だけの家族だ。
 都会暮らしでは、祖父母や親戚などとの関係は希薄である。
 それで、利権集団の否定、全国民の自由・平等・博愛が求められる。
 個人の人権のための民主主義が生まれた。

 アメリカの民主主義。
 イギリスという親分に上納金を納めるのがいやになって、フランスが革命の時に言い出した個人の権利を使うことにした。
 フランスでは、身内が可愛くて、身内だけが大事、国家はちょっかいを出すなという人権だったが、アメリカでは、家族からは十八にもなれば離れ出て、なにかひとかどの者になるために刻苦勉励する。
 そんなふうにキャリアを追って夢を実現しようとする個人、その個人が自由に生きて自己実現できるような社会、その社会をもたらすような人権が大事ということになった。
 つまりは、伝統とか特定の文化とかいったものをぶっ壊す個人の権利である。
 夢を抱いて夢に向かって生きる個人の権利を認めるのがアメリカの民主主義だ。

 本にも漫画や雑誌やハードカバーなど、具体的な分類や形態があるように、民主主義と言って、地域や事情で、それぞれの内容がある。
 どの民主主義も投票する点で共通しているが、それは本が紙で出来ているくらいの最大公約数だ。

 民主主義の中身は、それぞれ違うし、違わないと民主主義として実際に存在することはできない。

 日本の民主主義は、日本の地域的な事情を無視して、とにかく民主主義でやりなさいと言われて、それでみんなで「民主主義、民主主義」と言っているだけだ。

 そして、「まだまだ、ほんとうの民主主義にはほど遠い」と、誰もが、嘆いている。
 誰も、ほんとうの民主主義を見たことも聞いたことない。
 あるのは、地球のあちこち、特定の場所と民族がそれぞれ、民主主義だとしている制度だけだ。
 「あの国の民主主義が、ほんとうの民主主義」だと信じる人はもういなくなっている。

 それでも、「ほんとうの民主主義」が実在していることを信じる人は、いつか「ほんとうの民主主義」が日本に誕生すると信じて待っている。
 

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