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電界怪異図鑑:【くびまたぎ】

【くびまたぎ】

学名: Nue variabilis vulpis
妖怪: 鵺属
恐怖レベル: ★★★★★★☆

古来、多くの伝承や記録に登場するぬえ。その中でも「くびまたぎ」は、特異な進化の過程を辿った一種として知られています。古代の文献にも「狐の面を持つ鵺」として度々触れられており、人を襲い喰らう危険な妖怪です。

その特徴的な狐の面の背後には、数多くの謎と恐怖が潜んでいると言われています。真の顔は非常に禍々しく、一度その瞳と視線が交錯すれば、正気を保てません。しかしながら、このくびまたぎにとって、過度に狂ってしまった獲物は食味が落ちるらしく、獲物をすぐに発狂させないようにこの面を付けていると言われています。
また、お面は化け狐と非常に似た霊力を放つため、本物の化け狐の頭を何らかの方法で加工してお面にしているようです。

このくびまたぎの狩りは、まず会話から始まります。伸縮自在な首を伸ばし、人の背後から知人の声で話しかけるのです。それに一度返事をしてしまうと魅入られ、その人は会話を止められなくなってしまいます。彼らは聡明な人間の脳を好むため、こうして獲物の知性を測り、食べるに値するかを判断しているのです。
ただ、賢くないふりをすれば助かるのかというと、そうでもありません。
彼らは食べるに値しないと判断した獲物には、仮面を剥いで見せ、その恐ろしい目で発狂させてしまうと言います。これは追われないよう自身の痕跡を消すカムフラージュ行動と考えられており、くびまたぎの狡猾さを象徴する行動と言えるでしょう。

そのため、もしもくびまたぎの問いかけに返事をしてしまったら、知性が乏しいふりをしつつ、目を隠し、暗がりや物陰に顔をうずめてやり過ごさなくてはいけません。

伸縮自在な首はどこまでも追ってくる

厄介なことに彼らは非常に執念深く、長期にわたり獲物を執拗に追い続けることも。長いときにはひと月もの間、獲物を見定めるためにつきまとうこともあるようですが、幸い直接的な暴力は避ける傾向にあるため、根気さえ失わなければいずれ諦めて去っていくでしょう。

霊能者や専門家に対処をしてもらう方法も有効ですが、前述のお面の特性から「狐憑き」と混同されやすく注意が必要です。質の低い業者が誤った対応を取った結果、命を失ったという話も度々聞かれます。
また、古い怪異退治の文献「宇治の妖魔目録」では、ある「物の怪狩り」の一団が特に強力とされる「金色のくびまたぎ」と戦った際、その力に圧倒され全滅してしまったとの記述も。彼らは積極的に力を振るわないだけで、鵺らしい強靭な肉体は健在なのです。

「宇治の妖魔目録」に描かれたくびまたぎの変異種

ちなみに、この金色のくびまたぎは現代では確認されていませんが、それはこの狡猾な変異種が獲物を一層丁寧に処理し、一切の痕跡を残さないためだと言われています。

通常種、変異種問わず、とにかくずる賢く残忍な妖怪です。見かけても絶対に会話はせず、速やかにその場を離れるようにしてください。

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