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電界怪異図鑑:【ほうぼうぼう】

【ほうぼうぼう】

学名:Ambulansilvafloreus luminoculus
妖怪:でいたらぼっち属
恐怖レベル:★☆

「ほうぼうぼう」という名のこの不思議な存在は、農地や湿地帯に出没し、夜の帳が下りた際にのみその姿を現します。
樹木や草が絡み合い、彫刻のような緻密さで形成されたその体は、生命を宿した自然そのもののようです。黄色く大きな目は暗闇の中で幽玄に光り輝き、一見すると不気味さを感じさせますが、近づいて見ると何故か心が落ち着くとも言われています。
四季の移ろいと共にその色彩も変わり、まさに自然と一体化した神秘的な妖怪種です。

ほうぼうぼうは日本の田園地帯、特に西日本のひなびた町にごく少数生息しており、農耕に関わるさまざまな伝説に現れます。
ある不作が続いたある村では、農家たちがほうぼうぼうに稲作の成功を祈願する儀式を行いました。それは、「百夜行」と呼ばれ、百日間連続で夜な夜な田んぼを歩き、ほうぼうぼうに対して豊作を願い出るというものです。
百日目の夜、村中が静まり返る中、唯一の田んぼからほうぼうぼうの輝く眼が見え、その年の秋、村は記録的な豊作を迎えたと言い伝えられています。

文献に描かれる「ほうぼうぼう」

実際のところ、ほうぼうぼうは不可視性が高く、人がその姿を見ることはほとんどありません。けれど、その稀有な体験をした者は幸運に恵まれると今でも信じられ、願ってでも見たいという人々が後を絶たないようです。ほうぼうぼうを象った案山子が作られる地域もあります。

ただ、ほうぼうぼう自身に人々を助けようという意思はなさそうです。
ある研究によると、ほうぼうぼうは稲に限らず、歩く場所にあるすべての植物の成長を促進させていることが分かっています。これは体に纏わりつく草木やその種を増やし、自身の成長を促進させるためという極めて合理的な理由からだそうです。水田に入るのも単なる水分補給目的なんだとか。
人々の期待とは裏腹に、彼はのんびりと生活を送っているだけなのかもしれません。

真相はともあれ、ほうぼうぼうの不思議な習性は幸運の象徴であり、今後も私達の豊かな食生活の一助となってくれることでしょう。

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