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電界怪異図鑑:【多津又トンネル】


【多津又トンネル】

怪異:無機物 トンネル型
恐怖レベル:★★★★★

多津又トンネルは、特異な性質を持つトンネルです。
このトンネルの入り口や中には様々な物品が散乱していますが、これは不法投棄ではなく、かつてここを通った者たちの思い出の品々だったりします。というのも、このトンネルは通った者の「思い出の品」を具現化させる不思議な力があるのです。

ただし、思い出の品が出現すると、その物品にまつわるすべての記憶を失ってしまうという代償も。例えば、子供のころの大切な思い出のおもちゃを見つけた場合、そのおもちゃの記憶やそれに関連する思い出をすべて失ってしまうのです。思い出を忘れてしまえば、それはただの物となり、多くの人は捨て去ってしまうのでしょう。

以前はその性質を利用して、忘れたい思いを抱える人々が思い出を捨てにやって来ていた時期もあったようです。ただ、具現化したい物品を選べないため、家族や自分自身のことすら忘れてしまうという事故が多発しました。
また、トンネルの反対側まで足を踏み入れてしまうと、二度と帰ることができなくなるとも伝えられています。これは、トンネルが過去の記憶の境界と現在の現実の境界を隔てる場所であるためと考えられています。

多津又トンネル内部

研究者や霊能者の間では、トンネルが持つ特異な力は、かつてこの地で行われたある儀式に由来するのではないかとの説が有力となっています。

その儀式とは、なんと「時間遡行」の儀式。

詳細は不明ですが、「多津又 寿雄」という人物が、時間遡行の儀式として全財産を投げ打ってトンネルを作った、との情報が地域の文献や言い伝えから得られているようです。
もちろん、多くの人々は時間遡行の儀式の存在について懐疑的ですが、トンネルが過去に関する不思議な力を持っていることから、一部ではトンネルの出口が過去に通じているという考えもあるようです。

ただ、前述の事故のこともあり、近年では地域の霊能組合によって厳重に閉鎖・警備されています。場所の情報も伏せられることになったため、ここでもその詳細については触れません。
実際危険な性質を持つトンネルです。決して興味本位で場所を探したり、間違っても近づいたりしないようお願いします。

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