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フィリピンの街角で考える日本企業の海外展開

まるでユニクロとダイソーを足して2で割ったかのような雑貨店「名創」。オシャレな小物がかわいらしく陳列され、それらが100均的な低価格で売られていることから、中国をはじめアジア各国で大人気のショップです。「名創」は中国の会社なのですが、「Japanese Designer Brand」を名乗り、銀座に本社を置き、商品には日本語が表記されています。つまり、存分に日本らしさをPRしているのです。ユニクロやダイソーといった特定のブランドだけでなく、「日本」という抽象的なブランドイメージにまるごと便乗したビジネスモデルです。


「名創」がどんどん拡大している事実は、日本人がこれまで築き上げてきた「日本」というブランドを、日本人自身が活かしきれていないことの裏返しでもあります。

日本人は、日本以外のマーケットを想定してビジネスをすることが致命的に苦手です。欧米のみならず、新興国のマーケットと比べても日本マーケットがユニークであることも理由のひとつでしょう。あるいは、アジアにおいて自国市場が圧倒的な規模を誇っていたがゆえに、他国のマーケットに関心を持たなかったことも理由のひとつかもしれません。そのため、日本人は、日本という先進市場で成功したプロダクト、サービス、ビジネスモデルをそのまま周回遅れの新興国市場に持ち込むという、成功確率が高くリスクの低い方法すら、ろくに取り組んでこなかったように思います。

ここフィリピンは、人口が急増しています。緩やかな経済成長に伴って子供の数が増えているからです。ベーゴマ、チョロQ、ビックリマン、仮面ライダー、たまごっち。かつて日本の子供たちを虜にした商材を、そのままなのか少し形を変えてなのか、フィリピンに持ち込むだけでそこに商機があるかもしれないにもかかわらず、日本人はそういう取組に熱心ではありません。欧米や中国のような巨大市場に対しても、その市場性を的確に捉えきれないがゆえに、十分な市場開拓ができずにいます。

かくいうぼく自身も、海外生活を経験したり、ビジネスで海外を飛び回ったりしているにもかかわらず、日本人の限界を超えられないことを自覚しています。ぼくには、日本以外のマーケットを的確に捉えられる能力がないのです。日本人の多くが、きっとぼくと同じように感じているだろうとも思います。

日本人が海外マーケットを攻略しようとするなら、そのマーケットを的確に捉えられる外国人の力を借りるほかありません。日本人がグローバルマーケットで戦っていくためには、外国人をうまく活用するしかないのです。

日本企業の海外展開は、日本のやり方をそのまま持ち込む形になりがちだったように思います。あるいは、海外市場の攻略を担う日本人自身が、グローバルマーケットに精通しようと努力してきた側面もあるかもしれません。そのどちらでもなく、初めから外国人のチカラを借りること。日本企業のグローバル化には、こういった発想転換が必要なのかもしれません。


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