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"心に届く"映像ストーリーの組み立て方を考える

2024年、明けましておめでとうございます!今年も京都の映像屋をどうぞよろしくお願いいたします!

さて、以前書いた記事が結構評判良かったので、今回も頑張って映像に纏わる記事を書きたいと思います。(前回書いた記事からずるずるとしてしまい全然書けないでいましたが、、汗)

※前回書いたこの長崎愛の記事は残念ながら全然読まれていません。泣
長崎記事はまた絶対に書きたいところ。

私は京都の片隅に住んでいる映像屋です

改めてですが、私はその名の通り京都市に拠点を置いている映像屋です。2018年ごろから映像制作を本格的に始て2024年で丸6年です。右も左も分からなかったですが、コツコツと努力し、時に笑えない失敗を重ね続けた結果、今ではイギリスBBCやYahoo!やNHKと言った名だたるクライアントの主にドキュメンタリーなどの映像コンテンツに携わるようになりました。
(↓ポートフォリオみてくださいね)

noteを始めた理由は、制作に悩む同業者の方や、新しく映像を始めたい方/始めたばっかりの方に知識を共有できれば、と考えています。

今回は自分が結構自信があり、そして映像ストーリーを作る上で役に立つ考え方を記事にしたいと思います。

はじまりはじまり〜。

以前書いた記事で…

この以前書いた記事で、映像とは3つの要素が重なり合い良くなるものだと考えていると書き、そしてこの要素の中ではストーリーが一番重要だと述べました。

今回はこの「ストーリー」の要素を深め、どう考えれば良いか、を考えていきます。

ストーリーと言えど色んな形があると思いますが、今回は「心を動かす」をテーマに考えてみたいと思います。

はじまりはじまり〜

ストーリーを考える上で一番大事なのは、これまた3つ

良いストーリー(物語)を作る上で僕が大事なものと考えているのは、これまた大きく3つです。

・キャラとその状況を設定する
・話の中に「→」があるかどうか
・そして「→」に変化がつけられるか

今回はこの3つを解説していきたいと思います。

そして今回も先日公開された自分の新作ドキュメンタリーを例に考えてみたいと思います。
まずこちらをご覧ください。(11分くらいあります)



1.状況とキャラクターの設定をする


良いストーリーには特定の状況とその状況にいるキャラクターが必要です。キャラと状況の設定を明確に、そして面白く・興味を持ってもらえるか考えてみましょう。

本作AT ANY COASTでは下記のようになります。

状況:
・長崎沿岸には海外からの海洋プラスチックゴミが多く流れ着き、行政だけでは対応できない状況だ
・この海岸のごみはリサイクルできないものは焼却or埋め立てされる運命にある
・そんな海洋ゴミを「再資源化したい!」と60代の男が立ち上がった
・道徳的に考えれば「海はみんなのもの」で誰もが力を合わせて綺麗にすべき。しかし…
・ゼロからの「海に良いこと」は、想いだけでは続けていけない現実的なことばかり


キャラクター:
・地元出身。真っ直ぐな性格でたまにおっちょこちょい。どこか憎めない
・宗教上の考えから「人の役に立つこと」をする人が周りに多く、そのような姿はずっと憧れだった
・しかしサラリーマン時代はそういう信条とは相反することをせざるを得ないこともあった。が生きるため、家族のため頑張った
・定年後に開始した、海に良いことはようやくできた「人の役に立つこと」

書き出してみると、状況に対してキャラクターの想いが相反してコンフリクトが生まれる内容となっているのが分かります。これだけでそもそも平坦で無い状況になっていますね。

加えてこの物語はキャラクターとそのバックグラウンドがとても良いです。真っ直ぐで、どこか憎めない熱血漢。そして世の中の人が必ず経験するであろう社会の不条理を40年ほど経験したのち、やっと自分が出来なかったことをしようとしている。しかし、それもサラリーマン時代に経験したことが結局は降りかかってしまいます。

以前の記事でも述べましたが、映像ストーリーにおいてキャラクターというのはとても大事だと考えます。いくらストーリーが良くても主人公に共感が持てなかったら見ている人の心には届きません。

以上のように、特徴のないフラットな状況でフラットなキャラクターが出てきても、そこから面白くしていくのは難しいです。大事なのはいかに最初の時点でストーリー内でキャラと状況が面白くスタートできるか、内容に興味を持ってもらえるか、ということです。

どういう状況でキャラクターなのか、見てみて、それを面白くするにはどうすれば良いか考えてみましょう!

「→」があるかどうかを見る



は?「→」とはなんのこっちゃ、、、?と思った方が大半でしょう。「右」ではなく「矢印」と思ってください。

説明します。

物語とは必ず「始まり」があり→「イベント」が起こり→「結末」を迎える ものだと思います。

そう、「→」があるかどうか、というのは話が向かう方向があるかどうか、というのを意識するということです。

一見当たり前のように感じるものですが、この「→」があるか無いかで結構変わってくると考えています。

そしてこの「→」が真っ直ぐではなく、波を打つように話を展開させ、そして最初と最後で何かしらの変化があると、より深みのある、平坦で無い話へと変えることができます。

詳しくは次の章で書きます。


ストーリー内に落差をつけることを意識していく



再びAT ANY COASTを例にとります。

この主人公は「人も資金も無い状態から、海洋ごみを再資源化したい」という最初があって最終目標があります。そこで「ゼロから始めて→達成がプラごみの再資源化を果す」という物語の方向性「→」があることが分かりますね。

そしてその物語は、ただ真っ直ぐの「→」では無く、主人公の置かれている立場や感情が平坦で無く起伏のある道を進んでいます。

各出来事を詳しく見ていきます。


・ゼロから始めた→「念願の人の役に立つこと!」→SNSやノボリを立てて活動を発信→少しづつでも浜は綺麗になっていく  

という充実感やポジティブな気持ちを経験し、

・しかし一向に人は見向きしてくれない→「一人でやりきる」という思いが邪魔したことも相まって人が集まらない→ゴミ拾いおじさんとなる→友人に怒られる

という自身のコンフリクトを経験しながら

・やり方を改め行政に声かけにいく→マンパワーは得られるも、再資源化を続けていくことには懐疑的な見方をされる→再資源化を経済的にも持続可能なものにするにはゴミの量が多くないといけない(矛盾)→そしてお金が絡まないと人は動かない、と言われてしまう

という自分ではどうすることも出来ない社会の矛盾を経験

・しかしずっと浜を掃除した結果、人の目に留まるようになった→お金が動かなくても企画した海岸清掃イベントでは34名集まった→自分一人でやるのでなく、専門の業者にも入ってもらうことを検討した→業者曰く落ちているごみは「ほとんどが再資源化できるもの」→お金は大事だと思ったから少しでも活動の足しにはなってほしい。けど高額じゃなくても良いよ

希望のある終わりを迎えることができました。

これを「→」で示してみます。

このように、主人公は色んな感情や状況を経験し、その道のりは平坦でなくかなりジグザグしているのが分かります。

そして最後は見た人が納得できるような終わり方を迎えることが出来ています(出来ているつもりです汗)。

つまり「→」を単に描くだけでなく、ストーリー内に落差があることを意識して構成し、最後は爆上げして終わらせる、というのが心が動く映像ストーリーの作り方なんじゃないかと思います。

単調で無い”考えられた”ストーリーが心を打つ


いかがでしたでしょうか?ドキュメンタリーは特に現実を写すもの、という意識が強く、特に報道の現場では事実を淡々と繋いだような物が多いです。

しかし僕は理屈を考えた上で組み立てると更にストーリーは強くなると考えています。見出しにも取りましたが、単調で無い考えられたストーリーがより面白くなり、人の心を打つのです。

今回のもので全てが書けたことはなく、自分の考えはもちろん数あるストーリーテリング方法の一つです。

ストーリーテリングに関しては本も多く出ているので、ぜひ色々情報を集めてみてください!


今回は以上となります!読んで頂きありがとうございました!

今年もどうぞよろしくお願いいたします!


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