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鬼と化す

悪い状態の精神で妖怪になってしまうことはありました。

とりわけ鬼になってしまったというのは多く、人気漫画だけではとどまりません。

平安時代に日蔵上人が鬼と出会った際に、鬼は苦しみを打ち明けたことがありました。

恨みを残して死んだことで鬼になって数百年を過ごしたようです。
恨んだ相手は関係者も含めて、皆殺しにしたために、復讐対象までいなくなって彷徨うことになってしまいました。
恨みを残すのは結局自分に跳ね返ってくるのだと嘆いていたのです。

日蔵上人は亡くなった際、浄土で菅原道真に会い、地獄で醍醐天皇に会い、最後は現世に戻って復活するという稀有な人生を歩んだわけですが、鬼とも話をしていたと言うのはさすがですね。

女性が鬼になった話といえば、福島の二本松の岩屋に老婆が住んでいました。公卿の姫を養育する仕事をしていたわけですが、姫君は話すことができませんでした。
この障害を治すには妊婦の生肝を飲ませるのが良いと知り、たまたま宿を求めてやってきた恋衣という名の若い妊婦から、生肝を取ったのです。
ところが、恋衣が持っていたお守りは、かつて生き別れた娘に与えたものでした。彼女は自分の娘だったことを知り、狂気のあまり鬼になったのです。
これが謡曲安達原や能の黒塚のモデルにもなった安達ヶ原の鬼婆です。

また、女性が鬼になった話で言えば、平家物語の橋姫が有名ですね。
嫉妬から、貴船明神に鬼になって恋敵を殺したいと願ったところ、神様から宇治川の水に浸り続けるようお告げをうけました。
それを実行し、生きながら鬼となりました。

この鬼を鎮めるために建立されたのが宇治橋の近くにある橋姫神社です。

泣き寝入りという言葉がありますが、鬼になってしまった人というのは、何か理不尽な思いをして、そこから羅刹にならざるを得ないようなことがあったのです。
現代においてもそんな辛い思いをされることが多いでしょう。
生き霊などは実際に相手を攻撃しますし、フィクションだと軽んじずに見えない世界に詳しくなり対抗をしていくことが重要です。
見えない世界について磨いていくのは大変なことですが、興味のある方はぜひご一緒しましょう。


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