ビジネスにおける勝率は低い?

勝率どのくらい?って結構重要な覚悟だと思うのだ。

ビジネスの現場では様々な施策が行われる。新規事業開発だったり、新規チェネル開拓営業だったり、業務改革プロジェクトやイベントマーケティング施策等々。

この勝率が結構違うということをビジネスマンとして認識しておくのはビジネスを進める上でも精神衛生上もとてもいいと思う。極論しちゃうと高校生や大学生もそれを認識しておくと実はかなりキャリア教育を考える上で有益ではないかとさえ思っている。

勝率とは何かというと、もちろん新規事業が目標通りに立ち上がったり、営業目標を達成したりすることのことである。

例えば、システム開発プロジェクトを納期通りに完成させることの勝率は社内システムであれば8割、社外向けであれば6割くらいか。社外に期日を公表した場合は9割以上。もちろん業界・商品によって全く異なるので全くの私が経験した業界とプロジェクトでの経験則上であるが、「予定通りに完成させる」というのはよほど稚拙な要件定義があったりプロジェクト途中で横槍やトラブルがない限り、イチローの打率よりは断然高い。

一方で新規事業となると、ユニクロの柳生さんの書籍の通り、1勝9敗くらいだ。特に全く既存事業と隣接していない新規事業となるとさらに成功率は低いという実感値。商品やマーケットが近い場合でもせいぜい1−2割くらいではないかと。

マーケティング施策だと、メールを潜在顧客に送った購入率が平均0.4%くらいだったとして、半年以内にこれを0.6%まで上げるとなると経験則上は50%くらいの確率でなんとかなる。倍の0.8%まで改善となると勝率は1割くらいまで下がる。

イベントの来客数を前年より10%程度増やす、くらいの施策だと8−9割は出来る(もちろんこれも私の経験した業種での実感値でしかない)

こういう勝率を知ることがなぜ重要かというと、もちろん事業計画を立てる上でのリスクを計測するためということもあるが、それに取り組む姿勢に影響するからだ。「失敗がつきもの」、の領域では意外にも皆モチベーション高く、視座も高くあらゆる可能性を探って、施策を多くスピーディに回そうとする。一方でプロジェクト遂行型では、綿密に計画を何回も見直しあらゆるリスクを想定し、勝率9割を確実に果たそうとする。

このときのマインドが実に違うのだ。

マネジャーはそれをかなり正確に熟知すべきだ。

不幸が起こるのは、例えば9割勝率のプロジェクト型の仕事を多くしてきた管理職が異動してマーケティング部門に移って、勝率3割の新規チャネル開拓の責任者にもなったとしよう(極端に単純化しているが実際にこのような例は多い)。

7割の失敗を許容できなくなるのだ。

何が起こるかというと、言い訳を並べる、開拓できていないのに成功したことにする、部下を責める、元の計画が悪いとか財務が予算くれなかったとか他責にする。自分の評価が下がるのを恐れるあまり。

でも最初から勝率3割なのだから、失敗したらそこからの学んだことを深く掘り下げて社内に共有すればいいのだ。そうすれば実は評価は下がらないことがほとんど。逆に学んだこと(Learning Insight)が深く新規性があれば大いに評価を上げることにもなる。

この違いがわかるようでわかっていないビジネスマンも実に多い。当たり前だが、多くのビジネスマンはある一つのFunctionや一つの業態で十何年も過ごしているからだ。

そのため、大したことない施策をさも全て順調に成功したかのように喧伝したり、せっかくの組織としての学びの機会を逸してしまっているケースも実に多い。

経営陣からするとたとえ事業がうまくいかなくてもそこに組織知の蓄積が見られれば進化しているとみなすことも多い。

翻って、世の中は失敗したことを責める風潮がある。業績悪化した企業の経営者を無能呼ばわりし、大企業の新規事業が失敗するとバカにするようなメディア報道もある。これを見た子供達、学生たちはやはり失敗が怖くなるのではないだろうか。

起業するとなると成功率が低いことは知られているので、失敗は当然のことであるが、ビジネスにおける多くのことや学術的な研究(特に基礎研究)は結構勝率が低い世界が多いのである。だから失敗して当然なのだ。実験して思い通りの結果にならないことは普通。新規チャネル開拓して既存チャネルほどうまくいかないのも普通。

起業やプロスポーツ選手になる、あたりが成功率が低いと認識されている。でもそのくらいではないか。それ以外、サラリーマンになると成功率は高くないといけない、なんてことはない。マーケティング部門とくにB2Cとなるとなかなか成功しないけど施策を数打っている企業も多いのだ。

失敗、大いに結構、そこから学ぶ、ということが普通なのだ。たとえ起業しなくても。なので、起業する夢をもつ人以外にも、是非失敗はつきものであることを普通に思って欲しい。

こういった失敗を多いに行う経験を高校生達にはしてほしいと思う。部活で試合に負ける、全国コンクールに出れなかったくらいしかないので、もっと勉強やプロジェクトでも挑戦し、失敗し、そこから学ぶというサイクルを是非血肉化してほしいと思う。でないと、上記に書いたような言い訳オジサン予備軍がわんさか量産されてしまうのである。


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3人娘の父。自分の子供が小学生になり教育への関心高まる。グローバル企業にて日本やアジアマーケット向けのSales&Marketingに従事しながら、日本の教育に思いを馳せる。グローバルビジネスの経験を日本の子供達に還元していくことを目標に日々是精進。
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