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マイストーリー⑤またもや転機。。。熊本地震そしてスポーツCAへ


< 知識や技術より大切なもの >

理学療法士の仕事は体力も必要で、毎日ヘトヘトになっていましたが、とてもやりがいのある仕事でした。

ただ、医療の勉強はここまでやったらOKというゴールがありません。
生身の体を相手にした仕事ですから、教科書通りに行かないことも多々あります。

知識と治療技術を磨くため、院内外のいろんな研修に参加したり専門書を買ったりと、職員は皆、努力しています。
それは、患者さんになんとか楽になってもらいたい、よくなって欲しいとの思いからです。


ですが、10年間でのべ1000人以上の患者さんのリハビリを担当してきて、気がついたことがあります。

それは、私たちスタッフがどれだけ勉強しても、どれだけ治療技術を磨いても、患者さんの心にアプローチしなければ、治るものも治らない、
ということです。

心と体は密接に繋がっている、とはよく聞く言葉ですが、
リハビリの仕事をしているとそれを思い知らされる場面にたくさん出会います。

例えば、同じくらいの年齢・同じ体格、同じ時期、同じ疾患、オペをしたタイミングもほぼ同じという患者さんが2人以上重なることがあります。
一人は順調に回復して行くのに、他方はなかなか回復しない、パフォーマンスが上がらない、ということは珍しくありません。

何が違うのか観察していると、物事の捉え方や、考え方、メンタルの状態に違いがあることが少なくないのです。


もの事をネガティブに捉える人、批判的・被害者的立場をとる人、猜疑的、いつも不安にかられている人などは治りが遅い傾向があります。

これは厳密に統計を取ったわけでなく、あくまでも個人の経験からの感覚なので否定的な意見があることも承知しています。

ただ、実際に多くのリハビリスタッフが同じような体験をし、感じていることです。


例えば、順調に回復していた患者さんが、ある日突然パフォーマンスが落ちることがあります。昨日まで出来ていたことが、なぜか出来なくなる。
尋ねてみると、
・病棟で他の患者さんとトラブルがあった
・職員に気になることを言われた
・家族と喧嘩してしまった
・家族にトラブルがあった
・退院が決まって急に不安になってきた
・これから先が心配

など理由はさまざまですが、ちょっとした心の動揺がパフォーマンスに影響してきます。

また逆のパターンもあります。
なかなかリハビリが進まなかった患者さんが、ある日を境に突然パフォーマンスが上がり始める。

何があったのか聞いてみると、

・孫の結婚式が決まったから、なんとしても歩いて出席したい
・退院したら、友達と旅行に行く約束をした
など、将来の楽しみな目標を嬉しそうに語ってくれます。

心の状態がパフォーマンスに影響することを、私たちリハビリスタッフは身をもって体験しています。

体を見るだけではダメなんですね。
どんなに私たちスタッフが知識を頭に入れても、どんなに治療技術を磨いても、患者さんの心にもアプローチしなければ、治るものも治りません。

実際、コミュニケーション能力の高いスタッフが担当する患者さんの方が、治癒経過が順調で、表情も良好であることが多いと感じています。

会話上手、聞き上手、話させ上手なスタッフは、それだけで患者さんのメンタルの安定にひと役かっていることが伺えます。

私はというと、
元々は人見知りな性格、人との関わりには慎重で、すぐに打ち解けるタイプではなかったので、患者さんとのコミュニケーションに悩むことも何度かありました。

そこで、心理学やカウンセリング、コミュニケーション術についてもう一回勉強し直そうと思い、独学で勉強し始めました。。

そうしているうちに「コーチング」にたどり着いたのです。

「これは面白そう!仕事に応用できるかも」と思い、コーチング講座に飛び込みました。

そこで、私の考え方は一気に変わり、患者さんやスタッフなど、周りとのコミュニケーションがうまく行くようになってきたのです。

いつか病院を退職したら、コーチングを伝えて行きたい。できればスポーツの世界に応用したら面白いことが起こりそう。
そんなことを考えるようになっていきました。

ところが、転機はある日突然やってきました。

< 地 震!! 人生終わった?>

2016年4月。熊本地震発生。

本震が起きたとき、私は自宅で眠りにつこうとしていました。
すると突然、ものすごい揺れ。
今まで聞いたことのない、いろんなものが一斉に壊れる音、音、音!

と同時に停電になり、あたりは真っ暗。
長い時間揺れていました。
揺れている間、私は布団にうずくまり、
「早くおさまってー」
と祈ることしかできませんでした。

やっと揺れがおさまり、スマホの明かりで部屋を見ようとしたら・・・

恐怖で息をのみました。
私の頭の横20cmくらいのところ重たいキャビネットが倒れていたのです。

あと20cm寝る場所がずれていたら、もしかしたらあの時、私は頭に大きな怪我を負っていたか、命を落としていたかもしれません。

人生いつ終わるかわからない・・・
そのことを痛感した出来事でした。

いつかやろうと思っていたこと
いつかやりたいと思っていたこと
いつか行きたいと思っていた場所
いつか会いたいと思っていた人

その「いつか」は、永遠にやってこないかもしれない
やりたいこと元気なうちにやっておこう。
そう決意した出来事でした。

その年に病院を退職し、コーチとなる道へ進んだのです。
そして現在、一般社団法人日本スポーツコーチング協会のスポーツコミュニケーションアドバイザー&コーチとして活動をしています。

やっとスポーツコミュニケーションアドバイザー&コーチにたどり着きました。ここまで読んでいただきありがとうございます。

次回はスポーツコミュニケーションアドバイザーって何してるの?
なぜこの仕事を選んだの?
といったご質問にお答えして、私の思いをお伝えできたらと思っています。


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