【小説】 広島カープ 【ショートショート】
小学六年の夏。不慮の事故で母が亡くなったその日、広島カープは阪神タイガースを相手に8対1という大差で大負けした。
あまりに急な日常の終焉に、母と再婚したばかりの義父と、僕と弟は途方に暮れた。
お葬式が終わった後、母方の祖父母が僕と弟を引き取ると言い出した。僕は義父がそれを当然のように受け入れるのだろうと思っていた。
葬儀会場の裏手。味のないガムみたいな質素な遺族の控え室で、弟と一緒に泣きながらそんな事もちゃっかり考えたりしていた。
子供の前でそういう話をするとき、