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世界一周中にはじめてできた友達が夢を叶えた話

世界一周中、ぼくたち夫婦にはじめてできた異国の友達はインドネシア人だった。レオという名前の彼は、僕たち夫婦に日本語で夢を語ってくれた。今回はそんなはじめてできた友達と、その友達が叶えた夢の話。

 

世界一周で、僕たち夫婦はインドネシアのジョグジャカルタをおとずれた。ボロブドゥール遺跡という世界三大仏教遺跡の1つを観に行くためだ。

ジョグジャカルタでは、安宿に泊まった。すごく家庭的な雰囲気で、地元の家族が住んでいる家の、いくつかの部屋を貸しているみたいなところだった。オーナーは英語が話せなくて、従業員で英語が話せる女の子が1人雇われていた。

ある日、宿に帰ると英語が話せる従業員の女の子が、宿の庭に飾りつけをしていた。妻が何をしているのか聞くと「同窓会があるの。ここでやるんだ」と英語で答えてくれた。素敵だな。働いている宿の庭を貸し切って、同窓会しちゃうだなんて。こういう寛容さを感じられるところが海外旅のいいところだ。

その同窓会に来ていたのがレオだった。僕が庭の隣にあったシャワールームから出てきて、庭の飾りつけの様子を見ていたら、日本語で突然話しかけられた。

「日本の人ですか?」

「イエス!」

思わず英語で答えてしまった。外国で、日本語で話しかけられる経験はこれが初めてだったと思う。そこに立っていたのは、若い男の人。顔からして日本人ではないだろうな、という感じ。


「はじめまして。僕はレオです。日本が好きで、日本語を勉強してる。」

「はじめまして、とっても日本語うまいですね。日本に行ったことあるの?」

詳しく話を聞いたら、レオはつい最近(出会ったときの)まで日本で働いていたらしい。

しばらく話をしていたら

「もし、よかったら明日一緒にどこか行きませんか?ジョグジャカルタを案内する。奥さんも一緒に。」

そんな風にレオが誘ってくれた。ぜひお願いすることにした。翌日、レオが迎えにきてくれることになった。


翌朝、車に乗ってレオがやってきた。レオは僕たちの朝ごはんがまだなことを確認すると、僕たちをレオの家に連れていってくれた。家にはレオのお父さんとお母さんがいて、昨日出会ったばかりの僕たち夫婦をレオの友達として温かく迎えてくれた。

家の中に入ってみると、お母さんの手作りの朝ごはんが用意されていた。まさにインドネシアの朝ごはんって感じで、僕たちは朝ごはんをご馳走になった。


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「本当に良いんだろうか?」これが最初に抱いた感想。昨日出会って、日本語が話せるというだけで、こんなに温かくしてもらって。でも、そんなふうに思っているのは僕と妻だけだったみたいで、お父さんはレオが日本人の友達を連れて来たってとても嬉しそうだったし、お母さんもとっても優しかった。せっかくの好意を「本当に良いんだろうか?」なんて思いながら受け止めるのはよくないよね、なんて話を妻として、おもいっきり朝ごはんをご馳走になった。嬉しかった。


レオは家族のことを教えてくれた。お父さんが昔は建設業を営んでいたこと。今は足を悪くして建設業からしりぞいていて、商店を経営してること。

朝ごはんのあと、僕たちをそのお店にも案内してくれた。

お父さんは僕たちに

「お店のもので、要るものがあればタダで持っていけ」と言ってくれた。

「いやいや、お金を払います」って言ったけど、

「お金はいらない」と譲らなかった。せっかくのご好意に甘えて僕たちは、インスタントラーメンをもらうことにした。インドネシアのインスタントラーメンを僕たちはそのあと、旅の途中まで手荷物につめて(割れると困るので)持ち歩いた。なかなか気安く食べられないでしょ。そんなふうにもらったインスタントラーメン。(途中で美味しくいただきました。)


レオは、今はインドネシアに帰ってきてるけど、また日本に行きたいらしい。日本で働いてお金を貯めたいとのこと。

「でも、お母さんは日本に行かないでと思ってる」とレオはいう。

レオのことが心配だそうだ。そりゃそうだ。そんな話を聞きながら、朝ごはんをご馳走になった。楽しい時間。それから僕たちは家族に別れを告げて、レオの家をあとにした。


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その後、レオは僕たちをジョグジャカルタの中心地のマリオボロ通りに連れていってくれたり、空軍中央博物館に連れていってくれたりした。

道中、いろんな話を聞いた。レオは三重の漁港で働きながら日本語を覚えたらしい。漁港の人たちがみんな優しくて、日本を大好きになってくれたらしい。

だから、ときどきレオの日本語は急に荒っぽくなる。普段はちゃんとした丁寧語で話しているのに、

「おい、わしの日本語どっかおかしいところあっか?」

って急に漁師に学んだであろうワードがはさみこまれたりする。でも、そこがいい。漁港の人たちから日本語を教わった感があって、すごくいい。レオが愛する海の男たちの荒っぽい日本語が、レオの魅力をさらにひきたてている。


そんなこんなでレオが案内してくれたジョグジャカルタ観光は本当に楽しかった。ジョグジャカルタの街も面白かったけど、日本を大好きなレオが、地元を案内してくれて、いろんな話ができたことが何より楽しかった。


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こうやって、世界一周中の僕たち夫婦に、はじめての異国の友達ができた。


別れ際、レオに夢を聞いてみた。また日本に行きたいレオが、どんな夢をもっているのか気になった。

レオは少し恥ずかしそうに、でも誇らしげに日本語で夢を語ってくれた。


「僕は会社を作りたい。今はお父さんは足が悪いけど、建設業の会社を作って、お父さんと一緒に働きたい。またお父さんに建設の世界で働いて欲しい。」

素敵な夢だった。


僕は持っていたノートにレオの夢を書いてもらって、最後に一緒に写真を撮った。これがその時の写真。

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僕たちはそのあと、いろんな国を旅して世界一周から帰国した。そして帰国後、約1ヶ月。レオと出会ってからは約1年たったある日、Facebookをみていたら、レオが会社を設立したって記事をあげていた。写真つきで!!

あの日聞いた夢、ノートに書いてもらった夢が、現実になった。レオの優しさと行動力が夢を叶えた。もう本当になんかわけがわからないくらい嬉しかった。別に自分が夢を叶えたわけじゃないけれど、レオは本当にすごいやつだった。


これが、世界一周中に初めてできた、異国の友達が夢を叶えた話。


嬉しくなって、会社設立おめでとうってメッセージをレオに送ったら。。


「インドネシアに遊びにきたら、私の家へ行ってくださいね。ホテル費はいらないし私の家で泊まります。best friend ジャグジャカルタの近くへ遊びましょう」ってメッセージがかえってきた。

相変わらず優しいし、すてきなやつだ。早くコロナがおさまって欲しい。また会いに行きたいな。日本酒でも持って、祝いに行きたい。

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